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2008年1月 9日 (水)

■本気であることのかっこ良さ。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 「天才打者・イチロー」こと、鈴木一朗。

今回のプロフェッショナルは、新春・イチロースペシャル。

Photo
■『プロフェッショナル・仕事の流儀』 イチロー・スペシャル
野球選手・鈴木一朗<2007.01.02放送> (番組HPより)

■【天才】というのはこんなにまで凄いものなのかと驚いた。

「ホームランを狙って打つ技術はある」と断言、しかもそれは「あっ、ここで打ってやろうかなー」という「遊び」の領域なのだという。

そういえば、外野の守備で「背面キャッチ」とかしますよね、と水を向けられると、実はそれは真面目な訓練で、凡フライに油断して打球を視界からそらしちゃった時の為のトレーニングなんです、と悪戯っぽく微笑むのだ。

■自宅から球場に向かうとき「鈴木一朗」は「イチロー」に変化する。

球場に入り、試合前のトレーニングへ。

その一挙一動はすべて決まっており、変わることはない。今日はどうするかな、などと考えることはなく、無意識のうちに決まった動きをトレースしていく。

すべて「カラダ」にゆだねているのだ。

■その「カラダ」のうちには、特製の軽量スパイクや極端に削り込まれた専用バットも含まれる。そこには確実にイチローの神経がつながっている。

当然のことながら、スパイクやバットも含めた「カラダ」が本領を発揮するのは実戦だ。

マウンドからバッターボックスまでの0.4秒。その150km/hのボールに反応し、捉えるのは、3歳の頃からバットを振り続けたイチローの「カラダ」なのである。

■特に注目されることもなくオリックスに入団した鈴木一朗は、その3年目に仰木監督から与えられた「イチロー」という名前とともにその驚異の才能を一気に開花させ、一躍、「野球界のスター」へと駆け上がる。

そこからは多くの人が知るとおり、「プロ野球」には収まりきれないその能力が『メジャー・リーグでも通用する』どころか、首位打者争いに常に加わり、連続安打記録更新までやってのけた。

「天才」、という言葉はイチローの為に存在する。

■が、「イチロー」という名前の裏で、鈴木一朗は「成績を維持し続けなければならない」という使命感からくる重圧に常に晒され、苦しみ悶えていたのだ。

本来の自分を世間からの視線から隠し、とがりまくって自分を守ることに汲々とする。

遂にはグラウンドに出ることさえ憂鬱になり、ふと、野球が楽しめなくなっている自分に気がつく。

■「イチロー」という選手には非常にクレバーな印象を持っていたし、実際に今回の取材映像を見ていても、その分析力の凄さに驚く。

けれど、それは理論とか理屈とかいうものではなく、非常に『感覚』的なものなのではないかと思えるのだ。

確かに茂木健一郎さんの「好奇心」からくる論理的な質問に対しては、いつもの【イチロー】からすらすらと答えが返ってくる。頭の回転がとても速いのだ。

だが、住吉美紀アナのナイーブな問いかけに対しては、【イチロー】ではなく、【鈴木一朗】が深く、本質的な部分を探りながら答えていたように見える。

そこに彼の、『情』に共鳴する部分を強く感じたのだ。

■2007年。イチローは新しいフェーズに入ったようだ。

30年以上の時間をかけて培ってきた「身体感覚」を常に磨き上げ続けていくという今までの道から、「ボール球」に手を出さない、つまり「身体」を「意思の力」でコントロールしようとする道だ。

それは同時に、「プレッシャーを回避する」という本能的なこころの動きを、

「プレッシャーはある。だからそれを正面から受け止める」

という、強い意思による『こころの制御』を手にする道である。

■あのイチローをもってしても今シーズンは、それをものにすることは出来なかった。

簡単に出来るわけはない。

我々の見ている景色からは想像もつかない高みにおける【神(=自然、身体、感覚)】との厳しい闘いなのだ。

■けれど、鈴木一朗=イチローの顔には微笑がある。

やっと「野球を楽しめる」入り口が見つかった気がします。随分と遠回りでしたけど。

それは本気で、必死に戦い抜いてきた男にしか口にすることができないセリフだ。

そうだ、頑張れイチロー!!

                          <2008.01.09 記>

【追記】
■イチロー・トークスペシャル■(2008.1.22放送)

■『自分流』をつらぬくということは、いちばん険しい道である。

誰よりも自分に対して厳しい評価をすることが絶対条件、

そして『結果』を残すこと。それをキチンと言葉で説明できること。

そうやって自分で自分を教育していくことによってしか、自分の可能性は拡がっていかない。そう思う。

■去年まではひたすら「自分との戦い」。「敵は自分の中にいる」そう感じてこれまでやってきた。

07年のシーズンに入り、ようやく相手との勝負ができるレベルに入ってきた。だから、勝ちたかった。

自分と戦っているだけでいいなら、楽でいいですね。

だけど2007年、僕はそこを超えてきたと思う。

自分だけでなく、相手を倒したかった。

それが潰えたとき、口惜しさ以外のなにかが確かにあった。

一生分からないでしょうね、なんで泣いたかなんて。

■自らが成し遂げたことに対して満足すること。満足は重ねていいんだと思う。

「こんなことに甘んじていてはいけない、まだまだ先へ行くんだ。」なんて戒めること、よくありますよね。

でも、それは自分を苦しめるだけなんだと思う。

何かを達成したら大いに満足したらいい。

満足しなきゃモチベーションも維持できないし、満足のあとに必ず見えてくるものがある。

次に進むためにも満足したいんですよ、僕は。
   

■2008年は「不動の何か」をつかむシーズンになるかもしれない、とイチローはいう。刮目せねばなるまい。

                       <2008.01.30 記>

Photo_2
■イチロー 262のメッセージ
★★★★☆(40件のレヴュー)
■続編、『未来をかえる イチロー262のNextメッセージ』もあり。
   

■僕の夢 / 鈴木一朗(【KatsuhitoWeb】さんのブログより)
豊山小学校 6年2組 鈴木一朗くんの作文。
・・・「栴檀は双葉より芳し」とは、まさにこのこと。

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *

■過去記事・バックナンバー 『プロフェッショナル・仕事の流儀』

■『プロフェッショナル・仕事の流儀』番組HP

■茂木健一郎さんのクオリア日記にT/Bさせていただきます。

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コメント

こんばんは。
バスケット漬けの日々をおくる、高2の息子が
1番好きなスポーツ選手は、
ジョーダンでもなくタブセでもなく「イチロー」です。
彼の練習着のゼッケンが「51」なのは言うまでもありません^^v

投稿: 臨床検査技師 | 2008年1月10日 (木) 18時34分

↑私は若いので長嶋さんの現役時代を知りませんが(笑)、王さんがハンク・アーロンの本塁打記録を塗り替えた瞬間を覚えているぎりぎりの世代です。
イチローは今の若い人たちにとって我々中年組の王・長嶋みたいなものなんでしょうね。

投稿: 電気羊 | 2008年1月13日 (日) 13時57分

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