■その老獪さにプロ根性を見た。WBC世界フライ級タイトルマッチ。内藤大助が亀田大毅を下し、初防衛。
いじめられっこ?
冗談じゃない。老獪なプロの仕事師だ。
■近い距離からの強烈な一発を狙うために
しっかりとガードを固め、前へ前へと押してくる亀田大毅。
対するチャンピオンの内藤は、
左を使って常に自分の距離を守ろうとする。
コーナーに追い込まれても上手に逃げる。
逃げられないとなると右腕で首を抱え込む。
決して華麗とはいえない、泥臭いボクシングである。
■視野の外から突然現れる変則的な右フック。
と思えばアッパー、ボディ、ストレート。
その右が、どこへ飛んでくるのか分からない。
伸ばした左で相手の頭の位置を把握しているから
目視していなくても、正確に相手の急所をとらえてくる。
決して、ガードごと脳みそをもっていくような強烈な
パンチではないが、着実にポイントを稼いでいく。
■さらに大毅の左が単調なだけに、
チャンピオンのディフェンスの上手さが目立つ。
スウェー、ダッキング。
大毅の豪腕がむなしく空を切る。
危険な距離にはいると、またクリンチ。
この繰り返し。
空振りは体力と気力を萎えさせる。
■11R後半、大毅のガードが下がってくる。
スタミナは限界。
思うように動かない自分の体が、さらにイライラをつのらせる。
■12R。大毅はブロックを解いて倒しに来る。
残された道はK.O.のみ。
だが、内藤のふところにもぐりこもうとすると
すぐに首根っこを抱え込むようなクリンチで逃げられる。
つのりにつのったイライラが、冷静な判断を狂わせる。
内藤のしつこいクリンチに対してカラダをあずけて倒れこむ
そこで減点をくらったことで、未熟な心がポキリと折れた。
■やにわに内藤を抱え上げ、投げの姿勢に入る。
そりゃ、もうボクシングじゃない。プロレスだ。
12ラウンド 45秒。
既にその時点で終了のゴングは鳴っていた。
きれいごとだけでは勝ちきることは出来ない。
35回の戦いを潜り抜けてきた33歳のチャンピオン。
その経験からくる老獪さが際立つ試合であった。
■プロボクシングは最もストイックなスポーツであると同時に
お客を集め、金を儲けるための興行でもある。
WBCのベルトをつかむため、王者ポンサクレックに対し
内藤が3度目の勝負を挑んだタイトル戦は
スポンサーがつかずに試合が流れかけたという。
亀田でなければ「商売」にならないのだ。
■亀田大毅 10戦10勝 7 K.O.
とはいえ何のタイトルも無いWBCフライ級15位、18歳。
それが、なぜ脚光を浴びるのか。
一体、何を求めてお客は集まるのか。
■悲しいけれど所詮それが貧乏ジムの限界なのさ
と卑屈になってみてもメシが食えるようになるわけじゃない。
だから、内藤は亀田興毅との対戦を熱望するのだ。
「ハングリー」な、ボクシング本来の泥臭い世界へ
世の中を引き戻すために。
■前哨戦は終わった。
亀田興毅は、もう逃げることは出来ないだろう。
内藤の使命はまだ完遂されていない。
亀田興毅を倒すことで、
ボクシングがもつ本来の魅力を世間に伝えること。
それは、マスコミにたかられ、
商品として「消費」されていく亀田3兄弟を
その地獄の淵から救い出す行為でもあるのだ。
■年末にはポンサクレックとの再戦という話もある。
興毅を倒すまで、チャンプであり続けなければならない。
内藤大助 33歳にかせられた使命は重い。
<2007.10.12 記>
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