■デジタルがカオスとして振る舞うとき、そこにホムンクルスの種は宿るのか?『爆笑問題のニッポンの教養』 カオス工学、合原一幸。
今回のテーマは、カオス工学。
■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE027:「脳を創る男」 2008.2.12放送
東京大学生産技術研究所教授
カオス工学 合原一幸(あいはらかずゆき)。
■振り子の運動は以下の方程式であらわされる。
極めてシンプルで受け入れやすいし、角度が十分に小さい場合の近似式は高校の物理でも教わる内容だ。(覚えてはいなかったが・・・。)
では、ふつうの振り子の下にもうひとつ振り子をつけた「2重振り子」はどうかというと以下の方程式であらわせる、のだそうだ(汗;)。
もう悪いことはしないので勘弁してくださいと反射的に許し請いをしてしまいそうな厳しい方程式だが、恐ろしいことに、この方程式の解は「カオス的な振る舞い」をするのだという。
■へ?
ある数値を入れれば「ポン」と同じ数値を返すのが方程式なのでは?と思うのだけれども、これの解をビジュアル化したサイトがあったので覗いてみよう。
一度Resetボタンを押し、赤、青の球の初期位置を十分に高くして、赤球の質量を大きくとって、Startボタンを押す。
すると、あら不思議、ぐるぐる回転したり、しなかったり、振り子のくせに毎回違った動きを見せる。
ひとつの現象に注目すると単純なのだけれども、そこにお互いに影響を及ぼしあう「関係性」が生じたとき、状況は一気に複雑怪奇な様相を見せ始める。
それが『カオス』、なのだそうだ。
■合原先生とその共同研究者の皆さんは「神経細胞」を”カオス的に振る舞う”電気回路で構築し、それを組み合わせることで「脳のはたらき」に迫ろうとしている。
実際に100個の「神経細胞」を組み合わせた「人工知能」で非常に複雑な問題の「最適解」を探すモデルまで構築していて、既に人間の直感を遥かに超える実力を見せつけてくれたりする。
■けれどもその延長線上に「脳」や、ましてや「心」のモデルは出来うるのだろうか?
今回の話を自らの身体感覚を基準として「よくわからない」という太田の捉え方には激しく同意する。
だがそんなことを言い始めたらアインシュタインが提示した
なんて式も、感覚的にさっぱり分からない。にも関わらず、GPSの補正に欠かせないものとして実際の生活に入り込んでいるワケで、一見、地に足がついているように思える『身体がすべてを知っている』的な捉え方では斬り込むことの出来ない領域も存在する、ということだろう。
■人工的に「心」を作り出すことは出来ないのかもしれない。けれど、もし出来ないのであれば、なぜ出来ないのか、その理由を知りたい。
そう言ってしまう合原先生は「科学」という魔法に取り付かれた現代の錬金術師なのかもしれない。
目指すは人工生命体ホムンクルスの生成。
研究は少しMADな方が面白い。
■脳はここまで解明された―内なる宇宙の神秘に挑む
■ 合原一幸 著 ■
■★★★★ (5件のレヴュー)
■分からないので調べてみましたのコーナー■
■【カオス(Chaos)】
1.混沌、もしくは混乱状態をあらわす語
2.ギリシャ神話の宇宙開闢(かいびゃく)説における万物発生以前の秩序なき状態。また、同時にすべての事物を生みだすことのできる根源。ケイオス。
3.初期条件・境界条件を定めると以後の運動が決まるような簡単な系であっても、初期条件のわずかな差で大きく違った結果を生ずるような現象。気象現象・乱流や生態系の変動などに見られる。自然界の法則性。
■【ピグマリオン(pygmalion)】ギリシャ神話。生身の女に絶望したピグマリオン王が自らの理想像として作った彫像の女に恋焦がれるようになる。それを見かねたアフロディーテが彫像に生命を吹き込み、ピグマリオンはめでたくその女と幸福に暮らしたという話。
この話から、教師の期待によって学習者の能力が上がるという教育心理学用語として『ピグマリオン効果(pygmalion effect)』が、
自然現象を説明するために自らが構築したモデルの正しさを信じる余り、そのモデルが破綻する条件に考えが及ばないという科学者が嵌り込みやすい心理的罠として『ピグマリオン症』(物理学者J・L・シンジが『相対性理論の考え方』(講談社ブルーバックス)で提唱)がある。
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コメント
全くです。
投稿: ノース | 2008年2月20日 (水) 17時59分
ノースさん、こんばんは。
シンプルなコメントありがとうございます(笑)。
そちらのブログも奥が深そうですね!
投稿: 電気羊 | 2008年2月20日 (水) 18時27分