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2008年4月29日 (火)

■7万年前に絶滅しかけた人類。永遠に失われたエデンの園。

20万年前に誕生した我々ホモ・サピエンスは7万年前に2000人まで減少し、絶滅寸前にまで追い込まれていたらしい。

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■Technobahn 2008/4/25記事より

■遺伝学的に人類の足跡をたどっていく「ジェノグラフィック計画(Genographic Project)」という研究プロジェクトの成果として、米学術専門誌「American Journal of Human Genetics」に発表されたそうである。

劇的に人類が減少した時期があるというのは聞いていたが、今回具体的に提示された「約2000人未満」というのは実に衝撃的な数字だ。

2000人といえば、昔の一学年6クラス×50人の小学校の全校生徒くらいの人数だから、それは実感として把握可能な数であり、ひとりひとりの顔までが想像できてしまいそうだという意味で、数字としてしかイメージできない「何万人」とかのオーダーとはまったく次元が異なるのである。

■そういえば、このあいだ放送されたNHKスペシャル「病の起源」―骨と皮膚の病―で、人類は皮膚の色を変化させることで世界中に拡大することが出来た、という話をやっていた。

黒人、白人、黄色人種。

今までなんとなく、その皮膚の色の違いはそれぞれの地域の太陽光の強さから結果としてそうなっているのだと思っていたのだけれども、逆に「皮膚の色が突然変異で変わった」ことで、それぞれの地域に適応し、進出していくことができた、という内容であった。

毛むくじゃらであった我々の祖先は、体毛が薄くなることで涼しい森から灼熱の草原に進出することが出来た。けれど「裸のサル」では強烈な日射には耐えられず、「黒い皮膚」を獲得することで初めて日差しの強いアフリカの平原で生きていくことが可能になった。

けれどもアフリカから日差しの弱いヨーロッパへ版図を広げるためには、逆にメラニン色素が極端に少ない「白い皮膚」を獲得する必要があった。紫外線が皮膚の下に届かないとビタミンDが生成されず摂取したカルシウムから骨を作り出すことが出来なくなるからである。

■7万年前、ヴェルム氷期(いわゆる最後の氷河期)の始まりの時期に2000人の小集団にまで追い込まれた我々人類は、現在66億6千万人にまで爆発的に増殖し繁栄を極めている。

肌の色も、顔つきも、まったく異なったものになることが、我々人類が厳しい氷河期の環境を乗り越えて世界中に拡大し繁栄していくための必要条件であったということは、極めて皮肉な話である。

今、我々を取り巻く人種差別や紛争やテロといった不幸の種は、「異なる」ということによって生まれてきたのだから。

過酷な状況を生き抜いた7万年前の2000人の連帯感は今や夢物語であり、もしかすると永遠に失われてしまったエデンの園は、実はそこにあったのかもしれないな、などと意味の無い空想をしてみるのであった。

                          <2008.04.29 記>

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■『われら以外の人類』 ヒトの進化を俯瞰する。

 
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  骨と皮膚の病 ~それは“出アフリカ”に始まった~

   
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