■50%でいいから自分にしかできないものを。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 音楽プロデューサー・武部聡志。
今回のプロフェッショナルは音楽プロデューサーの武部聡志さん。
■心揺さぶる歌は、こうして生まれる・音楽プロデューサー・武部聡志
<2008.2.12放送> (番組HPより)
■武部さんは30年、ポップスと向き合い、2000曲以上もの歌と関わってきた。
その仕事は音楽プロデュースだけでなく、作曲、編曲、コンサートの音楽監督にまで及ぶ。
その長い経歴の初期からの付き合いである松任谷由美に『最高の相棒』、とまで言わさしめる、まさに「大物」なのだ。
■けれども大物だからといってメジャーな仕事だけにこだわることはなく、分刻みの忙しさの中でも、新しい才能の発掘をおろそかにしない。
そうして発掘された「才能」のひとりが、『もらい泣き』で大きな一歩目を印した一青窈である。
■番組では一青窈の新しいアルバム『Key』を作り上げていく過程の一部として、クレージーケンバンドの横山剣が作った「いかにも」なクセの強い曲に一青窈が詞をあわせ、作りこんでいく姿を追っていった。
はじめは横山剣の強烈な個性に引きづられ、やはり、なかなか「一青窈」が出てこない。
けれど、何度も、何度も、曲に詞をあわせても、武部さんの表情の曇りは晴れることはない。
他の曲が順調に出来上がっていく中で、この曲だけが取り残される。
どんどんと追い詰められていく、一青窈。
「カタチ」が見えないままに、日にちだけが過ぎていく。
■松任谷由美の曲の編曲を皮切りに、編曲家としての道を順調に歩み始めた武部さんは、歌詞をていねいにていねいに読み込んで曲を練り上げるという地道な作業を積み重ねた。その結果、久保田利伸、斉藤由紀などのデビュー曲にかかわり、情景が浮かんでくるようなリアリティのあるアレンジで次第に頭角を現していった。
けれど時代は動き、打ち込みやダンスミュージックが隆盛を極め、こういう仕事もこなさなければプロではないと思い込んだところから迷い路へとはまっていく。
■そのときユーミンに言われたひとことが、武部さんの目を覚ます。
「流行っている要素を取り入れる度に、自分の色が薄まっていくんだよ。」
自分にしか出来ないものを。
たとえ50%であってもいいから、自分にしか出来ないものを。
流行に日和るのではなく、自分の個性をもっと上のレベルまで高めるしかないのだな、と悟ったのである。
■そこからの武部さんに迷いは無い。
・人の心を動かす歌は流行からは生まれない。
・アーティストの中にその答えはある。
・そのアーティストの人生、挫折といったすべてをひっくるめた『血』を大切にし、その言葉が世の中に届くように「カタチ」にする。
そういった自分なりの流儀が出来上がった。
そうして43歳になった武部さんは、当時23歳の一青窈に出会い、名曲、『もらい泣き』が生まれたのである。
■で、現在進行形の一青窈の苦闘はどうなったか。
とうとう日程ギリギリ、もう後が無い。というところまで追い込まれ、それでもTAKE2,TAKE3とすっきりしない。
その時、ふっと一青窈はアドリブでセリフを加えてみた。
その瞬間、まわりからはじけるように笑いが起きた。
ああ、これが「生まれる」っていうことなんだな、としみじみ思った瞬間である。
理屈をこねくり回していても「生まれ」ては来ない。
その対象と悪戦苦闘し、苦しみぬいて自分の中でこなれたときに、やっと「自分のうた」が「ふっ」と生まれてくるのである。
■恒例の「プロフェッショナル」とは?という問いに武部さんはこう答えた。
自分がイメージしたこと、思ったこと。それを確実にカタチにすること。その為の情熱と行動力を持ち続けること。
それは音楽のような芸術に限らず、クルマのような工業製品を「商品」として生み出していく仕事をするうえでも大切なことだと思う。
自分の想いをあきらめない情熱と行動力。
あらためて胸に刻み込もう。
<2008.03.01 記>
■一青窈Newアルバム『Key』(DVD付)
■一青窈×武部聡志■
【初回盤収録DVD】■一青窈 初のsingle collection live DVD■
1.もらい泣き 2.大家 3.金魚すくい 4.江戸ポルカ 5.ハナミズキ 6.影踏み
7.かざぐるま 8.指切り 9.つないで手(PV) 10.「ただいま」(PV) 11.受け入れて(PV)
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