■ウルトラマン大博覧会 『ROPPONGI天空大作戦』。破天荒なあの頃の空気にどっぷり浸かる夜。
六本木ヒルズ、森アーツセンターギャラリーで開催されている『ウルトラマン大博覧会』へ行ってきた。
大のオトナが、と少し恥ずかしいような気もするが好きなのだから仕方がない。えーい、ままよと書いてしまおう。
■その場の空気を残したくてフラッシュをたかなかったのが仇となり、手ブレのピンボケ写真になってしまった。ま、あらが見えなくていいかもね、と自分を慰める。
■まず出迎えてくれたのが、20体ほどの怪獣の着ぐるみたち。もちろん当時のものではなく、レプリカだ。
ああ・・・。
とヒザを折りたくなる。そんな、これはどうか・・・、と思える造形もいくつかあったけれども、総じて出来は良かったとおもう。
■特に良かったのが、この3体。上からペギラ、ピグモン、ギエロン星獣。どれも表情がいい。成田亨×高山良策コンビが造りあげた、奇跡ともいえる怪獣デザイン。
■撮影可能なエリアはここまで。
だが、ここから先の密度の濃さは期待以上で、ああ、撮りたいっという衝動に何度も晒された。
(以下の写真はasahi.comさんのプレスデーに撮られたと思われるものを失敬させて頂いた。)
■ウルトラQ,ウルトラマン、ウルトラセブンのキラ星のようなスタッフ、キャストの紹介コーナーをさらりと抜けると、そこには「本物」が待ち構えていた。
■ウルトラQ、「1/8計画」で小さくなった由利ちゃんが後ろに隠れたカメラ。
■ひいろお倶楽部@さんのブログより。バニラの丸く並んだ歯がえぐい。高山良策さんの職人魂を感じる。
■同じく、ひいろお倶楽部@さんのブログより。ゴモラの角の塗装はどうなっているのか気になっていたのだけれど、結構いいかげんな塗り方。逆に、そのいいかげんさが味わいになっているのだろう。
■アボラス、バニラ(ウルトラマン「悪魔はふたたび」)のかなり朽ちかけた頭部。
マルス133で鼻を折られたゴモラ(ウルトラマン「怪獣殿下」)。
ウルトラマン「故郷は地球」のラストでイデ隊員が頭を垂れたジャミラの墓の金属プレート。
真打ちは、キングジョー(ウルトラセブン「ウルトラ警備隊、西へ」)の飛行形態模型!!!
■胸のカラーセロファンの貼り付け方が随分ラフなのには驚いた。現場の「生」の迫力が漂ってくる。
■撮影に使用された40年前の超一級資料が、目の前に並べられている。
これでワクワクしないウルトラファンがいるだろうか。
■ウルトラセブンのマスク4種(レプリカ)。ウルトラマンのマスクA、B、Cは基本だが、セブンのマスクに変化があったとは知らなかった。まだまだ修行が足りない。
■ポインター模型(レプリカ)。奥に見えるウルトラホーク3号は本物(たぶん)。右は撮影に使われ、ちょっと煤けたホーク2号。
■今回の出展のために池谷仙克(いけや のりよし)氏が作成した科学特捜隊の基地。後ろは、ハヤタ(黒部 進)とフジ・アキコ隊員(桜井浩子)が着用していた科特隊の制服。
■こちらは同じく池谷さん作成のウルトラ警備隊基地。あの出撃シーンのかっこよさは忘れがたいものがある。後方には池谷さんの怪獣デザイン原画。アロン、ガイロス、ゴース星人など。
■デザインといえば、青森県立美術館から貸し出された成田亨さんの怪獣、宇宙人のデザイン原画がずらり。
キングジョーの初稿。
その迷いのある筆致に、「顔」の処理で苦しんだ様子がしみじみと感じられる。
画集で見るよりやっぱり現物。
「彫刻家」としての成田亨の最高傑作、シャドー星人(ウルトラセブン「明日を捜せ」)の原画とマスクの展示にもグッときた。
やはり成田亨さんは天才である。
■鼻を凹で表現。正面から少し視線がずれた瞬間にぞっとする。まさに「芸術」。
■ほかには、「レッド脳、小さいのであたまが悪い」という記述でお馴染みの「怪獣解剖図鑑」の元ねた原稿。大伴昌司さんの破天荒なあたまの中身も見てみたくなった。
いいかげんな割りに、きっちり形態をつかんだ大伴さんの画風に、不覚にも感動してしまった。
■半分サイズの原稿用紙に鉛筆書き。右脳と直結。ぐいぐいと描き上げるなかでインチキ(笑)解説が次々と浮かんでくる。そういう大伴さんの執筆風景を妄想してニヤリとしてしまう。
■今回一番の感動は何かというと、
やはり、「若き」製作者たちの息遣い。
日記、絵コンテ、台本への書き込み。
監督、脚本家それぞれの性格が文字に現れていて面白い。
■その中でも、ウルトラマンシリーズ構成の一翼を担い、ウルトラセブンのダークな世界観を生み出した、脚本家・金城哲夫。
セブン最終回、「史上最大の侵略」初稿への書き込み。
あの伝説的なシーンのセリフが、そのまま、追加されるカタチで書き込まれている。
「僕はM78星雲に帰らなければならないんだ…。
西の空に、明けの明星が輝く頃、
一つの光が宇宙へ飛んで行く。
…それが、僕なんだよ!」
「…さよならアンヌ!」
「待って、ダン!……行かないで!」
「アマギ隊員がピンチなんだよ!」
■浮かんできたイメージを逃すまいと、慌てたように書き込まれたその鉛筆書きに、しばらく震えた。
満田監督の斬新な演出と合わせ「ウルトラセブン」を永遠のものへと決定付けた、あのシーン。
その誕生の現場が目の前に刻まれている。
ああ、来て良かった。
■会場を出て、六本木ヒルズを振り返り、
久しぶりのビル風に晒されながら、見上げる。
円谷 一(はじめ)さんや金城さんが40年前に思い描いた未来は果たしてそこにあるのだろうか。
いつのまにか彼らより年上になってしまった自分がそこにいる。
<2008.01.19 記>
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■DVD『怪獣のあけぼの』
■高山良策の生涯に迫るドキュメンタリー■
■★★★★★(1件のレヴュー)
■『ウルトラマンの東京』 ちくま文庫
■実相寺 昭雄 著■
■★★★★☆(3件のレヴュー)
■DVD ウルトラQ コレクターズBOX
■DVD ウルトラマン コレクターズBOX
■DVD ウルトラセブン コレクターズBOX
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■参考資料■
■ウルトラマン大博覧会・ROPPONGI天空大決戦・公式サイト
■asahi.com フォトギャラリー・ウルトラマン大博覧会
■ Amazon.co.jp ■
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コメント
>大のオトナ だからこそのワクワク・ドキドキですよね。
「怪獣解剖図鑑」。。。とっても惹かれます~
「ウルトラQ」は小学校低学年の時に(怖いもの見たさで)
リアルタイムで見た記憶がありましたが、
何年か前に深夜での再放送に遭遇した時は、本当に感激でした^^
投稿: 臨床検査技師 | 2008年1月20日 (日) 13時02分
>臨床検査技師さんへ
小さい頃にはウルトラQの再放送は無くて、怪獣図鑑に載っているウルトラQの怪獣をみては、ウルトラマンが出ないのにどうやって怪獣をやっつけるのかと、こどもながらに非常に謎でした。
ウルトラQをやっと見ることが出来たのは大学生の頃だったか、泉麻人が解説で出ていた深夜の再放送。あの時は本当にうれしかった。
投稿: 電気羊 | 2008年1月20日 (日) 13時58分
たびたびスミマセン。
>泉麻人が出ていた深夜の再放送・・・
そうそう、私が見たのもそれです。
再放送自体、何年か前どころか、かれこれ15年以上も
前だったのですね^^;
投稿: 臨床検査技師 | 2008年1月20日 (日) 16時31分
初めまして「ひいろお倶楽部@」の
がんがんじいことGと申します。
この度はトラバしていただき
ありがとうございました!
こういう形でご紹介いただけるとは
Gとしましても感無量であります。
風邪の関係で六本木にはいけませんでしたが
Gも昨年三鷹に行っただけに
内容の濃い記事を読ませていただきました。
泉麻人の「ウルトラ倶楽部」は見てました。
正確に書くと時間が合わず
友人にビデオ撮りを頼んでました。
あれでケムール人を見た時は絶句しました!
今後とも宜しくお願いします。
投稿: gun_gun_G | 2008年1月23日 (水) 00時56分
Gさん。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
泉麻人の「ウルトラQ」はやっぱり見ていた人が多いんですね。
そういえば、ウルトラマンを起用した「1分で出来るカップラーメン」のCMもこの頃でしたっけ。
普通のカップラーメンは3分かかるから、出来た途端に帰らなきゃならない恨めしそうな感じのウルトラマンが面白かった。
「ウルトラ倶楽部」というタイトルを見て、
少しずつ記憶が蘇えってきました。
なんだかうれしいですね。
では、今後ともよろしくお願いします。
投稿: 電気羊 | 2008年1月23日 (水) 12時42分