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2008年1月30日 (水)

■実学としての『平和』。『爆笑問題のニッポンの教養』 平和構築学、伊勢﨑 賢治。

今回のテーマは、『平和構築学』。

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■『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE023:「平和は闘いだ」 2008.1.15放送
東京外国語大学大学院教授 平和構築・紛争予防講座 伊勢﨑 賢治。

■伊勢﨑さんは、シエラレオネ、東ティモール、アフガニスタンといった紛争地帯を駆け回り、国際NGOスタッフとして軍閥を説き伏せ、紛争処理を指揮してきた。

武装解除のエキスパート。

そういう男が日本人にもいたのである。

■伊勢﨑さんが『平和』と口にしたとき、その想像を絶した背景に思い至り、そのひょうきんさが却ってそのヘヴィーな現実に信憑性を与える。

1991年シエラレオネ。アフリカ大陸の西の端で貧困にあえぐ人たちと少しずつ作りあげてきたささやかなものが、内戦によって壊されていく。

その絶望から「紛争解決屋」としての伊勢﨑さんの人生がスタートする。

10年にわたる内戦による死者は5万人とも50万人とも言われ、その数は把握できない。

そして2001年、伊勢﨑さんは国連の一員として内戦を止めに再びシエラレオネに入る。

■DDR。

Disarmament  : 武装解除

Demobilization : 動員解除(軍事組織の解体)

Reintegration  : 復員事業(兵士の社会復帰)

対立する軍事勢力の利害調整を行い、説き伏せる。

■結果として、シエラレオネの内戦は収束。

その手法は、アフガニスタンでの6万人の武装解除にも成功する。

驚くべき実績である。

■だが、シエラレオネの成功は、その後ろ盾としてPKOの兵力があってこそのことであり、「武力」自体を否定することは出来ない。

その意味で、ジョン・レノンほどの純粋さは無い。

しかも、内戦終結の前段階である1999年7月の「ロメ和平合意」は恩赦によっての何万人も殺した反政府組織の「罪」を帳消しにするだけでなく、政権への参画さえ認めたものであった。

武装解除についても相当額の現金と引き換えに行われたという説もあり、『利害調整』というにはあまりにもアンバランスなものであったようだ。

■それでも、『平和』が大切なのだ。

「罪も無い一般市民が殺されていいわけがない。」

その信条を通すためには濁った水でも飲みくださねばならない。

それほどに『平和』というものには価値がある。

伊勢﨑さんは太田に調子を合わせて軽口を叩くのだけれども、その言葉の端々に、その強い想いが滲んでいる。

■「我々が確信している正義や国際的な人道主義は非常に脆弱なものである」

「正義」というものが如何に怪しいものであるか。

「平和の為の戦い」というものが如何に胡散臭いものであるか。

「昨日のフリーダム・ファイターは明日のテロリストである」

■【ソ連によるアフガン侵攻】と【日露戦争】を原点とし、【9.11同時多発テロ】と【パール・ハーバー】を結果として歴史を眺めてみるならば、そのとき「タリバン政権」と「戦前の日本国」はアメリカというスクリーンの上にピタリと重なり合うだろう。

実はわれわれ日本人にはタリバンを理解する素地があるともいえるのだ。

だからといって、アメリカの覇権主義が「悪の根源」とする見方も、自らに『義』を求めるという意味で「アメリカの正義」の裏返しに過ぎない。

『平和』という状態のみを求め、『義』は求めない。

それは一見、ジョン・レノン的であるように見えるが、内に秘めた「純粋さ」は共有しつつも、その素性として『平和』の実現のためには手段を選ばない確信犯的な狡猾さがある。

「敵はセクシーだ」

伊勢﨑さんの言葉に、聞く者は幻惑される。

つい、その語感のおかしさに目を奪われそうになるが、すでにその言葉自体が「平和を獲得するための宣伝戦術」なのである。

この放送自体が伊勢﨑さんの「戦略」に組み込まれているのだ。

■「実学としての平和学」。

平和は奪われて初めてその価値に気付くものである。

そこそこ平和に暮らしている日本人にとって「平和」とは「つまらない日常」のことなのだと太田は喝破する。つまらないからこそ「恍惚とした美学」が入り込む隙をつくりだす。

だが、その「恍惚の美学」では、「グローバリズムとの戦い」という大義のもとでの殺戮や、「人道主義」という名の人殺しに打ち勝つことは出来ない。

「セクシーさ」が圧倒的に足りないのだ。

■いまだかつて人類が実現したことのない『平和』への夢。

『平和』は求めようとすればするだけ、矛盾と葛藤を生み、育てる。

伊勢﨑さんの「学問」は、そんな絶望的な状況の中に新しい道が生まれることを予感させる。

伊勢﨑 賢治、実にかっこいい男だ。

                          <2008.01.29 記>

Photo_2
■永遠平和のために
■ イマヌエル・カント ■
★★★★★(4件のレヴュー)

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コメント

TBどうもありがとうございます。私は「敵はショッカーだ」という方針でブログを書いています。間違っても「セクシー」とは思いません。

投稿: 舎 亜歴 | 2008年2月 3日 (日) 21時26分

舎 亜歴さんへ。
コメントありがとうございます。
ほんとにこの「セクシー」というコトバの捉え方は難しいですね。
合理的思考の枠の外に大きくはみ出している感じがします。

投稿: 電気羊 | 2008年2月 4日 (月) 15時22分

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