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2008年1月25日 (金)

■深夜アニメ 『墓場鬼太郎』。どうしようもない欲望が退屈な世の中に風穴をあける。

水木サンのまんがの登場人物における、少し高揚した感情表現として【フハー!】というのがあるが、それを「プシュー!」という鼻イキの効果音で表現したところにグッときた。

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■文庫版 『墓場鬼太郎』 <1>
■貸本まんが復刻版・全6巻■

■これはイタイ。

木曜深夜フジテレビ系列で『墓場鬼太郎』が始まっていたなんて・・・。

今回、既に第3話。

まあ期待するまい、どうせ期待はずれさ。

と思うときに限ってイイ線いっていたりするものである。

■『墓場の鬼太郎』は、水木サンが貧困の真っ只中の頃、戦前の紙芝居「ハカバキタロー」を原案に誕生、紙芝居から貸本へ移行して確立されたおどろおどろしい怪奇作品。

後に少年マガジンに連載されて人気を博し、さらに1968年には『ゲゲゲの鬼太郎』としてテレビまんがとして放映されて世に妖怪大ブームを引き起こす。(というのは聞きかじりで、生後まもない私がその頃の状況を知るよしもない。)

■だが、少年向けのメジャー化路線は、その「おどろおどろ」した毒を抜き去り、鬼太郎を正義を守る少年へと浄化させることを要求した。

けれど、『ゲゲゲの鬼太郎』が子供のこころをひきつけるのは決して鬼太郎の「正義感」の部分ではなく、「朝は寝床で、ぐーぐーぐー」という実に平和でグーたらな姿であり、また、己の欲求のままに行動し、かといって「悪」にもなりきれない、ねずみ男のどうしようもない「人間臭さ」なのである。

■そういった人間の「どうしようもない部分」は異界とつながることで強化され、変移する。

単なる怪奇ではない。

その出発点が人間の「どうしようもない」部分から発しているからこそ、己のこころの淵に潜む、暗く、恐ろしく、とらえどころの無いナニモノかを想起させ、そのおどろおどろしさの向こうに「怖いもの見たさ」という好奇心が吸い寄せられる。

その時に感じる「めまい」や「アンバランスな感覚」が面白いのだ。

■とはいえ、『ゲゲゲの鬼太郎』は「正義(鬼太郎)」と「欲望(ねずみ男)」という対立からくる安定感が基本にあるからバランスが取り易い。

けれど、毒抜きされていない『墓場鬼太郎』は、ボケとボケ。ねずみ男に負けず劣らず、鬼太郎も底意地の悪い「欲望」の虜なのである。

そのときバランス感覚は完全に破綻を来たし、加速し、鋭い槍となって退屈な「人間社会」に風穴をあける。

だから面白い。

■今回の番組は、その面白さが十二分に映像化されている。

「人間」がシリアスタッチで「水木しげる風」でないところも、かえって不安定な違和感があって面白い。

深夜枠、久々のヒットの予感である。

いやー、とにもかくにも第1話を見逃したのが悔しい。

あの、おどろおどろしい鬼太郎誕生秘話をどういうふうに料理したのか非常に気にかかる。目玉のおやじがまだカラダを持っていた頃のシーンも、鬼太郎が墓場から這い上がってくるシーンも・・・。うーむ。

と、早くもDVDを期待しはじめてしまうのであった。

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■文庫版 『墓場鬼太郎』 <1>
■貸本まんが復刻版・全6巻■

                                 <2008.01.25 記>

■追記■
父さん、早速DVDの予約が始まったようですよ。

でも、1話あたり2000円はちょっと高いですね。2000円もあったらコッペパンを腹いっぱい食べられますよ。

角川も随分と悪どい商売をするんですね、けっけけけけけ。

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DVD 墓場鬼太郎 第一集 (初回限定生産版)
■第1話「鬼太郎誕生」、第2話「夜叉 対 ドラキュラ四世」収録。

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■CD 墓場鬼太郎OPテーマ 『モノノケダンス』
■電気グルーヴ
  

                                  <2008.02.26 記>

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■Nスペ 『鬼太郎が見た玉砕』。戦争の不条理。
TVドラマの枠を逸脱した10年に一度の傑作。

   
■過去記事■

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■TVドラマ雑感・バックナンバー
   

■『墓場鬼太郎』番組HP
http://www.toei-anim.co.jp/tv/hakaba/  

■トラックバックさせて頂きます。
■「こどものもうそうblog」さんの記事、「貸本まんが復刻版『墓場鬼太郎』が凄い」
■「閃光的網站・弛緩複合体 -Review Division-」さんの記事、「『墓場鬼太郎』第2話雑感」

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第2話は、原作の「下宿屋」「あう時はいつも死人」がひとつの話にまとめられています。 血液感染ネタ不可だからといって、そのあまりに... [続きを読む]

受信: 2008年1月25日 (金) 21時57分

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