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2007年11月 8日 (木)

■あきらめないこと。Nスペ『眠れる再生力を呼びさませ。脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦』

■NHKスペシャル、眠れる再生力を呼びさませ~脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦~を見た。

脊髄は骨の中で血液をつくるはたらきをしているものだが、その中に含まれる「骨髄幹細胞」に脳の神経や心臓の組織を再生させる能力があった、という驚くべき内容の番組であった。

■脳梗塞(脳へつながる動脈がつまる)の状態になって3時間以内ならなんとかなるが、それ以上の時間が経つと血管から酸素や栄養が補給されずに脳の神経細胞が死んでしまう。そして半身麻痺など何らかの障害が残るというのが現在の医学の常識である。

ところが、その患者の髄液から脊髄幹細胞を取り出して培養、再度患者の体内へ点滴で戻してやると麻痺状態から驚くべき速さで回復するというのだ。

■札幌医科大学附属病院で今年の初めから臨床試験が始まり、番組では実際の患者さんが回復する様子が紹介された。

その患者さんは脳梗塞をおこしてから1ヶ月半が過ぎ、左半身をコントロールする脳の神経細胞が機能しなくなり、左半身麻痺をおこしていた。

通常は、左半身麻痺が一生続くと考えられる状態である。

だが驚くべきことに、骨髄幹細胞を体に戻して5時間後には脳の損傷部位がひとまわり小さくなり(CTで確認)、翌日には今まで動かすことができなかった左の手の指が動くようになったのである。

しかも、たった一度の治療(幹細胞を戻す)しか行わなかったにもかかわらず、2週間後には腕が動くようになり、3週間後にはまっすぐ歩けるようになったのだ。

■骨髄幹細胞が脳神経を再生する仕組みとして、3つの要素が挙げられた。

①「神経栄養分子」を放出し、弱った神経を活性化させる。

②「血管新生因子」を放出し、新たな血管を作り出す。

③骨髄幹細胞自体が神経細胞へと変化する。

上記の症例では、①「神経栄養分子」の作用で回復したものとされた。今まではその部位の脳神経細胞は死んでいたと思われていたのだが、実際にはまだ再生する力を残していたのだ。

その後、②「血管新生因子」のはたらきで、再生した神経細胞へ酸素と栄養が供給され、もとの健康な状態を取り戻していく。

番組で紹介された患者さんもすっかり良くなり退院していった。

■脳梗塞以外にも、心筋梗塞で骨髄幹細胞による再生が確認されている。

心筋梗塞は心臓のまわりを取り巻く動脈がつまることで心臓の筋細胞が死滅し、ポンプとしての機能が低下する症状を起こすものだが、ドイツの臨床試験では②「血管新生因子」のはたらきにより、ポンプ機能が回復したという例が紹介された。

■骨髄幹細胞のもたらす効果は素晴らしいものだが、重要なのは「もう回復しない」と思われていた神経細胞や心筋細胞が実際にはまだ再生する力を残していたということである。

われわれの身体は思ったよりしぶといのだ。

■実際に一般の治療へ反映されるためには臨床試験があと2年程度必要だという。

けれど、骨髄幹細胞に再生力を劇的に促進させる能力があるということは、今回の治療のようなことが『もともとの機能として我々の身体に備えられていた』という可能性を指し示しているのではないだろうか。

その機能が、意味も無く骨髄の中で眠っているというのは考えにくい。

今後の臨床試験がどうなるかは分からないが、

『あきらめない』

ということについて、深く考えさせられた。

                      <2007.11.08 記>

■NHKスペシャル■
眠れる再生力を呼びさませ~脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦~
2007.11.07再放送。(初回11.05放映)

 
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コメント

とても興味のある内容でしたが、この番組も観そびれてしまいました^^;今回もこちらのブログを拝見し、「血液学」や「生理学」等の講義を受けている、そんな気分にも浸ることができました。(こうして記事にしていただけることでより理解しやすいように思います。)
わからないことを少しでもわかろうとする「学びの姿勢」は、いくつになっても忘れてはいけないなぁ・・・って思わさせてくださる電気羊さんブログにいつもながら感謝!!です。

投稿: 臨床検査技師 | 2007年11月 9日 (金) 11時17分

臨床検査技師さん、いつもコメントありがとうございます。
反響があるというのは、とてもうれしいものです。励みになります。
最近、ブログを書いていて思うのですが、見た番組を反芻して自分の文章で書き起こすことで、なんだか分かりませんが頭の中で化学反応が起きて、書く前には想像もしていなかった結論に至ることがあります。
そういう時、ブログを始めて良かったな、としみじみ思います。
まあ、自己満足の世界なのですが。

投稿: 電気羊 | 2007年11月11日 (日) 23時37分

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