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2007年10月30日 (火)

■映画 『亀は意外と速く泳ぐ』。優しさにあふれたクスクス笑い。

ぎすぎすしたこころを ゆるーく癒してくれる。

そういう優しさにあふれた作品である。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.07  『亀は意外と速く泳ぐ
          脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
      出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
 

そこそこな毎日。

とりたててあげるような出来事もなく、ただ、ゆるゆると流れていく。

けれど少し見る角度を変えるだけで、その日常は突如としてワクワクしたものへと変貌する。

人生は意外と面白いものなのだ。

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■ストーリー■

主人公のスズメ(上野樹里)は、単身赴任の夫が置いていった亀と一緒にそこそこな毎日を送る平凡な主婦である。幼なじみのクジャク(蒼井 優)とは正反対の目立たない存在なのだ。

ところがある日、「スパイ募集」というツメの先ほどの小さな広告を発見する。面接を受けに行ったスズメを迎えた男女(岩松 了、ふせえり)は自分達がある国のスパイであることを明かし、スズメに任務を与える。

その任務は「目立たずに平凡に暮らすこと」。

今までと同じ平凡な日常を過ごすスズメであったが、それがスパイ活動であるというだけでなんだかワクワクしてくるのであった。

■DVD 『亀は意外と速く泳ぐ』
脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 49件)
 

■■■以下、ネタバレに注意。■■■

■水道管を詰まらせる亀のエサ。大量に階段から転げ落ちてくるリンゴ。妙にダンスがうまい永久パーマ屋のオヤジ。

一見、無意味に思える脈絡の無いシーンが点描のように積み重ねられて、独特の「ゆるい」世界を作り上げる。

「時効警察」で馴れ親しんだ三木聡の世界である。

■平凡な主婦がスパイになる。

とても無理のある設定のようでいて、スパイというものが社会の中に目立たぬように紛れ込むものだと考えたとき、実は、平凡な主婦ほどスパイに向いた存在はないのである。

その「実は、」という意外性は、単調な毎日を単調なものとして消化するときには決してその姿を現さない。

けれど、「もしかしたら」と日常を疑うとき、横断歩道の路面に描かれた「止まれ」の文字がときどき「止れま」となっていることや、かりんとうを一晩水につけて置くとかなりヤバいものになる、といった「実は、」に気付くのだ。

平凡にみえる日常のなかに、実は面白いことがいっぱい転がっているのだけれど、見ようとしない者には見えないだけなのである。

■そうして日常を疑ってかかると、目の前を通り過ぎていく人物の姿も少し違ったかたちで見えてくる。

作中、次々とテンポ良く繰り出される小ネタは非常にくだらなく、ときに意味不明ですらあるのだけれど、その小ネタのバカバカしさに比例してその裏に見え隠れする人物像が不思議と実態を伴ってあらわれる。

それは、日常で見せている顔は「かりそめ」のものであり、バカバカしい小ネタになってしまうような自分こそが「実は、」なまなましい本来の姿であるということを物語っているのだ。

■「かりそめ」の仮面を外すことができる世界。

それが、ある国のスパイであるクギタニ夫妻のアパートに始まり、豆腐屋(村松利史)、ラーメン屋(松重 豊)へと広がっていく。それは、ゆるく、あたたかく、心地よい「内部」だ。

だが、その心地よい「内部」の世界にも、いつか必ず終わりのときがやってくる。しかも、それは突然やってくるのだ。

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■ラーメン店「サルタナ」のオヤジ(松重 豊)が、またいい味を出しているのだ。

■バカバカしい小ネタでつづられたゆるく、心地よい世界。その世界の終わりに於いてスズメは何を成すのか。

スズメを日常の世界とつないでいる亀とオサラバしようとする試みは、川上から流れてきた(笑)加東先輩の子供によって妨げられる。

そうしている間にスパイを捕らえようとする公安警察(伊部雅刀、嶋田久作)の包囲網がせまってくる。

その時、スズメは仲間を助けるために町の送電線を切断する。日常の世界から逃れるのではなく、自らの意思で迫り来る日常に立ち向かうことを選択したのだ。

■そして、バカバカしくも楽しいスパイの仲間たちはスズメを残して地下の世界へと去っていく。

スズメもまた、亀と暮らす日常へと戻っていく。

けれどスズメはもう昨日までのスズメではない。

それは相変わらず平凡でそこそこな毎日かもしれないけれど、

スパイであることを卒業したスズメは、自らの翼で飛ぶことを覚えたのだから。

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                          <2007.10.17 記>

■DVD 『亀は意外と速く泳ぐ』
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脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
<Amazon評価>
★★★★ (レヴュー数 49件)

■ 上野樹里 ■
上野樹里といったら「のだめ」でしょう。
あの無茶苦茶な体当たり演技も「亀速」というステップを踏んでのことだったんだなー、とひとり感心してしまうのであった。

■DVD BOX 『のだめカンタービレ』
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原作:二ノ宮 知子 脚本:衛藤 凛 放映:2006年10月~12月
出演:上野樹里 玉木宏 瑛太 水川あさみ 及川光博 豊原功補 竹中直人
<Amazon評価>
★★★★★(レヴュー数 87件)

■ 三木 聡 の作品 ■
■DVD 『イン・ザ・プール』
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脚本・監督:三木聡  公開:2005年5月
原作:奥田 英朗  出演:松尾スズキ、オダギリジョー、田辺誠一
<Amazon評価>
★★★★☆(レヴュー数 35件)
■未見。でも原作をどういじっているか興味津々。そのうち見よう。 

■DVD 『図鑑に載ってない虫』<完全攻略版>
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脚本・監督:三木聡  公開:2007年6月
出演: 伊勢谷友介 松尾スズキ 菊地凛子 岩松了 ふせえり
■DVD予約受付中■ 2007年11月23日発売予定

■伊勢谷友介はともかく、他のキャストが濃すぎ!

■DVD BOX 『時効警察』
脚本・監督:三木聡ほか 放映:2006年1月~3月
出演:オダギリジョー 麻生久美子 豊原功補 ふせえり 岩松了 光石研
<Amazon評価>
★★★★★(レヴュー数 65件)

■DVD BOX 『帰ってきた時効警察』
脚本・監督:三木聡ほか 放映:2007年4月~7月
出演:オダギリジョー 麻生久美子 豊原功補 ふせえり 岩松了 光石研
<Amazon評価>
★★★★ (レヴュー数 28件)

■ 『帰ってきた時効警察』の記事へ ■
■『帰ってきた時効警察』 最終回 また会う日まで、会える時まで♪

■映画・過去記事へ■
■ もくじ ■ 名画座【キネマ電気羊】

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■亀は意外と速く泳ぐ オフィシャルHP
■この中のTRAILER -> 『亀は意外と速く泳ぐ』短編第2話が面白い。
亀を虐待しているところを見つかってしまう温水さんの芝居が最高!

■【予告編】 亀は意外と速く泳ぐ(音声に注意!)

 
 
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■ アニメーション ■
■カンヌ・アカデミーほか、映画賞・受賞作品 
 

■スタッフ■
監督・脚本:   三木聡
音楽:      坂口修
主題歌:     「南風」(レミオロメン)
OP漫画:    小田扉
プロデューサー: 佐々木亜希子
製作:      橋本直樹(ウィルコ)
    

■キャスト■
片倉スズメ:          上野樹里
扇谷クジャク:          蒼井優
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クギタニシズオ:       岩松了
クギタニエツコ:         ふせえり
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加東先輩:              要潤
ラーメン屋のオヤジ:  松重豊
豆腐屋のオヤジ:      村松利史
最中屋のおじさん:    森下能幸
水道屋:                  緋田康人
パーマ屋のおじさん: 温水洋一
スズメの父親:         岡本信人
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中西(公安の刑事):   伊武雅刀
福島(公安の刑事):   嶋田久作

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コメント

「時効警察」ファンや、ドラマ「ハゲタカ」ファン、それぞれのファンという方は結構いるんですね。でもその両方が好き!という方はまわりにはなかなか見当たらなくて・・・
理系なのに読書の幅も広く、映画などの話題も豊富、季節の移り変わりや自然のちょっとしたひとコマにも敏感に視線を注がれ、
素敵な文章を綴られる方。。。そんな方に出会うのはきっと不可能だ・・・^^;と電気羊さんのブログに出会うまでは諦めてました。
と、 前置きが長くなりすみません。
「亀は意外と速く泳ぐ」週末にレンタルしさっそく観てみたいです^^
もうすぐ公開の「転々」もよさそうですね。

投稿: 臨床検査技師 | 2007年11月 9日 (金) 12時00分

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