■できるさー。『プロフェショナル・仕事の流儀』 義肢装具士・佐喜眞 保。
今回のプロフェッショナルは、義肢装具士・佐喜眞(さきま) 保さん。
■魂の職人 希望の道具(07.11.13放送)、番組HPより
義肢装具士・佐喜眞 保
■自分が作った装具や義足をつけた相手の表情がみるみる明るく変わっていく。
それがうれしいのだと佐喜眞さんはいう。
だから妥協しない。あきらめない。
相手の表情にかすかに浮かぶ「しょうがないさ」という妥協を鋭く感じ取り、さらに心地いい装具・義足になるように調整を繰り返し、新しいやり方にもチャレンジする。
■佐喜眞さん自身、子供の頃に脊椎を損傷、障害を負ってしまった。
子供の遊びの輪に入れない自分。それがコンプレックスとなり、障害に負けたくない、認めたくないと無理をしながら生きてきた。
紆余曲折があり、装具士として仕事をはじめたのだが実績のない佐喜眞さんには仕事がこない。
あっという間に借金がかさみ、現実を逃れ、ひとを怨み、上手くいかないのを人のせいにばかりして、友達にすら疑心暗鬼になっていく。
そんな、苦しく、惨めな日々が続く。
■そんなとき、人づてに装具の仕事を頼まれた。
ところが、いくら工夫をしてもヒザが安定しない。
「これ以上、無理だ」
そう口にした瞬間、
付き添ってきていた旦那さんの顔が悲しそうに曇った。
それがつらかった。
■あきらめず、必死に新しい工夫を考え、試す。
そうして出来上がった装具で、相手の表情が明るく変わっていく。
そこに、佐喜眞さんの流儀が誕生した。
それは、佐喜眞さん自身の「再生」でもあったのだ。
■今までしょうがないとあきらめていた不自由な足が、佐喜眞さんの装具でちゃんと動くなるようになる。痛みが軽くなり、足が前に出るようになる。
そうするとそのひとにとっての人生は本来の明るさを取り戻し、失ってしまっていた笑顔を取り戻す。
その笑顔を取り戻すために、希望を取り戻すために、佐喜眞さんはどこまでもあきらめない。
子供の時から抱えるコンプレックスや苦しく惨めだった日々。
それは消え去るものではない。乗り越えるものでもない。
絶対に逃げない、やりつづける。
そんな佐喜眞さんを支える、大切な原動力なのだ。
<2007.11.17 記>
■関連書籍■
「手足が治ると性格まで変わる」、意識と身体の不思議について探求した本です。興味のある方には強くお奨め。
■『脳のなかの幽霊』
V.S.ラマチャンドラン 著 角川21世紀叢書 (1999/08)
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 20件)
■この本を読んだときの衝撃は忘れられない。幻肢、錯覚、脳の中のゾンビ(無意識の行動)。実際に臨床で経験した奇妙な症例から、仮説をたて、再現可能な実験として組み立て、確認する。そして、それらの具体例をもとに『意識とは何か』という問いに挑みかかる。
絶版というのは非常にもったいない。古書では入手可能。
■『脳のなかの幽霊、ふたたび』 ―見えてきた心のしくみ
V.S.ラマチャンドラン 著 角川書店 (2005/7/30)
<Amazon評価> ★★★★☆(レヴュー数 6件)
■ラマチャンドラン博士の講演録。一般の人向けの内容なので分かりやすい。前著「脳のなかの幽霊」を別の角度から語り、芸術、哲学へと拡がっていく。
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■過去記事・バックナンバー 『プロフェッショナル・仕事の流儀』
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