■NHKスペシャル ガラパゴス大異変。「ガラパゴス」であり続けることの条件。
ガラパゴス諸島の現在についてのリポート。
■NHKスペシャル ガラパゴス大異変 ~生きものの楽園は守れるか~
2008.06.02放映 NHKスペシャルHPより
■南米エクアドルから西へ1000km、太平洋上に浮かぶ大小55の島々からなるガラパゴス諸島。外界から隔絶され、世界でここにしか生息しないゾウガメやイグアナ、フィンチなど固有種の宝庫であるこの島は、1835年、博物学者ダーウィンが「進化論」を着想し、1978年には世界自然遺産第一号にも選ばれた生き物の楽園である。(NスペHPより引用)
■ガラパゴスは厳しい管理体制化に置かれているものかと思っていたが、どうやら見当違いであったらしい。
世界遺産に指定されてから30年。
今では日に何便もの旅客機が行きかい、世界中から観光客が押し寄せる。
すっかり観光の島と化してしまっていたのである。
■海岸線は舗装され、海イグアナは産卵の場所を求めて町をうろつき、観光客の豪華クルーズ船から吐き出されるゴミは恰好のえさとなり、フィンチの間に今までに無い病気が蔓延する。
無人の島々にはヤギが放たれゾウガメのエサを食い尽くし、海の浄化を担うナマコは密漁によって一網打尽。
■ユネスコはこの事態に対して「危機遺産宣言」を下し、世界遺産の解除も辞さない構えをみせた。
そこであわてたエクアドル政府は緊急事態宣言を発令、徹底的なヤギの駆除、不法滞在の摘発を強化し、自然回復への道を懸命に模索するのだけれど、観光客の制限という根本対策を避けるやり方では矛盾がひろがるだけである。
■優等生的にいうならば、世界でもまれな特殊な生態系をもつガラパゴスの自然の「純潔」を守らねばならない。そのためには観光客の大幅な制限を行うべし、というところだろう。
けれど、何のための保護なのか?
30年の年月をかけて築き上げてきた「生活」を奪う権利が誰にあるのか?
それは「イグアナの純潔」よりも軽いものなのか?
■この番組を見る限り、エクアドルの人たちとそこを訪れるあっけらかんとした観光客たちはガラパゴスの環境を「消費」している。
そして数十年の後にはすべてを消費しつくしてしまうであろう。
いかなる対応策も、長い目でみれば、それが「細く長く」なのか「太く短く」なのかの違いに過ぎない。
ひとつの手段として、いくつかの島を「絶対保護区」にして調査以外の人間の出入りを完全にシャットアウトするようなことも思いつくが、それでも環境の「劣化」は防げないであろう。
何しろ、他の生態系から1000km離れることで守られてきた島である。
同じガラパゴス諸島の中での環境の変化は、必ずその保護区にも現れるはずだ。
■一度、崩してしまったものは完璧にもとに戻そうとしても限界がある。
非常に悲観的な見方だが、外部からの接触によって生態系がいかに変化するものか。
それを観察し記録することだけが、唯一できることなのかもしれない。
■それは、地球の裏側の話ではなく、東京から南に1000km離れたところにある楽園、小笠原諸島についてもいえることである。
小笠原諸島は、他の生態系から孤立した独自の生態系をもつという意味で文字通り「東洋のガラパゴス」といえる島々である。
東京から父島への交通は6日に一便の「おがさわら丸」だけ。
24時間近い船旅の末にたどり着く、「世界で一番遠い島」なのである。
■そういった環境で、父島を中心とした小笠原諸島の自然は守られてきた。
けれど、景気が良くなるたび小笠原の観光開発案が浮上する。
そんなことを許したらどうなるかは火を見るより明らかで、本家ガラパゴスのように消費されていく道を選ぶことになることだろう。
それだけは是非とも避けなければならない。
世界遺産の登録なんて頼まれてもしてはいけない。
「宝もの」は隠れた場所でこっそり眺めるのがいいのである。
日本国内に「世界で一番遠い島」をもつということ。
それが本当の「贅沢」というものなのだ。
<2008.06.03 記>
■関連記事■
■『小笠原諸島、父島』(前編) 太平洋に浮かぶ静かな楽園。
■続・『小笠原諸島、父島』(後編) 東洋のガラパゴスに住む鳥さんたち。母島、聟島。
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