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2008年3月28日 (金)

■MRJ事業化決定。技術屋の夢と、ビジネスと。

YS-11から40年ぶりとなる国産小型旅客機、MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)が2013年度以降の市場導入に向けて事業化される。

_mrj

■MRJは、これから世界で需要が増大すると考えられているローカル便向け、70~90席の小型ジェット旅客機である。

日本お得意の複合材を採用することによる軽量化や空気抵抗の軽減、エンジンの低燃費化により「地球にやさしい」機体を目指す。

競合する他社の機種よりも3割程度燃費が良くなるというのだから、機体の塗装を削ってでも燃費を稼ぎ出そうとする航空会社にとっては魅力的な機体になるだろう。

市場への導入は2013年度以降。

■雌伏40年。

ボーイングの下請けに甘んじつつも技術を磨いてきたのであろう三菱重工がついに勝負に出るときが来た。

・・・と、自分の中のナショナリズムが疼くところなのだけれども、その一方で、なんだかとても不安なのである。

■この小型ジェット旅客機の市場は、カナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社が切り開き、既存の欧州社製プロペラ小型旅客機を駆逐したのだそうだ。

さらに、これからこの市場に参入してくるのはロシアのスホーイ・スーパージェット100、そして昨年末に量産初号機がロールアウトした中国のARJ21。

こうして並べるとカナダ以外はいわゆる「BRICs」だ。

その強みは開発費(人件費)を低く抑え、低価格でも採算のでる仕組みにあるのではないのか。

■MRJについては過去に開発費が500億円から1200億円に膨れ上がった経緯もあり、これから本腰を入れて開発にとっかかろうとするならば、航空機の開発の「定説」として、さらに開発費がかさむ可能性は高いといえるだろう。

「損益分岐点が350機、利益確保に600機」という数字をどこかで見たが、その前提となる開発費が分からないにしても、このビジネスが「開発費」と「契約機数」のせめぎ合いの上に成り立っているのだろうことは想像に難くない。

YS-11がビジネスとして失敗したのは、薄利多売、というより採算割れで契約機数をかせいだことによるものだという。

■中国のARJ21が1機、約30億円弱といわれる。

今回、三菱重工と全日空との間で取り交わされた契約は25機で600億円だから、乱暴に計算すると1機あたり24億円。

平成のYS-11は、そのビジネスにおいても先達の二の舞を演じてしまうのではないか。

日本の技術屋の端くれとしてMRJが成功して欲しいという思いが強い反面、そのビジネスが成功するかどうかがとても心配なのである。

なにしろ、技術屋が夢を語ることとビジネスで成功することがうまく噛みあった事例に出くわすことは極めて稀で、またそれ自体、技術屋として日々悩ましくおもうこと、そのものであったりするのだから。

                        <2008.03.28 記>

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■【文庫】 YS‐11〈上〉国産旅客機を創った男たち
■【文庫】 YS‐11〈下〉苦難の初飛行と名機の運命
 

 
■過去の記事■ 飛行機、宇宙の話など  
    

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コメント

「MRJ」は、さしずめスレンダー美人といった感じかな?
航空機の世界は期待や不安のスケールも大きいですね。
ちなみに私は、マイクロやナノの世界で右往左往の日々ですsweat01
航空機やロケット、空や宇宙にお詳しい電気羊さんは、
もしや、airplane関係のエンジニアさんでしょうか?

投稿: 臨床検査技師 | 2008年3月29日 (土) 23時16分

↑秘密です。

投稿: 電気羊 | 2008年4月 2日 (水) 06時23分

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