■渋滞につかまる前に先を読め。『爆笑問題のニッポンの教養』 渋滞学准教授 西成活裕。
今回のテーマは「渋滞」。
渋滞学などという学問があるのを初めて知った。
FILE:012 「万物は渋滞する」(番組HPより)
東京大学大学院航空宇宙工学准教授(渋滞学)西成活裕
2007年10月9日放送
■数学の9割は役に立たないが、残りの1割に宝の山が埋まっている、という西成さんは「渋滞」という現象を数学と統計で読み解いてしまうすごい人なのだ。
それも、「渋滞している車線で10秒間に通過できるクルマは最大で5台。」と極めて具体的なのである。
前が開いているからと車間をつめれば渋滞してしまう。かといって車間距離を大きくとっても流れはするが通過する台数が減ってしまう。そのジレンマの中での最適値が5台、ということなのだろう。
■「渋滞」をおこすのは自動車だけに限らない。
チケット売り場の待ち行列、インターネットの通信速度、小売店の在庫状況、神経の中の分子の振る舞い・・・等など、至るところに渋滞は発生しているのだ。
ありの行列をじーと観察して、「相手を乗り越える」とか「部分的に車線を増やす」という彼らの対処方法を眺めるのも面白い。
ちなみに遊園地のアトラクション待ちの行列で、「あとどれくらい待つか」の目安を知る方法は以下の式であらわすことができるそうだ。
【待ち時間】=【前に並んでいる人数】÷【1分間に後ろに並んだ人数】
じっくり考えてみると、単位時間当たりの[流出人数]と[流入人数]が同じであれば確かにそうだ。けれど、普通は計算しようとすら思わないよな・・・。そこが凄い西成さんところなのだ。
■渋滞の解決方法のヒントとして、出口がひとつしかない部屋から大勢の人が出て行くモデルでの実験がある。
驚くことに、出口に障害物を置いたほうが効率よく外に出ることが出来るというのだ。
出口に障害物がないと、みんなが出ようとあせってしてしまい出口がつまってしまうからなのでは、と考えられている。
■目の前のことばかりを考えて行動すると効率が悪くなる。
非常に耳の痛い話だ。
自分のクセなのだと思うのだけれど、目の前の仕事を一気に片付けようと、能力以上の仕事をかかえてしまって結局なにも出来ない。なーんてことが、ままあるのだ。
それは日常の中でも散見される。
たとえば、食器を洗っているときに「手早くまとめて洗っちゃえ」と4本も5本もスプーンを握って洗い始めるのだけれど、結局手に負えなくなってしまい、なんこっちゃわからなくなる。
そういう感覚だ。
■そのことを爆笑問題の二人も感じたらしい。
お笑いをやるときに、「いいネタばかりを詰め込んでもウケが悪い。お客さんが疲れてしまうのだ」という。
「感情の渋滞」である。
「笑い」という感情を引き起こすためには、「間」がとても重要なのだ。
その「間」を感じたとき、次にやってくるはずのものに対して、こころは準備を始めるのである。
その「予測」という行為が、仕事でも感情でも、何にでもあてはまる「渋滞回避」の法則なのかもしれない。
先の実験で部屋の出口にたてられた障害物。
それを目視することで、個々人それぞれが、自分とそのまわりの人の動きを予測する。その個々の予測が、集団としての滑らかな動きにつながっていく、という仮説はどうだろう。
■いっせいに向きを変えるイワシの群れ。いっせいに飛び立つカモの群れ。
それはキレイだけれど、我々にんげんが、「みんなそろって」というのは気持ち悪い。と太田はいう。
番組の流れとしても、「空気」を読んでまわりにあわせる【群集】と、自らの意思で動く【個性】のバランスが大切だ、と対立の構図でまとめられてしまった感がある。
けれど、イワシのような、飛び立つカモのような集団も、実はそれを構成する一匹のイワシ、一羽のカモの先読みと判断によって「集団としてのまとまり」が出来ているように思えてならないのだ。
そしてイワシやカモの集団の中にも、太田のように「ひねくれた(笑)」ヤツが、ある一定の割合で存在し、その「ひねくれもの」の突飛な行動が、ときとして全体の動きを変化させる引き金になることもある、そういうイメージがこころに浮かぶ。
【群れ】と【個】は対立するものではなく、先読みのできる活きた【個】が集まっているからこそ、ダイナミックでスムースな【群れ】の動きをカタチづくれるのではないか・・・。
その【群れ】のダイナミックな動きを、「良い」とか「悪い」とかいう価値観から離れたところで眺めてみると、何か新しいものが見えてくるという予感がするのだ。
落ち着いて、少し考えてみようとおもう。
<2007.10.11 記>
■書籍 『 渋滞学 』
西成活裕 著 新潮社 (2006/9/21)
<Amazon評価> ★★★★ (レヴュー数 14件)
■西成さんはとても発想が面白い人なのである。だからこそ『渋滞学』なんていう新しい分野を(それも東大の航空学科で!)切り開くことができたのだろう。
■『 「空気」の研究 』
山本七平 著 文春文庫 (1983/01)
<Amazon評価> ★★★★☆(レヴュー数 17件)
■今回、話題になっていた本です。「空気」の定義づけがポイントになるのかもしれない。
■書籍版・『爆笑問題のニッポンの教養』
■一話一冊、新書サイズにまとめた本のようです。
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