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2008年2月27日 (水)

■成功が「見える」瞬間。『爆笑問題のニッポンの教養』 応用スポーツ心理学、高妻容一。

今回のテーマは、メンタルトレーニング。

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■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE028:「スポ根なんていらない?」 2008.2.19放送
東海大学体育学部競技スポーツ学科専任教授
メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学 高妻容一。

■「『根性論』とは、いかに無駄なことをやっていたのかと思い知らされた。」

空手をやっていた高妻先生は大学院時代にスポーツ心理学に出会い、本場のアメリカに渡る。そこには精神を鍛える『根性論』ではなく、勝負の一瞬に如何に集中力を高めるかという『科学』があった。

ニッポンでの指導方法はどうなんだい?とアメリカ人に問われて、あー、アメリカも30年前までは精神論だったよ。と言われるのが口惜しかった。

■えーと、なんだか『プロフェッショナル・仕事の流儀』の記事みたいになってきた。

いつもの『爆問』と勝手が違うのは、スポーツ心理学という学問が極めて「現実」に近い世界を取り扱っているからなのだろうか。

■「周りがスローモーに見える」

「自分が泳いでいる音しか聞こえない」

「体が勝手に動く」

勝負の一瞬における集中力の高まりを実際に体験しているトップアスリートたちのコメントである。

その「集中」は、太田がバイクの事故で投げ出された瞬間に体験したスローモーな世界と同質のものだという。

■高妻先生が「ゾーン」と呼ぶその状態は、だらりとした「リラックス」でもなく、キリキリした「緊張」でもなく、その中間で生まれる特異な状態なのだそうだ。その状態を実戦でいかに作り出すか。それが問題だ。そして「超」がつくようなトップ・アスリートは、その能力を身につけている。

打席に入って構えるまでにイチローが見せる一連の動作がある。それによってイチローは自分の状態を「ゾーン」にまで高めてる。彼はそのスキルを持っているのだ。

■さて、トップアスリートならいざ知らず、我々凡夫はいったいどうしたらいいのか。

鍵は成功体験にある。

我々凡夫でも、ひとつのことを十年以上続けていれば、「あの時は凄かったな、怖いくらい上手くいったな」という経験のひとつやふたつあるだろう。

その成功体験をイメージするのだと高妻先生はいう。

「成功体験」を味わったことがまだなければ、上手な人の所作を食い入るようにして見て没入し、あたかも自分の体験であるかのように想像してみる。

脳というのは騙されやすいもので、それがイメージだったのか、本当にあったことなのか分からない。それを利用するのだそうだ。

早速やってみよう。

(忙しい方は一段落飛ばし読みしてください(笑)。)

■早朝、5時半。少し薄ぼんやりと明るくなりかけた、けれど未だ頬に冷たい空気のなかで私は道志川中流域のとある淵に立っている。ゆるく流れる水面には、ポツン、ポツン、とヤマメのライズが確認できる。ふー、とハヤる気持ちを抑えつけながら3番のロッドを組み立てる。ジー、とリールからラインを滑らかに引き出しロッドに通す。ポツン、ポツンとヤマメのライズは続いている。10Xのティペットをひと尋半とってカットする。かじかむ指でリーダーに結ぶ。フライは#26のミッジ。ハックルにフロータントをまぶし、指先を少しツバで濡らしてティペットの先とミッジのボディーに「出てくれよ」と念を込めながら擦り込む。ジー、ジーとラインを引き出しながら、ふー、と少し目をとじる。リーダーから先の具合を整え、後方の障害物を確認する。風は弱い。スッとゆっくりと右手を立てながら突き上げるようにロッドを加速させていく、ラインを引く左手が斜め下方に伸びきった瞬間に「タメ」を入れ、すぅー、と前へ押し出す。延びていくラインの行方を追って十分にタメを入れてから摘まむように引っ張り上げる。再度、後ろ上方にラインをタメ、シュート。スルスルとラインが延びていき、後方に引いた左手の指先で最後のひと引きをして放すとティペットの先がふわりとターンしてポイントの2メートルほど上流に着水する。肩の力を抜いて、すー、とゆっくりと長く息を吐きだしながら、流れの中でティペットのたるみが解けるのを眺めている。と、水面がピッとはじけたその瞬間、慌てず滑らかにロッドが立っている。左手の指先で押さえたラインにググッと力強く躍動する生命を感じる。そう、この瞬間がたまらない。

■ここ数年まともにフライロッドを握っていなかったので、つい世界に入り込んでしまった。

こうやって実際にイメージを書き出してみると面白いことに気がつく。ただ単純に「動作」をイメージするとかえって動きがぎこちなくなってしまうのだ。けれど、「やること」ではなく「結果として上手くいっている状態」を思い浮かべると気持ちがスーと入り込む。

そのとき、「ふー」とか「スッ」とか感覚的な表現を入れるとイメージはさらにしっくりくるものとなる。長嶋さんがバッティングの指導をするときに、「そこで、グッときて、ブワー!だよ」というのもあながちヘンテコでもないのだな、と思う。

だからといって何も考えずに感覚的なイメージだけを追おうとしても脈絡が無くなってしまう。この時ってどういう感じ?何が見えている?何が聞こえている?色は?匂いは?感触は?

そういう感覚のディテールを詳細に突き詰めることで「成功する状況」のリアリティーがどんどんと深まっていく。

これがオシム監督のいう「アタマを使え!」、ということなのかもしれない。

■『根性論』では上手くいかない。

というのが今回のテーマのひとつだったわけだが、ここに来て何故『根性論』がダメなのか改めて考えるに、『根性』は「何がなんでもこれを達成しよう」という強い意思であるが故に「やるべきこと」に考えが集中し、焦り、「自然と出来てしまう」という身体的イメージからどんどん遠ざかってしまう、ということなのだろう。

そうなるともう泥沼で、足掻けばあがくほど「自然な動き」から離れていってしまい、ああ、オレはこんなに頑張ってるのに~、ということになる。

■けれど『根性』自体は決して否定すべきものではない。

先のサッカー東アジア選手権での優勝をかけた日韓戦。いろいろと言われているが日本代表は決してプレーが下手で引き分けたのではない。ただ、疲れきって動きが悪くなりかけていた韓国が後半ラスト10分で見せた鬼気迫る頑張り。日本はこれに敗れたのだと思う。

これは明らかに『根性』の問題だ。

ダメなのは、「ただ、やみくもな根性論」なのであって、その一方で、これはもう駄目だと諦めかける気持ちを奮い立たせるのも他ならぬ『根性』なのである。

『根性』と『成功のイメージ』は両立するものであり、実はむしろ高め合うものだったりするのじゃあないだろうか。

                             <2008.02.27 記>

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■ 高妻容一 著 ■
★★★★☆(3件のレヴュー)
    

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コメント

DVDに撮りそびれ、がっかりでしたが、きっとこちらで拝見できると、お待ちしておりました。ありがとうございました。
息子の高校バスケも引退まで半年あまり、今からでも、少しでも
未知の境地「ゾーン」の状態を体験して欲しいと思っています。
電気羊さんは、フライフィッシングをされるのですね。
いつか群馬の渓流にも、ぜひ、いらしてくださいね

投稿: 臨床検査技師 | 2008年2月29日 (金) 16時20分

臨床検査技師さん、こんばんは。
ニッポンの教養の記事、お役に立てて光栄です(笑)。
今年こそフライ復帰!と決意するのですが、気合を入れすぎるとうまくないので、近所の管理釣り場からぼちぼちリハビリしたいと思います(苦笑)。

投稿: 電気羊 | 2008年3月 1日 (土) 00時19分

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