■カネを儲けて何が悪い!『爆笑問題のニッポンの教養』 経済学、橘木俊詔。
今回のテーマは、経済学。
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE039:「愛と幻想の価値論」 2008.6.3放送
同志社大学教授、2005年度経済学会会長、経済学 橘木俊詔。
■おにぎりひとつを食べるのに困るような貧困を生まないようにするのが経済学の役割りである。
開口一番、橘木先生はそう定義づけた。
どうしてもコレだけは言っておきたい、という熱い気持ちがあふれ出していてちょっと共感。
■小泉内閣での竹中さんの政策については「活力は出たが貧富の差が大きくなった」と至極まっとうなご指摘である。
①「上が儲かれば下の方にもしずくが落ちる」モデル
②下にしずくも落ちてこない「Winner take all」モデル
この経済についての対立する2つの見方の説明はとてもイメージしやすくてストンと落ちる。
もちろん、竹中さんは①を信じて政策を進めたのだけれども結果は②の「勝者総取り」であったということだ。
■さて、ここから欧州的福祉社会とアメリカ的市場原理主義についての話が展開していくのかと思いきや、太田の関心事はどこまでも「わたくし的」なのである。
まわりがITバブルで騒いでいるときも、お金にはぜんぜん興味がなかったと太田は言う。
大切なのは「自分が何をやりたいのか」であって、お金は単なる手段に過ぎない。
芸を磨くことが本筋で、金儲けが目的になってどうするんだい。
というわけである。
■それに対する橘木先生は少し余裕をもった見方だ。
「カネを儲けて何が悪い!」と開き直った村上世彰。
彼は本音を語ったのがまずかった、と肩をもつ。株でうまく売り抜ける満足感もひとつの価値観であるというのだ。
あくまでも世の中を相対的に見ようとする視点である。
■なあ、宝くじで1億円当たったら何に使う?
あまりにも暇でネタに詰まったときによく浮かんでくる、あまり意味の無い不毛な会話である。
100万円の使い道ならいくらでも思いつくのだけれど、1億円となった途端にハタと考え込んでしまう。
そんなの100万円の使い道が100コもあるってことじゃん、なのだけれども、普通はなかなかそういう現実的な思考にはたどり着かないものだ。
お金とは不思議なもので、その金額によって価値観が伸び縮みする。
一般的な金銭感覚では、100万円くらいが現実の生活と重なる上限なのだろう。
■その上限プラス一桁くらいの範囲において、
お金はあれば、それに越したことはない。
というのが一般人の価値観であり、ホンネではないかと思う。
■そういう観点に立つと、本人には甚だ不本意だとおもうが、
カネなんていらねえ。
と言い切る太田は、「ええかっこしい」に見える。
きれいな言葉でいいかえれば【美意識】だろうか。
武士は食わねど高楊枝。
というやつだ。
■俺のことなんだから放っといてくれよ。
と言われるだろうし、それも正しい。
けれど、あくまでも個人の価値観に根ざした【美意識】というやつはやっかいなもので、そこに傾倒すると本来自己から沸きあがってきたはずのものが、いつしか自分を縛り付けてしまう妙な強制力のようなものが生まれてしまう。
それに耐えるストイックさがまた人を惹き付けるところなのだけれども、それはまかり間違えば、昭和初期の日本がそうだったと言われるように、「個人」よりも「価値観」が先行した息苦しい世の中を呼び込みかねない危険性をはらんでいるようにも思えるのだ。
■己の背骨となる「信条」を堅持するのは大切なことである。
だがその一方で、そんな自分を傍から眺める客観的な視線があってもいいだろう。
それが「相対的なものの見方」というものであって、決してシニカルなものではなく、柔らかく自由な自分を維持するために必要な、二つの車輪の片方なのだとおもう。
ご用心、ご用心。
<2008.06.11 記>
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