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2008年1月 8日 (火)

■「縦の笑い」と「横の笑い」。自分を縛り付けるレッテルへの反逆。

■読売新聞の5日朝刊。「日本の知力」という特集記事で、「『笑い』と『知力』の結びつき」について取り上げていたのだが、そのなかで落語家の桂文珍さんが面白いことを語っていた。

 笑いは「縦の笑い」と「横の笑い」に分類できます。「縦の笑い」は、優越感から生じる「嘲笑」や権力の弱い者が強い者を皮肉る「風刺」。これに対して、「横の笑い」は「あんたもやっぱりそうか」という仲間同士の共感です。

 成熟した社会では「横の笑い」が増える。人間共通の弱さ、悪、ずるさを認めた上で「自らを笑う」。自分の姿を、もう一人の自分が、離れた所から眺める。客観視する。能を大成した世阿弥は「離見の見(りけんのけん)」と呼びました。兼好法師の「徒然草」ににじむ諧謔(かいぎゃく)にも通じる精神です。 
[読売のインタビュー記事より抜粋]

■世阿弥にも兼好法師にも余り縁がないので、後段のところは良くわからないのが正直なところなのだけれど、【笑い】というものを「縦」と「横」という方向性(ベクトル)として捉え、そこに生じている「はたらき」(ダイナミズム)を見事に表現しており、秀逸な概念だとおもう。

■自分なりに解釈を試みると、「縦の笑い」というのは社会構造の中で生まれる笑いであり、「横の笑い」というのは素の自分に根ざした笑いである、というところだろうか。

つまり、「縦の笑い」というものは、地位とか能力とか、そういった社会的な位置関係が『決して変わらないものである』という前提に立って、その位置関係に安住できるという安心感から生まれるものではないか、ということだ。

それは、ひとを見下す「嘲笑」はもちろんのこと、一見、権力に楯突くかに思える「風刺」でさえ、その高い地位に求められる責任から逃れることができる「安全地帯」からの発言であるという意味で「社会的位置関係」を肯定し、安住しているのだ。

■一方、地位とか名誉とか見栄とかいうものから一歩引いて、「社会的構造」に因らない「素の自分」を持つことで生まれてくるのが「横の笑い」。

もちろん「自分」というものは、「三流大学出の万年係長」であったり、「恐妻家のダメ亭主」であったりするわけで、この世で生活を送っていく限り、決して「社会的位置関係」から逃れることは出来ない。

だが、「万年係長」とか「ダメ亭主」といった肩書きから自由である一瞬を自らの手で作り出し、自分を縛り付けるレッテルに反逆を試みることは可能なのである。

その「一瞬のカタルシス」をもたらす【プチ革命】を駆動するエネルギーこそが「横の笑い」なのではないだろうか。

■そういう視点で最近流行の『格差問題』というコトバを眺めてみると、それが、「生活レベル」という社会的な物差しで自らを縛り上げる、非常に逆説的で皮肉な罠であることが見えてくる。

悲惨な状況にある時こそ「自分を笑う」。
それが、人間のたくましさなんですね。

そう語る文珍さんの言葉は、1995年の阪神淡路大震災で被災したという経験に裏打ちされたものであり、深い。

                          <2008.01.08 記>

■備忘録■
■離見の見 (世阿弥 「花鏡」より現代語訳)
舞には「目前心後」ということがある。
これは「目は前を見て、心を後ろに置け」ということだ。
客席の方から見た自分の姿というのは、自分を離れた「見」(離見)である。
そして自分の目で見る自分の姿というのは、
自分の「我見」で見た姿であって、離見で見た姿ではない。
離見の見で見るということは、いわば主客一体の見である。
このとき、真に自らの姿を見ることができるのだ。
   
■かいぎゃく【諧謔】 (三省堂 大辞林より)
おどけておかしみのある言葉。気のきいた冗談。ユーモア。

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コメント

拙い自分のコメントに、お返事をいただけたりすると、
思わずニンマリしてしまう私は、
「万年パート」の「不良主婦」です^^;

投稿: 臨床検査技師 | 2008年1月 9日 (水) 20時38分

↑まさに、『諧謔』(笑)。

投稿: 電気羊 | 2008年1月 9日 (水) 23時10分

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» 「花は観手に咲く」という最高のノウハウ [読了後に何かが起きる!3分間 意識革命! ,■「縦の笑い」と「横の]
「花は観手(みて)に咲く」  これ、世阿弥の言葉だそうです。 そう。能役者の。 「能? 興味ないね。」 「そんなのカンケーネ(笑)」 そんな風に思うかもしれませんが、これってとっても大事なことなんです。 ビジネスをする上でも、何をする上でも。 「花は観手...... [続きを読む]

受信: 2008年1月 8日 (火) 14時42分

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