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2007年10月

2007年10月31日 (水)

■つるべおとし。

2007102901

秋の日の釣瓶落としとは、よくいったものである。

淡い桃色に染まった雲を見上げていたら

あっ、という間に 薄暮に沈む。

   
こういう 秋のたそがれ時は、

なにか、そわそわとした 不思議な既視感に包まれる。

  
急いで帰らないと すぐに闇がやってくるぞと

古(いにしえ)の血が、せかすのだろうか。

                           <2007.10.31 記>

  
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2007年10月30日 (火)

■映画 『亀は意外と速く泳ぐ』。優しさにあふれたクスクス笑い。

ぎすぎすしたこころを ゆるーく癒してくれる。

そういう優しさにあふれた作品である。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.07  『亀は意外と速く泳ぐ
          脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
      出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
 

そこそこな毎日。

とりたててあげるような出来事もなく、ただ、ゆるゆると流れていく。

けれど少し見る角度を変えるだけで、その日常は突如としてワクワクしたものへと変貌する。

人生は意外と面白いものなのだ。

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■ストーリー■

主人公のスズメ(上野樹里)は、単身赴任の夫が置いていった亀と一緒にそこそこな毎日を送る平凡な主婦である。幼なじみのクジャク(蒼井 優)とは正反対の目立たない存在なのだ。

ところがある日、「スパイ募集」というツメの先ほどの小さな広告を発見する。面接を受けに行ったスズメを迎えた男女(岩松 了、ふせえり)は自分達がある国のスパイであることを明かし、スズメに任務を与える。

その任務は「目立たずに平凡に暮らすこと」。

今までと同じ平凡な日常を過ごすスズメであったが、それがスパイ活動であるというだけでなんだかワクワクしてくるのであった。

■DVD 『亀は意外と速く泳ぐ』
脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 49件)
 

■■■以下、ネタバレに注意。■■■

■水道管を詰まらせる亀のエサ。大量に階段から転げ落ちてくるリンゴ。妙にダンスがうまい永久パーマ屋のオヤジ。

一見、無意味に思える脈絡の無いシーンが点描のように積み重ねられて、独特の「ゆるい」世界を作り上げる。

「時効警察」で馴れ親しんだ三木聡の世界である。

■平凡な主婦がスパイになる。

とても無理のある設定のようでいて、スパイというものが社会の中に目立たぬように紛れ込むものだと考えたとき、実は、平凡な主婦ほどスパイに向いた存在はないのである。

その「実は、」という意外性は、単調な毎日を単調なものとして消化するときには決してその姿を現さない。

けれど、「もしかしたら」と日常を疑うとき、横断歩道の路面に描かれた「止まれ」の文字がときどき「止れま」となっていることや、かりんとうを一晩水につけて置くとかなりヤバいものになる、といった「実は、」に気付くのだ。

平凡にみえる日常のなかに、実は面白いことがいっぱい転がっているのだけれど、見ようとしない者には見えないだけなのである。

■そうして日常を疑ってかかると、目の前を通り過ぎていく人物の姿も少し違ったかたちで見えてくる。

作中、次々とテンポ良く繰り出される小ネタは非常にくだらなく、ときに意味不明ですらあるのだけれど、その小ネタのバカバカしさに比例してその裏に見え隠れする人物像が不思議と実態を伴ってあらわれる。

それは、日常で見せている顔は「かりそめ」のものであり、バカバカしい小ネタになってしまうような自分こそが「実は、」なまなましい本来の姿であるということを物語っているのだ。

■「かりそめ」の仮面を外すことができる世界。

それが、ある国のスパイであるクギタニ夫妻のアパートに始まり、豆腐屋(村松利史)、ラーメン屋(松重 豊)へと広がっていく。それは、ゆるく、あたたかく、心地よい「内部」だ。

だが、その心地よい「内部」の世界にも、いつか必ず終わりのときがやってくる。しかも、それは突然やってくるのだ。

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■ラーメン店「サルタナ」のオヤジ(松重 豊)が、またいい味を出しているのだ。

■バカバカしい小ネタでつづられたゆるく、心地よい世界。その世界の終わりに於いてスズメは何を成すのか。

スズメを日常の世界とつないでいる亀とオサラバしようとする試みは、川上から流れてきた(笑)加東先輩の子供によって妨げられる。

そうしている間にスパイを捕らえようとする公安警察(伊部雅刀、嶋田久作)の包囲網がせまってくる。

その時、スズメは仲間を助けるために町の送電線を切断する。日常の世界から逃れるのではなく、自らの意思で迫り来る日常に立ち向かうことを選択したのだ。

■そして、バカバカしくも楽しいスパイの仲間たちはスズメを残して地下の世界へと去っていく。

スズメもまた、亀と暮らす日常へと戻っていく。

けれどスズメはもう昨日までのスズメではない。

それは相変わらず平凡でそこそこな毎日かもしれないけれど、

スパイであることを卒業したスズメは、自らの翼で飛ぶことを覚えたのだから。

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                          <2007.10.17 記>

■DVD 『亀は意外と速く泳ぐ』
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脚本・監督:三木聡  公開:2005年7月
出演:上野樹里 蒼井優 岩松了 ふせえり
<Amazon評価>
★★★★ (レヴュー数 49件)

■ 上野樹里 ■
上野樹里といったら「のだめ」でしょう。
あの無茶苦茶な体当たり演技も「亀速」というステップを踏んでのことだったんだなー、とひとり感心してしまうのであった。

■DVD BOX 『のだめカンタービレ』
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原作:二ノ宮 知子 脚本:衛藤 凛 放映:2006年10月~12月
出演:上野樹里 玉木宏 瑛太 水川あさみ 及川光博 豊原功補 竹中直人
<Amazon評価>
★★★★★(レヴュー数 87件)

■ 三木 聡 の作品 ■
■DVD 『イン・ザ・プール』
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脚本・監督:三木聡  公開:2005年5月
原作:奥田 英朗  出演:松尾スズキ、オダギリジョー、田辺誠一
<Amazon評価>
★★★★☆(レヴュー数 35件)
■未見。でも原作をどういじっているか興味津々。そのうち見よう。 

■DVD 『図鑑に載ってない虫』<完全攻略版>
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脚本・監督:三木聡  公開:2007年6月
出演: 伊勢谷友介 松尾スズキ 菊地凛子 岩松了 ふせえり
■DVD予約受付中■ 2007年11月23日発売予定

■伊勢谷友介はともかく、他のキャストが濃すぎ!

■DVD BOX 『時効警察』
脚本・監督:三木聡ほか 放映:2006年1月~3月
出演:オダギリジョー 麻生久美子 豊原功補 ふせえり 岩松了 光石研
<Amazon評価>
★★★★★(レヴュー数 65件)

■DVD BOX 『帰ってきた時効警察』
脚本・監督:三木聡ほか 放映:2007年4月~7月
出演:オダギリジョー 麻生久美子 豊原功補 ふせえり 岩松了 光石研
<Amazon評価>
★★★★ (レヴュー数 28件)

■ 『帰ってきた時効警察』の記事へ ■
■『帰ってきた時効警察』 最終回 また会う日まで、会える時まで♪

■映画・過去記事へ■
■ もくじ ■ 名画座【キネマ電気羊】

************************************* 

■亀は意外と速く泳ぐ オフィシャルHP
■この中のTRAILER -> 『亀は意外と速く泳ぐ』短編第2話が面白い。
亀を虐待しているところを見つかってしまう温水さんの芝居が最高!

■【予告編】 亀は意外と速く泳ぐ(音声に注意!)

 
 
■■■今、売れているDVDは?■■■
■ 日本映画 ■
■ 外国映画 ■
■ アニメーション ■
■カンヌ・アカデミーほか、映画賞・受賞作品 
 

■スタッフ■
監督・脚本:   三木聡
音楽:      坂口修
主題歌:     「南風」(レミオロメン)
OP漫画:    小田扉
プロデューサー: 佐々木亜希子
製作:      橋本直樹(ウィルコ)
    

■キャスト■
片倉スズメ:          上野樹里
扇谷クジャク:          蒼井優
* * * * * * * * * * * * * * *
クギタニシズオ:       岩松了
クギタニエツコ:         ふせえり
* * * * * * * * * * * * * * *
加東先輩:              要潤
ラーメン屋のオヤジ:  松重豊
豆腐屋のオヤジ:      村松利史
最中屋のおじさん:    森下能幸
水道屋:                  緋田康人
パーマ屋のおじさん: 温水洋一
スズメの父親:         岡本信人
* * * * * * * * * * * * * * *
中西(公安の刑事):   伊武雅刀
福島(公安の刑事):   嶋田久作

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■NHKスペシャル、『あなたの笑顔を覚えていたい』。たった一人の自分だから。

■ハンディキャップを負ってしまった人を追うドキュメンタリーというのは、どこかやるせなく、居心地が悪いものである。

けれどこの番組を見て、少し見方が変わったかもしれない。

■子供の時の交通事故が原因で脳が萎縮してしまい、事故以降の「出来事」についての記憶が保てなくなってしまった36歳の女性。

その女性が、実母に支えられながら生後5ヶ月のわが子を育てていく姿を、一年に渡って記録したドキュメントである。

■その障害に対して決してあきらめようとしない決然とした実母の愛。それを優しく見守る姉の愛。少しでも家族の楽しい記憶を残そうと努力する夫の愛。

そして、赤ちゃんが母親に見せる無垢な愛。

■はじめは記憶を補うためにミルクを与えた時間や量、眠った時間といった数字をメモに残していた彼女が、子供の成長とともに、わが子とのうれしい出来事をメモに残すようになっていく。

たぶん、それは実母、姉、夫、そして可愛いわが子。それぞれたった一人しかいない、かけがえの無い家族に支えられた「自分」というものをそのまま受け入れ、あるべきところにおさまっていく。

そういう経過をカメラが写し撮っていったのだと思う。

■「それが私の人生なのかなー、と思うときがある」

という彼女のことばが、深く印象に残った。

                           <2007.10.30 記>

■高次脳機能障害とは。

■NHKスペシャル「あなたの笑顔を覚えていたい」
(2007.10.29 放送)

■文庫 『博士の愛した数式』
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小川洋子 著 新潮文庫 (2005年11月、単行本・2003年8月刊)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 191件)
■この本を読んだ時に湧き上がった、あたたかく優しい感情が深くこころに残っている作品です。

■映画 『博士の愛した数式』
監督:小泉堯史 公開:2006年1月
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 61件)
出演: 寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子

 
■■■今、売れている書籍は?■■■
■ ビジネス ・ 経済 ・ 自己啓発 ■
■ 文学・評論 ■
■ ノンフィクション ■

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2007年10月29日 (月)

■かなり濃い口。金曜ドラマ『歌姫』。

百歩ゆずって「鯖子(さばこ)」は許そう。

で、「ゲルマン」って何っ!?

■TBS金曜ドラマ「歌姫」が暴力的なまでに面白い。

舞台は昭和30年代の南国・土佐清水。

10年前の終戦の日に記憶を失って四万十川に流れ着いた四万十太郎 (長瀬智也)は映画館・オリオン座の主人、岸田勝男 (高田純次)に救われ、映写技師として暮らしている。

喧嘩っ早くて一本気な四万十太郎が、岸田家をはじめとしたクセが強いが根はあったかい土佐の人たちと織りなす人間模様・・・

なーんていう、通りいっぺんな「昭和ノスタルジー」的枠組みをぶち壊す、「力」に満ち溢れたドラマなのである。

■ほとんど予備知識なしで先週の第3話を見たのだけれど、茫然自失。

このキャラクターの濃さは何だ!?

主人公、四万十太郎を演じる長瀬智也はタイガー&ドラゴンのチンピラ風の延長線上にいるからまだいいのだが、

四万十太郎の喧嘩友達で漁師頭のゲルマン(飯島ぼぼぼ)の存在感はどうだ。

土佐清水を新しいシマに取り込もうとする愚連隊、クロワッサンの松(佐藤隆太)のアップダウンの落差はどうだ。

その脇で密かに気になる旅館の女将、鯖子(斉藤由貴!?)の怪しさはどうだ。

■土佐弁でスピーディに展開していくテンポの良さと相まって、一気にドラマの世界に引き込まれてしまった。

どえらいパワーである。

この話の元は「東京セレソンデラックスによる伝説の舞台」だそうで、そのパワーの源は芝居の濃密さだったのかと少し納得した次第。

けれど、その濃密さを連続テレビドラマで維持するのは格段に難しいチャレンジだろう。

■果たして、この暴力的とすらいえるテンションをどこまで維持できるのか?

それは、「え!?」

という想定外の愉しみをどれくらい味合わせてくれるのかにかかっている。

少しイジワルな目線を保ちつつ今後の展開に期待したいとおもう。

                                                           <2007.10.29 記>

■TBS金曜ドラマ「歌姫」番組HP
・視聴率がえらく悪いようだけれど、もったいないなー。こんなに面白いのに。

■東京セレソンデラックス HP
・飯島ぼぼぼさんのブログにトラックバックします。なんだかブレイクの予感。

■「まんぷくらげ」さんにトラックバックします。
・やっぱり芝居は感動ものだったみたいですね。

 
 
■■■今、売れているDVDは?■■■
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■ 外国映画 ■
■ アニメーション ■
■07年 秋 【 TVドラマ原作本 】 一覧■
 

■キャスト■
四十万太郎    長瀬智也
小泉 旭      (二役)
岸田鈴       相武紗季
クロワッサンの松 佐藤隆太
神宮司(学生さん) 大倉忠義(関ジャニ∞)
鯖子         斉藤由貴
岸田勝男      高田純次
岸田浜子      風吹ジュン
小日向泉      大河内奈々子
ゲルマン       飯島ぼぼぼ
メリー                  遠山景織子
 * * * * * * * * * * * * *
山之内の親分   古谷一行
清川さくら             ジュディ・オング


■スタッフ■
脚 本        サタケミキオ(宅間孝行)
演 出               坪井 敏雄、金子 文紀、木村政和
プロデューサー  磯山 晶
製作        TBS
             

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2007年10月28日 (日)

■人間は管(くだ)である。『爆笑問題のニッポンの教養』 腸管免疫学、上野川修一。

今回のテーマは「腸」。

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FILE:014 「人は考える腸である」(番組HPより)
日本大学生物資源科学部教授 腸管免疫学 上野川修一
2007年10月23日放送

■「動物は管(くだ)である」。と上野川先生はいう。

確かにそうだ。

口から始まって、胃、小腸、大腸、肛門へと連なる「管」が一本通っているわけで、よく考えれば、胃とか腸の内側は人体の『外側』にあたるものなのだ。

■人体の『外側』である腸は食物という外部の物質と接触し、人体の内部へとそれを吸収する働きをしている。

つまり、常に外部にさらされる最前線というわけだ。

しかも、その面積はテニスコート一面分だというのだから、人体の免疫系の6~7割が腸にあるというのも、うなづける話だ。

■さらに興味深いのは、その免疫系は「寛容さ」をもっているということだ。

腸の中には、人体の細胞の総数60兆個を上回る100兆もの細菌が生息している。それら自己と呼べない生き物と共生できるのも、その「寛容さ」のおかげなのだ。

カラダに良いはたらきをする善玉菌、カラダに悪い物質を作る悪玉菌、どっちつかずの日和見菌。

これら腸内細菌が、バランスよくいることで健康が保たれるのだそうだ。

善玉菌が悪玉菌を駆逐してくれた方が健康に良さそうな気もするのだが、どうもそうではなくて、悪玉菌がいることで免疫系が活性化した状態を保てるという側面もあるらしい。

何事も多様性とバランスが大切だということだ。

■また腸は「セカンド・ブレイン」と呼ばれるほど多くの自律神経に包まれているらしい。

【腸(はらわた)が煮えくり返る】などというし、強いストレスが加わると腹が痛くなるし、なるほどと思ってしまうのだけれど、このことは一体何を意味しているのだろう。

脳でものを考えるのと同じように腸もものを考えるのか?

いやいや、「腸」との対話、というのも少し無理がありすぎる。

■むしろ、我々は「脳でものを考える」と思っているが実は「腸」がものを感じていて、それが根本にあって、その上に「意識」というものがあると捉えた方がいいのではないだろうか。

意識が何か高尚なことを考えようとしたとしても、急に猛烈な便意をもよおしてカラダをくねくねさせながらそれをこらえようとするとき、その高尚な問題などは何処かへ軽く消し飛んでいってしまう。

それではまるでコントじゃないか、というところだが、実はそこにこそ真実が現れているのではなかろうか。

「意識」として我々が認識しているものは氷山の一角に過ぎず、その下に大きな「無意識」が存在しているとはよく聞く話だが、その「無意識」というものを構成してるのは「腸」をはじめとした自律神経網による「感覚」なのかもしれない。

■ここへ来て、「動物は管である」という上野川先生の言葉が別の意味を持ち始める。

5億4000年前のカンブリア紀。

爆発的に生命が多様化していく中でわれわれの遠い祖先は消化をつかさどる「管」と、それに並行に走る「神経」としてカタチを獲得した。

つまり「腸」とそれをとりまく「自律神経」として誕生したのだ。

「腸」は、「脳」という神経の塊が発生する前から存在している基本的なものであり、「脳」が無くとも生命たりえるが、「腸」なくしては生命たりえない。

■と、すると「臓器移植」は一体なにを意味しているのだろう。

腸の臓器移植はあまり聞いたことは無いが、同じく自律神経のかたまりである心臓移植はどうだろう。

生命としての順番が「自律神経」が先にあって「脳」が後に発達したものであるならば、「そのひと」にとってより根源的な存在は「自律神経」にあるのではないか?

そのとき、心臓移植を受けたひとは移植を受ける前と「同じひと」であり続けることができるのだろうか?

■われわれは、「そのひと」であるという定義が「脳」にあると暗黙のうちに了解し、それ故に脳を機械に移植したサイボーグの物語などを素直に受け止めてしまったりするのだけれど、本当にそうなのか?

もし「意識」が独立した存在ではなく、体中に張り巡らされた自律神経系の反応を映し出す「鏡」のようなものだとするならば、移植された「臓器」はその人にとって「異物」であり、免疫学的な拒絶反応は薬で抑えることは出来たとしても、「こころ」への影響は免れないのではないか。

そう考えると、本当かどうかを確かめるすべはないけれど、心臓移植を受けた後に好みや性格が臓器提供者に似てきた。などというアンビリーバブルな話も、あながち法螺ばなしとは思えなくなってくる。

(注:もちろん、臓器移植自体を批判するつもりは毛頭無いし、自分も必要に迫られたらそういう選択をするだろうと思う。自分の臓器が培養できれば、それにこしたことは無いのだろうが・・・。)

■「私とは何か?」という高尚な問いかけをよそに、グルグルと空腹を訴える我が腸(はらわた)とそこに生活している100兆もの細菌たちがカタチ作る小宇宙は、黙々と生を刻んでいる。

白灰色をした大脳新皮質が抱える日々の迷いは、実は腸が抱える不調の反映に過ぎないのかもしれない。

だとするならば、バランスのとれた食事と適度な運動と心地よい睡眠こそが一番の悩み解消法であり、「悩み」を解消しようと「悩む」こと自体がバカバカしく思えてくる。なんのことはない、「快眠快便が一番」ということだ。

■人間は考える「管」である。

成すべきか、成さざるべきか。

それはカラダが知っている。

だから、カラダに聞け。そこに答えがあるはずだ。

   
・・・と思うのだが、実はそう思うのも大脳新皮質の働きであり、そういう風にスパンと割り切れないのが実際で、なかなか上手くいかないのが人生なのである。

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■新書 『賢い食べ物は免疫力を上げる』
上野川修一 著 講談社プラスアルファ新書 (2004/09)
■「脂肪の摂取過剰、たんぱく質の摂取不足は免疫力を下げ、ビタミン、ミネラル、乳酸菌は免疫力を上げる。」らしいですよ。 

■新書 『免疫と腸内細菌』
上野川修一 著 平凡社新書 (2003/09)
<Amazon評価>
 ★★★★★(レヴュー数 3件)
■「私たちの免疫系は腸内細菌なしでは形成されず、私たちはこの世に生存することはできないのである。」・・・腸の世界はさらに深そうです。 

                            <2007.10.28 記>

■番組違いですが、思いもかけず「意識」の話にたどりついてしまったので、茂木健一郎さんの「クオリア日記・光速の寄せと乙女の優雅の交錯」にトラックバックさせていただきます。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2007/10/post_ff22.html

 
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■  サイエンス  ■

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2007年10月26日 (金)

■300km/hの世界。NISSAN GT-R、「スーパーカー」であるということ。

GT-Rが帰ってきた、

という表現はあまり正しくないのかもしれない。

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■R35 GT-R。見かけ上はスカイラインらしさを感じるが・・・。

・ニュルブルクリンクを連続して7’30”台で走れること

・アウトバーンを300km/hでストレス無く走れること

・パワーウエイトレシオが4.0kg/ps以下であること

これが、GT-Rを「スーパーカー」として開発するに当たっての目標だったという。

そう、今回の「NISSAN GT-R」は「レースカー」であると同時に「スーパーカー」でもあることを目指して開発されたクルマなのだ。

■今、40歳前後のお父さんが幼い頃にあこがれた「スーパーカー」。

カウンタックLP400、フェラーリ512BB、ポルシェ911。

それは単に時速300kmを出せる速さだけではなく、貴族的なオーラをまとったクルマ達であった。

イタリア貴族、ドイツ王侯貴族と、その纏っている雰囲気の違いはあれども、歴史・伝統という強い背景をもって初めて、その貴族的オーラというものは立ちあわられてくるものなのだと思う。

■その意味で、NISSAN GT-Rは、もはやスカイラインGT-Rでは無い。

GTカーとして常に勝ち続けることを求められたスカイラインGT-Rは、確かにレースカーとしての歴史と伝統を背負ってきた。

だが、いみじくも「羊の皮をかぶった狼」とジャーナリスト・三本和彦さんが名づけたとおり、ベースとなる大衆車・スカイラインをチューン・アップしたレースカーであり続けたことも、また事実である。

■NISSAN GT-Rは文字通り日産のフラッグシップであり、「技術の日産」という歴史・財産を深く世界に想い起させるという使命を持っている。その為には、胸を張ってイタリア、ドイツの貴族たちと渡り合えるクルマでなければならない。

そして開発リーダーとして水野和敏さんが選ばれた。これほどの適任者は他にいないであろう。

R91cp
■R91CP カルソニック日産(ドライバー・星野一義)

■1990年前後、日産のグループC(プロトタイプカー耐久)のクルマは鬼のように強かった。

90年から92年まで3年連続でJSPCチャンピオン獲得。90年のル・マンでは日本車初のポールポジションを獲得。そして92年のデイトナ24時間レースでは圧倒的な強さを見せつけて日本車初の総合優勝を果たした。

ポルシェ、ジャガー、メルセデスといった欧州貴族どもの鼻をあかしたのが、その時代のNISMOの監督、水野和敏さんなのである。

■当時、日産のCカーは「乗りやすい」という話を何度か耳にした。800psの大出力のクルマの割りにピーキーな特性ではなく、とても安定した走行が出来るというのだ。

路面に吸い付く空力特性、車両の動的な重量バランス。そういった当時のCカーで培われた水野和敏さんの設計思想、手法が「スカイライン」という枠に捉われることなく、今回のGT-Rに投入された、というわけである。

■エンジンのフロントミッド配置、独立型トランスアクスル化と低重心化による理想の重量バランス。

走る、曲がる、止まる。

日産が「フラットライド・スポーツ」と呼ぶその走りは、その根本的な部分から「理想」に向けてスタートしている。

空力特性や電子制御4WDとVDCの協調制御や軽量化も重要なポイントだが、その立脚するところに「妥協を許さない理想主義」があったからこそ、それらの技術が光り輝いてくるのだ。

■ライバルは、ポルシェ911ターボ、BMW M6、ランボルギーニ・ガヤルド、フェラーリF430 といった500PS、2000万円クラスのクルマたちだろうか。

パワーウエイト・レシオこそ、これらのクルマの後塵を拝するが、トータルでのバランスでは「勝っている」と、誇り高き日本人として信じたい。

これら貴族のスポーツカーの乗り比べなんて夢のまた夢である小市民には、それを体感する機会がおとずれることは無いけれど、これから雑誌記事などを読んでは夢想に耽るのだろう。

■明日から東京モータショーの一般公開。

各社、環境にやさしいクルマを前面に推しだしている中で、GT-Rのもたらす「興奮」はひと際目立った存在である。

いつだって、スーパーカーは男たちを興奮させるのだ。

Gtr_meter
■MAXが340km/h、トップに280km/hと刻まれた挑発的なスピードメーター。サーキットでのみリミッターが解除されるらしい。200km/hと300km/hでは感じる世界が全く違うというが・・・。

                           <2007.10.26 記>

■関連記事■
■【ひつじの本棚】『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。

  
■NISSAN GT-R 公式HP
■赤のGT-Rがカッコイイと思う!やっぱ、スーパーカーは赤でしょ。

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2007年10月25日 (木)

■朝に光る。

Photo

朝。

やけに騒がしいそらの

その上を、ゆうゆうと

たかく、飛行機雲が光っていた。

Photo_3

                        <2007.10.25 記>

  
 
■tukuba225さんの「元気に生きる」にトラックバックさせて頂きます。

http://blogs.yahoo.co.jp/tukuba225/26017125.html

  
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2007年10月23日 (火)

■「美」がこころを揺り動かすものだとするならば。『爆笑問題のニッポンの教養』 日本美術史、辻惟雄

今回のテーマは「美術」。

予定調和的流れを太田が引っ掻き回して、想定外の着地点にたどりつくところが面白いこの番組なのだが、どうもいつもと様子が違うのだ。

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FILE:013 「異形のモノに美は宿る」(番組HPより)
東京大学、多摩美術大学名誉教授。MIHO MUSEUM館長(日本美術史)辻惟雄
2007年10月16日放送

■太田が議論を吹っかけずにゲストと同調する姿勢を示したのは初めてのことではないだろうか。

おじいちゃんに話を聞いてもらう、そういう和やかな空気が漂っていた。

辻さんは太田に、若い頃の跳ねっ返りな自分自身を重ねてみたのかもしれない。

■卒業する為にしかたなく日本美術史を専攻したという辻さん。けれど、その目には「わび、さび、風流」なんていう日本美術は非常にツマラナイものにしか映らなかった。

かたや西洋美術に目を移すと、ピカソなんて面白い絵を描くひとがいる。そういう変な絵を描くひとは果たして日本にはいなかったのだろうか?と辻さんは探してみた。

するとそれが居た、のである。

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■曽我蕭白「蝦墓・鉄拐図屏風」、長沢芦雪「寒山拾得図」

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■伊藤若冲 「鳥獣花木図屏風」

■イメージによって不自然に歪められた「異形」の世界。

その非日常的な不気味さを漂わせる世界を辻は、「奇想」と呼ぶ。

そこに「品格」というものは無い。

だが、見るものの心を不安に陥れる、強いチカラを放出している。

「美」が、「美しい」ものを指し示すだけのものではなく、人のこころを揺り動かすものであるならば、これらの絵もまた、「美」のひとつのカタチなのである。

■戦乱の時代が終わって150年余り。

文化・文政、江戸庶民の文化が花開く少し前の時代にこれらの絵は描かれた。

この歪んだイメージは、世の中を茶化して楽しむ葛飾北斎が登場する為には不可欠な要素であったに違いない。

そして、その「品格に欠けた文化」の流れは着実に現在まで受け継がれ、マンガ、アニメへとつながっているのだ。

■日本という国のカタチがどうだ、国家の品格がこうだ、と眉間にしわを寄せて堅苦しい議論をたたかわせている偉いオジサンたち。

その横っちょで、自由奔放に世界へ拡がっていく日本のオタク文化。

どちらが日本の本質をあらわしているかと考えたとき、なんとも小気味いい構図じゃないかと、愉快な気持ちになるのであった。

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■『奇想の系譜』
辻 惟雄 著 ちくま学芸文庫 (2004/9/9)
<Amazon評価>
 ★★★★★(レヴュー数 4件)
 

                           <2007.10.23 記>

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■曽我蕭白<1730-81> 「群仙図屏風」 部分。細密さがすごい。

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■長沢芦雪<1754-99> 「白象黒牛図屏風」。犬!?

Ds_ _
■伊藤若冲<1716-1800> 「群鶏図」、「蓮池遊魚図」

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2007年10月22日 (月)

■赤福、営業停止。「もったいないオバケ」が生きづらい世の中を嘆く。

『赤福』は、おいしい。

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■「安全、安心」を脅かす行為は言語道断だ。

けれど、こと食品に関しては、少し微妙な感覚を覚えるのだ。

製造年月日ではなく、賞味期限で表示することが義務付けられたのは、いつ頃だっただろうか。

■例えば、製造年月日から一週間経ったヨーグルト。ふたを開けてみて、「うわずみ」と「ヨーグルト」の分離具合とか異様な酸っぱい匂いがしないかとかで、食える食えないを判断していたような覚えがあるが、どうだろう。

もちろん、「要冷蔵、品質保証 1週間」とかの目安も参考にはしていたが、どちらかというと「自分の感覚」に頼った部分が多かった気がするのだ。

■けれど、「賞味期限」で「いつ迄」と書かれてしまうと、それに逆らうのも何だな・・・、という気になって、まだ食えそうだけど、と思いつつ捨ててしまう。

すでに「判断されている」ものについて再評価するのは疲れるものである。

そしていつしか、「食えるもの、食ってはいけないもの」の判断を自分ですることが出来なくなり、「賞味期限」だけで判断する思考停止状態に陥ってしまうのではないかと心配になるのだ。

■今回「赤福」がやったことは、もちろんルール違反である。営業停止も当然だ。

だが、「これは、まだ食べられるよな・・・。」という在庫の山をみて、「もったいないから使っちゃえ!」という気持ちも分からないでもない。

その感覚は、「ごはんを粗末にすると『もったいないオバケ』が出るぞ~」、という日本人としての極めてまっとうな道徳観に基づくものだと思うからだ。

■ルールは必要だし、ルールは守らなければならない。

けれど、なんでもかんでもルールと管理でがんじがらめ、という方向に世の中が流れていくとしたら、その「流れ」の方がよっぽど怖い。

単純に「息苦しい」、というのもあるが、それ以上に、我々消費者自身も含めて、【これは食えるのか?】という生き物にとっての根本的な能力・判断力が奪われつつあるのではないか。

そんな気がするのだ。

                            <2007.10.22 記>

 
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■自信を喪失したときには・・・。

■ブロードキャスター(だったと思う。)で松井稼頭央の話をやっていた。メジャーの天然芝での守備に苦しみ、メッツからコロラド・ロッキーズへの失意のトレード。

それから、松井稼頭央はキャッチボールから守備の練習をしなおしたのだという。ゴールデングラブ賞をとった男が、だ。

■自信を喪失したときには、基礎の基礎に立ち戻って、一つ一つ確かめながら、少しずつゆっくりと成功の感覚と自信を回復していく。

あれこれ悩んで試行錯誤するよりも、それが一番の近道なのかもしれない。

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                         <2007.10.22  記 >

 
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2007年10月20日 (土)

■『電脳コイル』、物語の核心へ。

終盤に向けてかなり盛り上がってきたなと思っていたら
この急展開!

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■近い未来。電脳メガネなるものにより、現実の風景の上にデジタルで構成された仮想現実が重なりあう不確かな世界。

すこし背伸びして大人じみた振る舞いを見せたかと思うとやっぱり子供な、小学6年生という多感なこころ。

■ここまで、そういう世界を少し甘酸っぱく、センチメンタルに描きつづけてきたのだけれど、ここ数話でストーリーは転調し、物語の底に流れ続けていた『謎』が一気に現実世界を侵食し始めた。

そして今回の21話。

主人公であるふたりの「ゆうこ」のうちのひとり、「勇子」の自我を支えていた世界が崩壊する、その衝撃。

■この作品は只者ではないと思っていたが見続けていて大正解。

子供向けとか大人向けとか関係なく楽しめる、素晴らしいサスペンス作品である。

現在21話。2クール作品だとすると残すところ、あと5話。

「マトリックス落ち」でないことを切に願う。

                          <2007.10.20 記> 

■DVD 『電脳コイル』 Vol.1
原作・脚本・監督 磯 光雄 (放映2007.05.12~)
<Amazon評価>
 ★★★★★(レヴュー数 7件)

■電脳コイル番組HP
■NHK教育 毎週土曜日18:30~

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■さよなら、オオスカシバ。

非常に忸怩たる思いなのである。

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■オオスカシバ チョウ目 スズメガ科 ホウジャク亜科 学名:Cephonodes hylas
時期: 6月~9月 幼虫はクチナシの葉をものすごい勢いで食べる。
実家のクチナシはいつもコイツに丸坊主にされたものだ。

■このピンボケが悔しいのだ。

ある会社の生垣にオオスカシバが良く来ているのに気付いたのは、9月のはじめころだったろうか。

暗い曇り空の日に撮った1枚がこの写真。せわしなく動き回るオオスカシバに翻弄されて、慌ててしまった。シャッタースピードも露出もあったもんじゃない。なんとも恥ずかしいピンボケ写真になってしまった。

■晴れた日にもう一度撮っておきたいな、と思っていたら、月日が過ぎて10月も後半。

いつの間にかきれいに刈り込まれていて花がすっかり無くなってしまった生垣の前で未練がましくヤツを探すのだけれど、

もう、時期を逸してしまったのだよ、あきらめろ。というわけなのだ。

■また来年。縁があったら会いましょう。

                       <2007.10.20 記>

 
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2007年10月19日 (金)

■自分にしか出来ないこと。『プロフェッショナル・仕事の流儀』環境金融コンサルタント・吉高まり。

地球温暖化ガス排出権ビジネスのパイオニア、吉高まりさんが今回のゲストである。

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■あえて、困難な道を行け 
環境金融コンサルタント・吉高まり 10/9放送 (番組HPより)

■吉高さんは、ひと月のうち一週間は海外を飛び回っているという。

発展途上国の非効率な社会システムの中に排出権ビジネスの種を探しているのだ。

工場の動力源をディーゼルから今まで捨てていた籾殻に変更する。ジープニーに搭載されている古いエンジンを新しいエンジンに交換する。住宅街の白熱電灯を蛍光灯に変える。ゴミ捨て場から出るメタンガスを回収し発電する。・・・

削減目標の達成が難しい先進国からの「買い」はあるのだが、難しいのは途上国側にうまく馴染ませることだ。

■排出権プランの説明会で吉高さんは極力ビジネス色が出るのを避け、声をかけられるのを待つのだという。ひたすら反応がくるのを待つのだ。

排出権ビジネスといっても三方丸く収まる魔法のビジネスではない。特に初期投資の金策が問題になるようだ。

ビジネスで壁にぶつかったときに大切なのは当人たちの当事者意識である。自分達でつくりあげたという実感がないビジネスは続かないのだ。

■一般職で入社し、コピーばかりやらされる日々。私にしか出来ないことを探そうと外資金融企業に転職。やるべきことをやり、実績を積み上げ昇進していく。

一方、これは私の仕事ではない、という思いとの乖離がどんどんと大きくなる。

このあたりの話をする吉高さんの表情がその時のつらさを物語っていた。

そして15年のキャリアを投げ打ち、環境ビジネスという新しい分野を学ぼうとジャンプを試みた。それが現在につながっているのだ。

■求めて探さなければ「やりたいこと」は見つからない。無駄だと思ってもやってみること。と吉高さんは語る。

「自分自身にしか出来ないことをやりたい。」と思い続けてここまできた。

そして長い旅路の果てにようやく「自分の仕事だ」と自信をもっていえる幸せをつかんだのだ。

■そういう体験を経たからこそ、環境ビジネスに対する発展途上国の人たちのスタンスが前向きで当事者意識が高いものかどうかを常に気にしているのだ。

人は、指導とか強制では決して動かない。動いたとしても壁に突き当たればすぐに妥協する。逃げ腰になる。

しかし、自らのこころの中から、やりたい。やろう。という意識が芽生えてくれば、あとは何とでもなるものなのだ、と吉高さんは知っているのだ。

だからこそ、彼らから声が上がるのをひたすら待つのである。

人間が大きくないと、なかなか出来ないことである。

                            <2007.10.19 記>

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■ 図解 よくわかる排出権取引ビジネス
<Amazon評価>★★★★★(レヴュー数 2件)
■この手の本で一番売れているようです。

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2007年10月18日 (木)

■イチモンジセセリもそれなりに。

何故イチモンジセセリというのだろうと思って調べてみた。

01
イチモンジセセリ チョウ目 セセリチョウ科 セセリチョウ亜科
 学名 Parnara guttata 幼虫の食草は、イネ、ススキ、エノコログサなど。

■「イチモンジ」は、後羽の白い斑点が一列に並んでいるところから命名されているらしい。

なるほど。

「セセリ」は、ひっかいてほじくるという意味の「せせる」から

・・・ いったい、どのへんが「せせって」いるのだろうか?

結局よくわからなかった。

■ところで、この蝶は良くみかけるのだけれど

あ、ちょうちょだ!

と、あまり子供がよろこびそうも無い蝶である。

その地味な色といい、カタチといい、蝶というよりは、蛾に近い。

でも、こうしてじっと眺めてみると、それなりにカワイらしいヤツなのだ。

そういうひと、いるよなー。

Photo
■バーベナ.テネラ(ヒメビジョザクラ)
シソ目 クマツヅラ科 クマツヅラ属  学名:Verbena tenera
開花時期:5月~11月 花言葉:迷信

■イチモンジセセリがとまっていた花もきれいであった。

サクラソウのような花なのだが、マツバギクのような針のような葉も、花の咲く時期も違うのでよくわからない。(後に判明。)

こういうとき、キーワードを必要とするネット検索の無力さを感じる。

で、図鑑がアナクロな威力を発揮するところなのだが、残念ながら手元の図鑑では分からずじまい。(・・・駄目じゃん。)

Photo_2
ツマグロヒョウモン チョウ目 タテハチョウ科 タテハチョウ亜科
学名 Argyreus hyperbius 幼虫はパンジーなどスミレ類を広く食べる

■道端で日光浴するツマグロヒョウモンとも出会った。

調べると、

前羽の端部にガラがないのが♂。白黒のガラがあるのが♀。

じゃあ、中途半端なこいつはオカマちゃん?!

・・・チョウの世界にも、いろいろあるようだ。

                       <2007.10.18 記>

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■ 花色でひける 野草・雑草観察図鑑
<Amazon評価> ★★★☆ (レヴュー数 3件)
■図鑑をぺらぺらめくるのだけれど判別がつかない、というのも推理小説のようで、それなりに楽しいのだ。

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2007年10月17日 (水)

■あたたかい朝。

上空一万メートルの高層で、筋雲が交差する。

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あたたかく心地いい朝。

繊細な、

それでいて決然とした強いタッチで描かれた雲の筋は

気温の上昇とともに もつれあいながら崩れて去っていく。

しばらくその様子を眺めていた。

                      <2007.10.17 記>

Photo_4 ■ 空の名前

  
■■■ 空の写真 ■■■  
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2007年10月16日 (火)

■【ひつじの本棚】『生物と無生物のあいだ』 福岡伸一。生命は不可逆であるが故に、その一回性が美しい。

非常に読みやすい科学本、という評判を聞いて早速読んでみた。

■『生物と無生物のあいだ』
福岡伸一 著 講談社現代新書 (2007/5/18)
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 103件)
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■たしかに読みやすい。

外国の科学者が一般向けに書いた良質な科学本の匂いがする。日本人では、なかなかこういう科学本は書けない。

簡単にいってしまうと、「ストーリーテラー」なのである。

科学を「物語」として語る。

その手法として、「対象」そのものではなく、対象の「周辺」を丁寧に描き出す。そのことで「対象」は、より立体的に、より共感、共鳴できるものとして立ちあがってくるのだ。

研究に没頭し、日々を消費していくような生き方をしていたのでは、到底こういう文章をつむぎ出すことは出来ない。

足を止め、一見なにもなさそうな水辺をじっくりと眺めることで、そこに生命が息づいていることを発見し、そこに幸せを感じる。そういう「等身大」の感性が、読者をひきつけるのであろう。

■「生物と無生物のあいだ」というタイトルから内容を期待して読むと当てが外れる、という書評が多かったが、全くそのようなことはない。

「生物とは、自己複製するシステムである」という一般的理解から、一歩踏み込んだ理解を得られ、自分を含めた「生命」というものの見方が変わる。そういう本である。

■我々の体を構成している細胞は、一見変化していないようにみえるけれども、実は細胞を構成する分子は常に入れ替わっている。

それは、脳の神経細胞だろうが、骨だろうが、歯だろうが全ての細胞にいえることなのである。

しかも、そのスピードは非常に速く、ねずみの場合は、たったの3日でカラダを構成するたんぱく質が入れ替わるというのだ。

■だが、次々とたんぱく質が入れ替わっていっても、間違ったたんぱく質の配置になることはない。

新しいたんぱく質が収まるべき指定席は、その周囲のたんぱく質によって確保されている。あたかも、一つだけ外れたジグソーパズルのピースのように、そのたんぱく質のみが、その隙間にはまり込むことができる。

それゆえに、日々壊れ、日々生成していく流れの中にあっても、細胞は安定した姿を保つのだ。

■「生物」と「無生物」を分けるところはどこにあるのだろうか。

構成分子が日々入れ替わるというところか?

いや、この物語は、さらに生命の本質について踏み込んでいく。

■ある機能を持ったたんぱく質を作ることが出来ないように遺伝子を操作して生まれてきたラットはどうなってしまうのか?

当然、そのたんぱく質が持っていた機能を損なったラットが生まれてくるだろうと予測される。

だが実際には、他のたんぱく質がその機能を補い、通常と何ら変わらないラットが生まれてくる場合があるのだという。

■生命とは、機械のように「設計図によって決まったもの」ではない。発生から成長していく過程で、自分自身及びまわりの環境に合わせて変化していく柔軟性を備えたものなのである。

その柔軟性は時間の流れの中で発揮される。

一度、その柔軟性によって変化をおこすと、その変化が後々システム全体にどういう影響があるかは、その影響が見えてこない限り分からない。

ただ言えることは、生命というシステムが時間の中で成長していったときに発生した変化は不可逆であり、二度と元には戻らない、やり直すことは出来ない、ということだ。

■著者はエピローグにて、その「生命の一回性」の持つ重みを、自らの少年時代の体験談として描いてみせる。

科学に関する新書を読んで文学的な感動を味わえるとは思っても見なかった。

最期まで「等身大」で語ることを貫いた著者の福岡さんは、やはり本物のストーリーテラーなのであった。

                     <2007.10.16 記>

■『生物と無生物のあいだ』
福岡伸一 著 講談社現代新書 (2007/5/18)
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 103件)

   
■関連記事■

■万物は流転する。『爆笑問題のニッポンの教養』 分子生物学教授 福岡伸一。

  
■ 読書録 ■

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2007年10月12日 (金)

■その老獪さにプロ根性を見た。WBC世界フライ級タイトルマッチ。内藤大助が亀田大毅を下し、初防衛。

いじめられっこ?

冗談じゃない。老獪なプロの仕事師だ。

Photo_5

■近い距離からの強烈な一発を狙うために 

しっかりとガードを固め、前へ前へと押してくる亀田大毅。

対するチャンピオンの内藤は、

左を使って常に自分の距離を守ろうとする。

コーナーに追い込まれても上手に逃げる。

逃げられないとなると右腕で首を抱え込む。

決して華麗とはいえない、泥臭いボクシングである。

■視野の外から突然現れる変則的な右フック。

と思えばアッパー、ボディ、ストレート。

その右が、どこへ飛んでくるのか分からない。

伸ばした左で相手の頭の位置を把握しているから

目視していなくても、正確に相手の急所をとらえてくる。

決して、ガードごと脳みそをもっていくような強烈な

パンチではないが、着実にポイントを稼いでいく。

Photo

■さらに大毅の左が単調なだけに、

チャンピオンのディフェンスの上手さが目立つ。

スウェー、ダッキング。

大毅の豪腕がむなしく空を切る。

危険な距離にはいると、またクリンチ。

この繰り返し。

空振りは体力と気力を萎えさせる。

Photo_3
■空を切る大毅の左。

■11R後半、大毅のガードが下がってくる。

スタミナは限界。

思うように動かない自分の体が、さらにイライラをつのらせる。

■12R。大毅はブロックを解いて倒しに来る。

残された道はK.O.のみ。

だが、内藤のふところにもぐりこもうとすると

すぐに首根っこを抱え込むようなクリンチで逃げられる。

つのりにつのったイライラが、冷静な判断を狂わせる。

内藤のしつこいクリンチに対してカラダをあずけて倒れこむ

そこで減点をくらったことで、未熟な心がポキリと折れた。

Photo_4
■「オイオイ、それバックドロップちゃうやん。」

■やにわに内藤を抱え上げ、投げの姿勢に入る。

そりゃ、もうボクシングじゃない。プロレスだ。

12ラウンド 45秒。

既にその時点で終了のゴングは鳴っていた。

きれいごとだけでは勝ちきることは出来ない。

35回の戦いを潜り抜けてきた33歳のチャンピオン。

その経験からくる老獪さが際立つ試合であった。

■プロボクシングは最もストイックなスポーツであると同時に

お客を集め、金を儲けるための興行でもある。

WBCのベルトをつかむため、王者ポンサクレックに対し

内藤が3度目の勝負を挑んだタイトル戦は

スポンサーがつかずに試合が流れかけたという。

亀田でなければ「商売」にならないのだ。

■亀田大毅 10戦10勝 7 K.O.

とはいえ何のタイトルも無いWBCフライ級15位、18歳。

それが、なぜ脚光を浴びるのか。

一体、何を求めてお客は集まるのか。

■悲しいけれど所詮それが貧乏ジムの限界なのさ

と卑屈になってみてもメシが食えるようになるわけじゃない。

だから、内藤は亀田興毅との対戦を熱望するのだ。

「ハングリー」な、ボクシング本来の泥臭い世界へ

世の中を引き戻すために。

■前哨戦は終わった。

亀田興毅は、もう逃げることは出来ないだろう。

内藤の使命はまだ完遂されていない。

亀田興毅を倒すことで、

ボクシングがもつ本来の魅力を世間に伝えること。

それは、マスコミにたかられ、

商品として「消費」されていく亀田3兄弟を

その地獄の淵から救い出す行為でもあるのだ。

■年末にはポンサクレックとの再戦という話もある。

興毅を倒すまで、チャンプであり続けなければならない。

内藤大助 33歳にかせられた使命は重い。

Wbc

                        <2007.10.12 記>

 
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2007年10月11日 (木)

■渋滞につかまる前に先を読め。『爆笑問題のニッポンの教養』 渋滞学准教授 西成活裕。

今回のテーマは「渋滞」。

渋滞学などという学問があるのを初めて知った。

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FILE:012 「万物は渋滞する」(番組HPより)
東京大学大学院航空宇宙工学准教授(渋滞学)西成活裕
2007年10月9日放送

■数学の9割は役に立たないが、残りの1割に宝の山が埋まっている、という西成さんは「渋滞」という現象を数学と統計で読み解いてしまうすごい人なのだ。

それも、「渋滞している車線で10秒間に通過できるクルマは最大で5台。」と極めて具体的なのである。

前が開いているからと車間をつめれば渋滞してしまう。かといって車間距離を大きくとっても流れはするが通過する台数が減ってしまう。そのジレンマの中での最適値が5台、ということなのだろう。

■「渋滞」をおこすのは自動車だけに限らない。

チケット売り場の待ち行列、インターネットの通信速度、小売店の在庫状況、神経の中の分子の振る舞い・・・等など、至るところに渋滞は発生しているのだ。

ありの行列をじーと観察して、「相手を乗り越える」とか「部分的に車線を増やす」という彼らの対処方法を眺めるのも面白い。

ちなみに遊園地のアトラクション待ちの行列で、「あとどれくらい待つか」の目安を知る方法は以下の式であらわすことができるそうだ。

【待ち時間】=【前に並んでいる人数】÷【1分間に後ろに並んだ人数】

じっくり考えてみると、単位時間当たりの[流出人数]と[流入人数]が同じであれば確かにそうだ。けれど、普通は計算しようとすら思わないよな・・・。そこが凄い西成さんところなのだ。

■渋滞の解決方法のヒントとして、出口がひとつしかない部屋から大勢の人が出て行くモデルでの実験がある。

驚くことに、出口に障害物を置いたほうが効率よく外に出ることが出来るというのだ。

出口に障害物がないと、みんなが出ようとあせってしてしまい出口がつまってしまうからなのでは、と考えられている。

■目の前のことばかりを考えて行動すると効率が悪くなる。

非常に耳の痛い話だ。

自分のクセなのだと思うのだけれど、目の前の仕事を一気に片付けようと、能力以上の仕事をかかえてしまって結局なにも出来ない。なーんてことが、ままあるのだ。

それは日常の中でも散見される。

たとえば、食器を洗っているときに「手早くまとめて洗っちゃえ」と4本も5本もスプーンを握って洗い始めるのだけれど、結局手に負えなくなってしまい、なんこっちゃわからなくなる。

そういう感覚だ。

■そのことを爆笑問題の二人も感じたらしい。

お笑いをやるときに、「いいネタばかりを詰め込んでもウケが悪い。お客さんが疲れてしまうのだ」という。

「感情の渋滞」である。

「笑い」という感情を引き起こすためには、「間」がとても重要なのだ。

その「間」を感じたとき、次にやってくるはずのものに対して、こころは準備を始めるのである。

その「予測」という行為が、仕事でも感情でも、何にでもあてはまる「渋滞回避」の法則なのかもしれない。

先の実験で部屋の出口にたてられた障害物。

それを目視することで、個々人それぞれが、自分とそのまわりの人の動きを予測する。その個々の予測が、集団としての滑らかな動きにつながっていく、という仮説はどうだろう。

■いっせいに向きを変えるイワシの群れ。いっせいに飛び立つカモの群れ。

それはキレイだけれど、我々にんげんが、「みんなそろって」というのは気持ち悪い。と太田はいう。

番組の流れとしても、「空気」を読んでまわりにあわせる【群集】と、自らの意思で動く【個性】のバランスが大切だ、と対立の構図でまとめられてしまった感がある。

けれど、イワシのような、飛び立つカモのような集団も、実はそれを構成する一匹のイワシ、一羽のカモの先読みと判断によって「集団としてのまとまり」が出来ているように思えてならないのだ。

そしてイワシやカモの集団の中にも、太田のように「ひねくれた(笑)」ヤツが、ある一定の割合で存在し、その「ひねくれもの」の突飛な行動が、ときとして全体の動きを変化させる引き金になることもある、そういうイメージがこころに浮かぶ。

【群れ】と【個】は対立するものではなく、先読みのできる活きた【個】が集まっているからこそ、ダイナミックでスムースな【群れ】の動きをカタチづくれるのではないか・・・。

その【群れ】のダイナミックな動きを、「良い」とか「悪い」とかいう価値観から離れたところで眺めてみると、何か新しいものが見えてくるという予感がするのだ。

落ち着いて、少し考えてみようとおもう。

                        <2007.10.11 記>

■書籍 『 渋滞学 』
西成活裕 著 新潮社 (2006/9/21)
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 14件)
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■西成さんはとても発想が面白い人なのである。だからこそ『渋滞学』なんていう新しい分野を(それも東大の航空学科で!)切り開くことができたのだろう。

■『 「空気」の研究 』
山本七平 著 文春文庫 (1983/01)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 17件)
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■今回、話題になっていた本です。「空気」の定義づけがポイントになるのかもしれない。

■書籍版・『爆笑問題のニッポンの教養
■一話一冊、新書サイズにまとめた本のようです。

 * * * * * * * * * * * * * *    

90分スペシャル再放送決定!■
10月13日(土曜深夜)1:45~3:15放送予定
■【記事】 縛る力と飛び出す力。 爆笑問題×慶応義塾
      

過去記事・バックナンバー『爆笑問題のニッポンの教養』

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2007年10月10日 (水)

■かぐや、月に到着す。

9日、リレー衛星の分離に成功した月周回衛星「かぐや(SELENE)」から月面の画像が送られてきた。

20071009_800km
■高度800kmから撮影。手前に見えるのはハイゲインアンテナ。今後、12日にVRAD衛星分離、19日には高度100Kmの定常観測軌道にのる予定。(JAXA HPより)

地球と月の距離は38万Km。地球の大きさをピンポン玉だとすると、月は1m10cm離れたところにあるパチンコ玉に相当するそうだ。気が遠くなるような距離である。

かぐやはそこを約5日の時間をかけて渡ったわけだ。
(大雑把に計算すると3000km/h。宇宙空間で?と自分で突っ込みを入れつつ音速に換算するとマッハ2.5。べらぼうに速いわけでもない。アポロはこれの3倍くらいか?)

かつてアポロの宇宙飛行士たちは、この距離を狭苦しい司令船に押込められて旅をした。遥か彼方のパチンコ玉へ向かう長旅は、さぞ心細かったことだろう。

それだけに月軌道に到達し、その小さな窓に巨大な月が姿をあらわした時の感慨はコトバで言い尽くせないものだったに違いない。

1.27光秒の彼方から送られてきたこの写真を眺めながら、そんな空想を愉しんだ。

                           <2007.10.10 記>

■「 FROM THE EARTH TO THE MOON 」 DVD【MOON BOX】
製作総指揮:トム・ハンクス 1998年米国 TVシリーズ全12話
<Amazon評価>
 ★★★★★(レヴュー数 10件)
From_earth_to_the_moon
■アポロ計画の全貌を描いたエミー賞受賞の話題作。買ったはいいもののまだ見てません。DVDの場合は積読(つんどく)じゃなくて、なんていえばいいんでしょうね。
     

過去記事・バックナンバー「飛行機、宇宙など」

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■プレスリリース かぐや(SELENE) リレー衛星分離成功

■JAXA かぐや (SELENE) プロジェクトサイト

■大石英司さんの「代替空港」にT/Bします。

 
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2007年10月 9日 (火)

■万物は流転する。『爆笑問題のニッポンの教養』 分子生物学教授 福岡伸一。

隔週金曜日から、毎週火曜日放映に変更になった「爆問」。

いきなりオールナイトニッポンのテーマ曲で始るところが「爆問」らしくて面白い。

今回のテーマは、「生物とは何か?」

Photo_2
FILE:011 「生物が生物である理由(わけ)」(番組HPより)
青山学院大学教授(分子生物学)福岡伸一
2007年10月2日放送

■福岡伸一さんは、その、およそ理系とは思えない豊かな文章表現で評判になったベストセラー、「生物と無生物のあいだ」の著者である。

今回の番組を見ていて、随所に達観したようなところが感じられ、なるほどなー、と妙に納得。とくに、川辺にあそぶ小魚を眺める姿が印象的であった。

■さて、テーマの「生物とは何か?」である。

自己複製する有機体。というのが一般的な答えだと思うのだが、福岡さんは、そこからさらに「何故」という問いを起こす。

生物をカタチ作るの全ての要素を試験管にあつめて混ぜ合わせても、生命は「立ち上がってこない」。それは何故か?

■福岡さんは、早世の科学者ルドルフ・シェーンハイマーが1937年に発見した「動的平衡」に着目する。

ハツカネズミが食べた「物質」が、瞬く間に全身の細胞に行き渡たる。それでいてハツカネズミの体重は変わらない。

そのことが指し示しているのは、我々の細胞がその細胞のままで中身の分子が入れ替わっているということだ。

一般に新陳代謝として我々が認識しているのは、からだの細胞が次々と入れ替わる、というものだが、細胞自体を構成する分子のレベルで常に「入れ替わり」が行われているというのだ。

生物と無生物のあいだには常に分子のやりとりが行われている。我々の体を構成している分子も、かつて机や鉛筆を構成していた分子なのかもしれないのだ。

■そういう目で、もう一度「生物とは何か?」と問うとき、生物と無生物のあいだにある境界線がゆらぎはじめる。

もちろん、そこに「生物とは何か?」に対する答えは提示されない。むしろ難しくなってしまった感がある。

ただ分かるのは、クローンを行ったところで、「全く同じ存在」が複製されるのではない、ということだ。

シェーンハイマーが提示した「動的平衡」の世界では、生物の構成分子は常に入れ替り、同じところにとどまらない。

過去の自分とは、もう出会うことは出来ない。その一瞬一瞬は、一度きりの存在なのである。

■太田は、そこに宗教的なものを感じる。科学と宗教は何が違うのか?実は同じものではないのか?

それに対して福岡さんは、科学と宗教は「文体の違い」でしかない。と言いきる。

今回の話にしても、「万物は流転する」と説いたヘラクレイトス(B.C540頃~480頃.)が語っている内容であり、全ての現象はすでに語りつくされている。

宗教と科学にしても同じこと(現象)をどう説明するか?という問題に過ぎない、というのだ。

■では何故、学問をするのか。

それは、「新しいものの見方」を得るためだと福岡さんは語る。

うーむ、至極まっとうな科学史観を難しく言い換えているだけのような気もするが、その「言い換え」にこそ意味があるという「コトバ遊び」と捉えられるのは本意ではないだろう。

多面的に物事を捉えることができるように、いろいろな物差しをもっていること、或いは作り出していくこと。それが、常に流転し同じところにとどまらない「世界」というものを理解するために必要なことだと言いたいのではないか。

そのことが福岡さんの著作の「分かりやすい」という評判につながっているようにも思えてくる。まぁ、読まずして語ること無かれ。秋の夜長の供として、まずは読んでみましょうか。

                          <2007.10.09 記>

■新書 『生物と無生物のあいだ
福岡伸一 著 講談社 (2007/5/18)
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 101件)
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■レビューを読む限り、タイトル通りの内容を期待すると肩透かしに合うようだ。けれど読む人のほとんどが読みやすいという文章が如何ほどのものなのか、非常に気になるところである。

■新書 『プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー』
福岡伸一 著 講談社 ブルーバックス(2005/11)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 17件)
Photo_4
■ノーベル賞を受賞した狂牛病の「プリオン説」に対して異議を唱えた本。プリオン説が正しいかどうかとは別として、学問のアプローチの多様性という意味で主流の意見に対して異議を提示することは大切なことだと思う。

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■一話一冊、新書サイズにまとめた本のようです。

■関連記事■
■『自己組織化と進化の論理』 S・カウフマン。今、生きていることは偶然ではないのだ。
■今回の話を聞いていて「複雑系」の生命像そのままだな、と感じた。我々生命は、固定されたものではなく、常に揺らいでる「渦巻き」なのである。

 * * * * * * * * * * * * * *    

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■BMW 1シリーズ・クーペ。そのショルダーラインにシビれる。

■遅まきながら、BMW1シリーズのクーペが公開されていることに気がついた。

Photo
Bmw1
■欧州での発売開始は11月。はたして東京モーターショーでその姿を拝むことができるだろうか。欧州仕様では直6 3.0L高圧直噴 TWINターボ 306PSも搭載されるらしい。

■フロントのホイールアーチからリアコンビランプまで真っ直ぐ伸びるピシリとしたショルダーライン。そのラインの上側の面がしっかりしていて非常に気持ちいい。その、どことなくノスタルジックカーをほうふつとさせる造形に惚れぼれしてしまう。

またクーペ化にともないトランクが追加されることで、シルエットにのびやかさが出た。変則的なハッチバックのシルエットに対し、BMWらしい落ち着きが感じられる。

Bmw_1_5dr_
■5Dr HB。全長4240、全幅1750、全高1430。直6エンジンを搭載するためのロングノーズが目立つ。これはこれで面白いカタチである。

Bmw_1
■クーペ。全長4360(+120)、全幅1748、全高1408(▲20)。

■というわけで、1シリーズ・クーペのスタイリングにシビれてしまったのだけれども、実際購入対象になるかというと、とうてい家族もちのクルマにはなりえず、かといってうちの経済レベルでは300万円もするセカンドカーを持つ余裕も無い。

まあ、せいぜい高速で自分のクルマを追い抜いていく姿を眺めて楽しむくらいなのだが・・・。

306ps30l6twin_t_c_dig
■うーむ、これにアルファロメオの顔をつけると完璧だ(笑)。

                         <2007.10.09 記>

モーターファン別冊 「新型車のすべて」 シリーズ

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2007年10月 7日 (日)

■ドラマ 『ガンジス河でバタフライ』 異種格闘技対決。 宮藤官九郎、インドにノックアウト!

ガンジス河で本当にバタフライをやってしまう長澤まさみが凄かった。

■ストーリー■
就職活動の面接で、つい「インドでバタフライをやりました」といってしまった てるこ(長澤まさみ)は、自分に対して引っ込みがつかなくなり、衝動的に単身インドに向かう。てるこは、そこで想像を遥かにうわまわるインドの現実と直面することになるのであった。

■脚本は宮藤官九郎。

そこを期待して見たのだが、どうもしっくりこない。日本のパートとインド現地ロケのパートとの落差があまりにもありすぎるからなのか。

腹話術にはまる母(竹下景子)、日本を一歩も出たことのないインドカレー屋の店主。ぶっとんだキャラクターで猛烈に押してくる、いつもの「クドカン節」は健在なのだけれどインドのパワーの前にあえなくK.O.された印象だ。

■それに対して次第にインドに馴染んでいく長澤まさみが素晴らしい。8割方「素」の演技だったのじゃなかろうか。

そしてガンジス河でのバタフライ!

セリフの中にもあったけれども、ドラマというよりは「世界ウルルン滞在記」のようなドキュメンタリーとして楽しめる作品であった。

                       <2007.10.07 記>

■原作本 『ガンジス河でバタフライ』
たかのてるこ 著 幻冬舎文庫 (2002/03) (単行本:2000年11月刊)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 26件)
Photo 
■まさか、ほんとにバタフライをした人がいるとは驚いた。
原作の紀行エッセイ。作者のたかのてるこさんは、日大芸術学部放送学科の同窓生だそうです。

■スタッフ■
原作: たかのてるこ 「ガンジズ河でバタフライ」
脚本: 宮藤官九郎     監督: 李闘士男
製作: メ~テレ(名古屋テレビ)、東映

■キャスト■
高野てるこ: 長澤まさみ
母: 竹下景子  父: 石橋蓮司  兄: 荒川良々
テツコ: 中谷美紀  シンゴ: 
塚本高史  カレー屋店長: 皆川猿時
          

■DVD たかのてるこ旅シリーズ 恋する旅人 さすらいOLインド編
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 2件)
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■■■ 宮藤官九郎・脚本  お気に入りドラマ ■■■

■「タイガー & ドラゴン」
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 46件)
放映:2005年4月~7月 (TBS系列)
出演:長瀬智也, 岡田准一, 伊東美咲, 笑福亭鶴瓶, 西田敏行, 銀粉蝶 ほか
■タイガー、タイガー、じれったいがー、が未だ耳に残っている。

■「ぼくの魔法使い」
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 30件)
放映:2003年4月~7月 (日本テレビ系列)
出演:伊藤英明, 篠原涼子, 古田新太, 阿部サダヲ, 井川遥, 西村雅彦 ほか
■何かを思い出そうとすると古田新太に変身しちゃう篠原涼子。バカだねぇ。

■「マンハッタン・ラブストーリー」
<Amazon評価> ★★★★☆(レヴュー数 52件)
放映:2003年10月~12月 (TBS系列)
出演:松岡昌宏 及川光博 塚本高史 小泉今日子, 尾美としのり ほか
■松岡のマスターが最高。「私の人生と経験と魂にかけて言わせてもらう!」

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■ドラマ『ガンジス河でバタフライ』番組HP
http://www.nagoyatv.com/ganges/index.html

 
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■ストーンヘンジ。「知識」と「理解」は明らかに違う。

世界のドキュメンタリーを放映する『地球ドラマチック』(NHK教育)の再放送で『ストーンヘンジ ~復元!謎の巨石群~』を見た。

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■番組HPより

■ストーンヘンジといっても特に感慨を覚えることは無かったのだが、この番組で見る目がまるっきり変わってしまった。

映画の特殊撮影用のリアルな模型を作るチームが3ヶ月をかけて発泡スチロール製の原寸大ストーンヘンジを作成、4000年前の本来の姿を再現する。

馬蹄形に並んだ石組み高さは7メートル。その周囲直径100メートルの円状にならんだ高さ5メートルの石組み。その隙間を埋めるように人間の背の高さほどのブルーストーンが並ぶ。

Photo_6

■別にわざわざそんなバカでかい実寸模型を作らなくてもCGで十分じゃないか。という気もするが、やはり「現実のもの」でしか味わえないものもあるのだ。

夏至の日の出、冬至の日没。その時の太陽光の入射角は巨石と巨石の間を絶妙に通り抜け、中央の石に反射して荘厳な光の芸術を作り出す。

さらに円状に並んだ巨石により、音が反射、増幅され「うなり」のような効果も生み出される。

どちらもデジタルな解析モデルで検証可能だし、むしろCGの方が発泡スチロールの張りぼてよりよっぽどリアルな映像を再現できることだろう。

けれども、高さ7メートルの物体に囲まれてそこに立つ人間が体感する感動は、現実の世界でしか味わえないものである。

■TVのこちら側でも、その感覚は十分伝わってきた。ストーンヘンジに対して今までの教科書的な「知識」としての認識から、祭祀の場としての生き生きとした存在へと自分の中で大きく変貌を遂げたのである。

うまく表現は出来ないが、自分の認識に「質的」変化をありあり感じたということである。

「知識」と「理解」は明らかに違う。

そんなことを考えさられる番組であった。

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                       <2007.10.06 記>

■『地球ドラマチック』バックナンバー
http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/57.html

 
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2007年10月 5日 (金)

■映画 『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』。脳という名の迷宮。偉大なるB級映画。

横溝正史の「因習」と江戸川乱歩の「奇怪さ」が合わさったような、そういう雰囲気をもった映画だ。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.06  『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)
          監督:実相寺昭雄  公開:2005年7月
      原作:京極夏彦  出演:堤真一 永瀬正敏 原田知世
 

いわゆるB級映画である。

シナリオはいたるところで無理がある。実相寺監督の演出も冷静にとらえれば引いてしまうだろう。

だから、細かいことを気にしてはいけない。

ほとばしるイメージの迷宮を右脳で味わう。それが、この映画の正しい見方である。

(ホントか!?ちょっと苦しいぞ・・・。)

__02
■実相寺さんとこの構図。どこかで見覚えが・・・。

■ストーリー■

昭和27年夏、東京。小説家の関口(永瀬正敏)は、「20ヶ月ものあいだ妊娠しつづけている女がいる」という噂を聞きつけ、そんなことがあるものかと、古書店「京極堂」を営む旧友、中禅寺(堤 真一)のもとを訪ねる。

博識な彼の助言に従い、相手の過去を覗く眼をもった探偵、榎木津(阿部 寛)に相談を持ちかけようとする関口だったが、そこに失踪した妹の夫(恵俊彰)を探してくれと久遠寺涼子(原田知世)が現れる。彼女と瓜二つの妹、梗子(きょうこ)こそが、「生まれない子」を宿した謎の妊婦だったのだ。

産科を営む旧家、久遠寺家で一体なにが起きたのか。さまざまな人間を巻き込みながら事件は絡み合い、謎は次第に深まっていく・・・。

(※原作は読んでいないので小説版との不整合があるかもしれませんが、ご容赦ください。)

■DVD 『 姑獲鳥の夏 』 プレミアム・エディション
<Amazon評価> ★★   (レヴュー数 45件)

■■■以下、ネタバレに注意。■■■

■事件の真相を探ろうとする男が、実はその事件に大きく係わっていることが次第に明らかになっていく。話の展開としては好みのパターンだ。

榎木津は捜査のはじめの段階で事件の真相を目撃し、京極堂は端(はな)からその事件のことを知っているらしい。

「見ているのに、見えていない。」

取り残された関口は、次第に湧き上がってくる「幻想」を頭から振り払おうとするのだが、ぐいぐいとその沼に引きずり込まれていく。

観客は主人公の関口とともに、その暗い迷宮をさまようことになるのだ。

■監督は、幻想と現実が入り乱れる映像を得意とする鬼才、故・実相寺昭雄(1937-2006、享年69歳)である。

かなり強烈な演出をするので好みは分かれるところだが、一度はまるとクセになる。

斜めに傾いだカット、超広角レンズによる強烈な空間のゆがみ、望遠で浮き上がらせた登場人物の派手なアップ、かと思うと画面の下に登場人物ポツンと置かれる不安な構図や舞台演劇のようなスポットライトの多用。唐突なシーンのつなぎ方。

これだけ無茶苦茶をやって、破綻をきたさないところが実相寺監督の老練さだ。

Photo
■「あなたには用はない、もどりなさい、お母さん。

■演技では、終盤、涼子が救われるシーンでの原田知世が光っていた。セリフなしのシーンなのだけれど見ているこちらまで救われるような演技であった。

「ありがとう」と小さくつぶやく口もと。

この一瞬のために、124分間の物語があったといっても過言ではない。素晴らしい。

■永瀬正敏の関口も、寡黙で内にこもるような性格が強い存在感とともに現れていて好演。こちらも黙っているだけで絵になるのだからニクい役者である。

次回作「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」では体調不良(腎尿路結石)のために降板したらしい。非常に残念だ。

■涼子、関口といった「幻想」の世界へ行ってしまった人間に対し、現実にすっくと立った京極堂(堤 真一)の涼しげな印象もこころに残る。

「不思議なものなど何もないのだよ、関口君。」

その、ちょっとわざとらしいくらいのセリフの加減が心地良かった。

___2

■遊びとしては、水木しげる役、鑑識課員役で登場した京極夏彦のとぼけた演技も捨てがたい。

けれども、エンドタイトルをしみじみと味わったところで唐突に現れる京極堂。

これだけは、どうしてもイタダケナイ。まさに「蛇足」。

2時間かけて作り上げた作品の世界観がぶち壊しである。

実相寺さんの名誉のためにも、ここはカットしたほうがいいと思うのだが・・・。

Dvd
■DVD 『 姑獲鳥の夏 』 プレミアム・エディション
監督:実相寺昭雄(2005年7月) 原作:京極夏彦
出演:堤真一 永瀬正敏 原田知世
 
<Amazon評価>
 ★★   (レヴュー数 45件)
■それにしても低い評価。かえって清々しいくらいだ。

                         <2007.10.05 記>

■スタッフ■
監督:実相寺昭雄
原作:京極夏彦
脚本:猪爪慎一
美術:池谷仙克
音楽:池辺晋一郎


■キャスト■
中禅寺秋彦(京極堂):堤真一
関口巽                   :永瀬正敏
久遠寺涼子/梗子(二役):原田知世
  *  *  *  *  *   
榎木津礼二郎         :阿部寛
木場修太郎            :宮迫博之(雨上がり決死隊)
中禅寺敦子            :田中麗奈
  *  *  *  *  *   
中禅寺千鶴子    :清水美砂
関口雪絵       :篠原涼子
  *  *  *  *  *   
久遠寺牧朗       :恵俊彰
久遠寺嘉親      :すまけい
久遠寺菊乃      :いしだあゆみ
  *  *  *  *  *   
内藤          :松尾スズキ
原澤伍一        :寺島進
戸田澄江                :三輪ひとみ
澤田富子                :原知佐子
  *  *  *  *  *   
水木しげる(傷痍軍人):京極夏彦

■DVD 怪奇大作戦 Vol.6
<Amazon評価> ★★★★★(レヴュー数 16件)
■実相寺監督作品「呪いの壷」、「京都売ります」を収録。ともに怪奇大作戦の中でも名作といわれる作品。(1969年放映)
「姑獲鳥の夏」のラストで全ての業を焼き尽くす炎上シーンがあるが、その原点はこの「呪いの壷」にある。

■ ドグラ・マグラ
夢野久作 著 角川文庫 上下二巻 (1976/10)
(昭和十年一月、書下し自費出版)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 39件)
■直接は関係ないのだけれど、「姑獲鳥の夏」を見終わって、まずアタマに浮かんだのがこの小説。「読むと精神に異常をきたす恐れがある奇書」、と言われるだけのことはあって読むものを迷宮に誘い込む。勇気のある方は是非。

■原作「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」
京極夏彦 著 講談社文庫 (1998/09)
<Amazon評価>
 ★★★★ (レヴュー数 112件)
■京極堂シリーズ第一弾。未読。今さらだけど読もうか思案中。(たぶん嵌まると思う。)

■京極堂シリーズ続編「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」
京極夏彦 著 講談社文庫 (1999/09)
<Amazon評価>
 ★★★★☆(レヴュー数 68件)
■まさにレンガ!1000ページ以上あるそうです。
でもシリーズ最高傑作とまでいわれると気になるものである。

■映画 『魍魎の匣』公式HP(2007.12公開予定)
監督、脚本は『突入せよ!あさま山荘事件』の原田 眞人。
見てから読むか、読んでから寝るか、あれ?

   
■■■ もくじ ■■■
名画座【キネマ電気羊】
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2007年10月 4日 (木)

■新型 日産スカイラインクーペ 「スポーツカーに乗ろうと思う」、再び。

新型スカイラインクーペがデビューした。

Dsv36_skyline_coupe_side
■NISSAN SKYLINE COUPE 公式サイトより(何だか往年のZ32フェアレディZの「スポーツカーに乗ろうと思う。」というCMを想いおこさせる写真である。)

■前型V36スカイライン・クーペよりも、さらに美しくなったと思う。

特に、後方に向かって気持ちよく抜けていくリアフェンダーまわりの造形に「スカイラインらしさ」を感じる。

V36_skyline_coupe_2

■また、フロントまわりの造形も抑揚が強くなり、Type Sのバンパー仕様と併せるとフェラーリチックな雰囲気すら漂う。

フェラーリはちょっと言い過ぎかもしれないが(笑)、写真で受ける印象よりも実際のクルマの方がカッコイイというのは偽らざる感想である。

■このフロントまわりのデザインを可能にしたのは、「ポップアップエンジンフード」という歩行者頭部保護のための技術である。普通のクルマはボンネットとエンジンの間に空間を大きく取って、歩行者を跳ねたときにボンネットに当たる頭部への衝撃を吸収している。

それに対して「ポップアップエンジンフード」は歩行者とぶつかった瞬間にボンネットを跳ね上げて頭部の勢いを受け止めるというシステム。エンジンに対してボンネットの位置を低くすることが出来るのでデザインの自由度が増すというわけである。

これは1000万円を越えるジャガーXK(2005年デビュー)以来、世界で二番目(たぶん)、国内初のシステムである(私が知っている限りでは)。

■また、エンジンもポイントだ。

クーペに搭載されるエンジンはVQ37VHR。セダンのVQ35HRに対し、ストロークを延ばして3.7L化。さらにバルブタイミングとバルブハイトを連続的に変化させるVVEL(Variable Valve Event & Lift )を採用することで、333PS/7000rpm、37.0kgm/7000rpmを叩き出す。さらに燃費(*1)も9.3km/l(Type P)とセダンとほぼ同等であり、VVELの威力恐るべし。なのである。(*1)10・15モード燃費

アクセルに対するレスポンスもかなり良いらしい。が、Type Sの燃費は8.9km/lであり、あくまでも憶測だが、Type PとType SでVVELと5ATの制御を使い分けている可能性がある。試乗記事を読むときには仕様をしっかり確認しておいた方が良いかもしれない。

■「スポーツカー」と呼べるデザインと性能を身につけた新型スカイラインクーペ。

10月26日に開幕する東京モーターショーでデビュー予定の「GT-R」に向け、気分は徐々に盛り上がっていく。

Photo
■V36 スカイライン クーペ (V36 スカイライン 公式ブログより)   

                          <2007.10.03 記>

モーターファン別冊 「新型車のすべて」 シリーズ

■Motor Fan illustrated ― 図解・自動車のテクノロジー シリーズ
   

■関連記事■
■【ひつじの本棚】『スカイラインとともに』、櫻井眞一郎かく語りき。
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_5ee2.html

     
■V36 スカイライン クーペ 公式サイト
http://www.nissan.co.jp/SKYLINE/V36/0710/index.html

■V36 スカイライン 公式ブログ
http://blog.nissan.co.jp/SKYLINE/

   
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■「NISSAN GT-R」の発売は12月の予定で、価格は700万円台後半から。(・・・だそうです。)

Photo
■GT-Rオフィシャルサイトより。

Photo_3
■GT-Rプレス公開写真

■GT-Rオフィシャルサイト
http://www.gtrnissan.com/

 
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2007年10月 2日 (火)

■かぐや、地球を振り返る。

月に向かって順調に飛行を続けている月周回衛星「かぐや(SELENE)」が、地球のハイビジョン映像を送ってきた。

071001
■上弦の地球。右下に南米大陸が見える。(写真:JAXA/NHK)

地球の大気層はこんなにも薄いものなのか。

美しいということばが出る前に、そういう衝撃を受けた。

動画が公開されるようになれば、その衝撃は、さらにリアリティーを増すのだろう。

 
こんなにも薄く、危うい大気に包まれて

小さなちいさな われわれは

小さくためいきをついて おおぞらを見上げるのだ

いつか、きっと。

                      <2007.10.02 記>

■<JAXA/NHKプレスリリース>(2007.10.01)
月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)動画撮影成功について

 
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2007年10月 1日 (月)

■縛る力と飛び出す力。『爆笑問題のニッポンの教養』 爆笑問題×慶応義塾。

今回は、各分野を代表する慶応大学の8人の教授陣と爆笑問題の公開討論90分スペシャル。テーマは「2030年の社会はどうなっているか?」。

Photo_2
■爆笑問題×慶応義塾、2007年9月28日放送。番組HPより。
90分スペシャル再放送決定!■
10月13日(土曜深夜)1:45~3:15放送予定

■デジタル化の更なる進化によって取りこぼされてしまうものは何か、或いは補わなければならないものは何か。

医療技術の進歩で何が可能になりそうなのか、そして何を目指していくのか。

中国、インドの経済的発展と知識のグローバル化。それに伴う世界規模での人材競争と、ますます拡がる格差の構図。

■内容としては知的で大変面白いのだけれど、何か物足りない。いつものダイナミックな脱線がないのである。

太田はなんとか引っ掻き回そうとするのだが、如何せん相手が多数だから上手く火が付かないのだ。

■そこに、おあつらえ向きの着火材が現れる。慶応義塾・塾長の安西祐一郎先生の登場である。

「2030年の社会」などというテーマにはお構い無し。塾長と聴衆の学生たちとの関係性の中で、『知』とは、『学問』とは何か、というところに話題が飛躍していく。

このはみ出し方が期待される『爆問』らしさなのだ。

■学問することはワクワクすることだと謳う塾長と、既成の流れの中での学問は面白くないしワクワクもしないと反発する太田。

そうして、「まず【強く縛る力】があって、それを【飛び出す力】を培うことが大切。自分自身で【疑問】を生み出すところからすべては始まる」という、しみじみとした塾長の言葉を引き出すことに成功した。

結局、太田と塾長の思うところは非常に近い、ということが確認されて大団円。

「2030年の社会」というテーマについて、多様な知識による創造的渦巻きが大きく育つことは無かったが、その片鱗は味わうことが出来た。

やはり「公(おおやけ)」の場では育ちにくいものなのだろう。強烈な個性が匂い立つ、研究室のちょっとあやしい雰囲気の中でこそ、そういうダイナミックな創造的渦巻きは育つのだとおもう。

ところで、次回から毎週火曜日放送になるのだけれど、「仕事の流儀」との2本立てはちょっと濃密すぎやしませんか?NHK殿!

                       <2007.10.01 記>

_
■DVD 『爆笑問題×東大 東大の教養』
<Amazon評価>★★★★ (レヴュー数 1件)

■書籍版・『爆笑問題のニッポンの教養
■一話一冊、新書サイズにまとめた本のようです。

 * * * * * * * * * * * * * *          

過去記事・バックナンバー『爆笑問題のニッポンの教養』

■『爆笑問題のニッポンの教養』、番組HP

 
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■気持ちを伝えるということ。「ことば」の断絶と、その再構築。

沖縄戦の集団自決に関する教科書検定問題が盛り上がっている。

その件についての茂木健一郎さんのブログ記事に、こころを揺さぶられた。散文の行間から強い感情が漂ってくる文章である。

■ Good morning! からすでに (茂木健一郎さんのクオリア日記)

■モンティ・パイソンを見ていて、ジョン・クリーズが訪問客を送り出す別れ際に「Good morning ! 」と声をかけるシーンに、日本語の「おはよう!」という言葉との根本的なニュアンスの違いがあることに気付く。

英語は、英語で生きる生活とその文脈の中でしか意味を成さない。

なるほど、英語を学ぶときに、「辞書はロングマンの英英辞典を使うべし」とか、「英語で考えろ」とかいわれるのはそういうワケなのかもしれない。

■英語と日本語という分かりやすい例を持ち出してきたのだけれど、茂木さんが言いたいことは、ことばの捉え方が「違う」ということだけではなく、その結果生じる「行き違い」の不幸についてなのだろう。

沖縄の人たちと楽しく呑んでいて、何気なく「沖縄の人たちは昔はどんな服装をしていたのですか?」というコトバを投げかけて相手を激昂させた、という話。その時に茂木さんが感じたザラリとした感触は、非常に良くわかるものである。(少し、のんき過ぎる気もするが・・・。)

■もちろん沖縄と本土が違う、といいたいわけではない。

同じ「ことば」でも、その人が生きてきた背景によって意味が異なってくる。ということである。

それは、人が他人とは異なる「自分」というのものを意識したときに生じるものであり、共に暮らす家族との間でさえ逃れることのできない蹉跌なのだ。

■先に、「茂木さんが感じたことが良くわかる」と書いたけれども、その時点で既に行き違いが生じているのかもしれない。

私が茂木さんの文章で感じたことは、私が生きてきた体験の積み重ねの上に「感覚」として再構成されたものであり、茂木さんの実際の「感情」と同じであるかどうかは確かめようの無いことなのだから。

そう考えたとき、教科書検定の話でいえば、沖縄戦を実際に体験した地域の人たちと、霞が関のお役人との間に横たわるギャップは埋めようが無い、という悲感的な見方に陥っていく。

だが、それでいいのか。

■「男と女の間には、深くて暗い河がある」と歌ったのは誰だったか忘れてしまったが、その救いようの無い暗さにはどうしても共感できない。いや、共感するのを認めたくないという自分がいる。

決して交わることの無い2本の線。

だが、その2本の線の間には、お互いのこころに影響を与え合う「関係」があるのは間違いない。

それは、「ことば」だけでは伝えることができない性質の「何か」である。

それが身体的な感覚を含む感情によるのもならば、直接会うこと。目と目を合わせること。手と手を握り合うこと。そういった身体的な、さらにいうと原始的なコミュニケーションが大切になってくるのではないだろうか。

むしろ、そこがしっかり結びついているならば、言葉なんていうものはただの付け足しに過ぎないのかもしれない。

■そうしてコミュニケーションの手段としての「ことば」を一旦否定した上で、己の身体感覚を頼りに、ブログという極めてデジタルな方法での「ことば」のコミュニケーションに再度挑戦する。

それが、今、私がこのブログを書いていることの意味なのかもしれない。

                         <2007.10.01 記>

 
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■ もくじ ■ 文化・芸術・その他

■■■ INDEX ■■■
文化・芸術に関する記事の一覧です。
※リンク切れ等、不具合がありましたら、コメントをいただけると助かります。

■■■ 2017年 ■■■

■■■ 7月 ■■■

■『ジャコメッティ展』@国立新美術館。見えるものを、見えるままに。今、ありありと感じる「わたし」の奥底に居を定めた男はわれわれの原初を呼び起こす。

■■■ 4月 ■■■

■『ミュシャ展 スラヴ叙事詩』 民族の歴史と自らの使命に目覚めたとき、パリの異邦人「ミュシャ」はスラヴ人の「ムハ」となる。

■■■ 2016年 ■■■

■■■ 12月 ■■■

■『ダリ展』 国立新美術館。少年サルバドールの心象風景。

■■■ 2015年 ■■■

■■■ 7月 ■■■

■『ダナエ』、クリムト。恍惚としてエロスに浸る幸福。欲望も悟りをも越えた、人間が最後にたどり着く楽園。

■■■ 2012年 ■■■

■■■ 8月 ■■■

■『館長 庵野秀明 特撮博物館』に行く。特撮オジサンたちの熱さは未だ健在なのだ。

■■■ 2011年 ■■■

■■■ 8月 ■■■

■ワシントン ナショナル ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション。幸せを永遠に封じ込めた傑作と対峙する。

■■■ 2010年 ■■■

■■■ 12月 ■■■

■ドガ展。切り取られた「一瞬」に込められた我々の認知の広がり。

■■■ 2009年 ■■■

■■■ 10月 ■■■

■聖地チベット展へ行く。

■■■  9月 ■■■

■ゴーギャン展、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」をみる。

■■■  7月 ■■■

■neoteny japan ネオテニー・ジャパン ―高橋コレクション。クール・ジャパンの本質は、ポップな甘さの奥にある生々しい思想とそれを支える超絶技巧にあるのだ。

■■■  6月 ■■■

■大恐竜展 ―知られざる南半球の支配者―、上野 国立科学博物館。

■■■  4月 ■■■

■国宝 阿修羅展・東京国立博物館。6本の細身の腕が作り出す広大な神話的チカラ。

■■■ 2008年 ■■■

■■■  12月 ■■■

■「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」、国立新美術館。ピカソの左目は何を見る。

■ヴィルヘルム・ハンマースホイ展 ―静かなる詩情―。
 抑え、取り去ることで浮かび上がる緩やかな感情、反射する光への憧憬。

■■■  11月 ■■■

■語座、霜月会。対面と、同化と、考える’わたし’。

■■■  10月 ■■■

■ただよう感情。エモーショナル・ドローイング ―現代美術への視点6―
  奈良美智 ほか、東京国立近代美術館。

■■■  9月 ■■■

■『舟越桂 ―夏の邸宅― 』。感情をカタチとして捉える試み。

■■■  8月 ■■■

■NHK課外授業 ~ようこそ先輩~ 押井守。視点を変えることで生まれる不思議な感覚。

■■■  7月 ■■■

■エミリー・ウングワレー展。理屈を超えてカラダに直接伝わってくる「面白さ」。

■「語座」実験劇場3。コトバのハタラキについて。

■■■  5月 ■■■

■ウルビーノのヴィーナスを見に行く。その挑発的な「まなざし」が私を揺さぶるのだ。

■■■  1月 ■■■

■ウルトラマン大博覧会 『ROPPONGI天空大作戦』。破天荒なあの頃の空気にどっぷり浸かる夜。

■上野・国立西洋美術館。ギュスターヴ・ドレ。常設展示の拾い物。

■ムンク展・国立西洋美術館。『声/夏の夜』、冷静さを失わせる魅惑的なものが迫ってくる。

■■■2007年■■■
■■■ 12月 ■■■

■人に見られてこそアートは力を発揮する。。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 キュレーター・長谷川祐子。

■■■ 9月 ■■■

■ミイラと暮らす死生観。インカ・マヤ・アステカ展。
 国立科学博物館。

■おしりかじり虫。脳みそへの波状攻撃。

■■■ 8月 ■■■

■ とのさまガエル。げろげろげーろ、あとはまかせた!

■岸田劉生と麗子像。

■北脇昇と出会う。東京国立近代美術館。

■    ■    ■

■アンリ・ミショー展。イメージが運動する。

■歌謡曲の巨星堕つ。阿久悠さん死去。

■■■ 7月 ■■■

■靉光(あいみつ) 『眼のある風景』に触発される。

■    ■    ■

■第6回『語座bis』公演。「語る」という作業は、語り手だけでは
完結しない。

■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。

■国立新美術館 さざなみに包まれる心地よさ。

■■■ 6月 ■■■

■『モネ 大回顧展』 97点の作品で浮かび上がるモネの生涯。

■■■ 5月 ■■■

*   *   *   *   *   *   *

■■■ 4月 ■■■

■さよなら、ワニバレエ。

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■ もくじ ■ TVドラマ

■■■ INDEX ■■■
TVドラマに関する記事の一覧です。
※リンク切れ等、不具合がありましたら、コメントをいただけると助かります。

■■■ 2010年 ■■■

■■■  1月  ■■■

■大河ドラマ「龍馬伝」。龍馬は一日にして成らずなのだ。

■■■ 2009年 ■■■

■■■  12月  ■■■

■NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』。単純明快に!

■■■  10月  ■■■

■日曜劇場JIN ―仁―。次の展開にワクワクする久しぶりのドラマなのだ。

■■■  9月  ■■■

■NHKドラマスペシャル 白洲次郎。矛盾に満ちたこの世の中で真っ直ぐ生きるということ。

■■■  8月  ■■■

■土曜ドラマ「リミット―刑事の現場2」最終回。いいドラマ、というのはこういうものなのかもしれない。

■■■  7月  ■■■

■濃密な感情の奔流。土曜ドラマ「リミット―刑事の現場2」が面白い!

■日曜劇場 ドラマ 『官僚たちの夏』 今、高度成長期を再演することの意味。

■■■  6月  ■■■

■日曜劇場『ぼくの妹』最終回。兄妹を結ぶ無条件のやさしさ。

■ドラマ『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』。「現場」と「人間」は時代を超えて通用するか。

■■■  5月  ■■■

■NHK金曜ドラマ『ツレがうつになりまして』。ゆるゆると眺めませう。

■■■  4月  ■■■

■日曜劇場・ドラマ『ぼくの妹』。カテゴライズを拒む行く先不明の面白さ。

■■■  3月  ■■■

■ドラマ 黒部の太陽 後編。絶対にやり遂げる人間の強い意志と生きる力、勇気。

■ドラマ 黒部の太陽、前編。いやー、迫力ですねー。

■ドラマ・銭ゲバ、最終回。テレビドラマという虚構の世界を突き破る試み。

■金曜ナイトドラマ・歌のおにいさん、最終回。やっぱり素直な分かりやすさって強いやね!

■NHKドラマスペシャル、白洲次郎。極上のレシピと、素材と、料理人。

■■■  2月  ■■■

■ドラマ『銭ゲバ』第6話。この権力無き時代に。

■■■  1月  ■■■

■ドラマ『銭ゲバ』。貧しいって悔しいね、同じ人間なのにね。

■金曜ナイトドラマ 『歌のおにいさん』。こんな時代に生まれた可哀想な子供たちへ。

■木曜ドラマ 『ありふれた奇跡 』、脚本・山田太一。淡々とした日常の底に流れるもの。

■■■ 2008年 ■■■

■■■  12月 ■■■

■ドラマ 『あの戦争はなんだったのか 日米開戦と東条英機』、昭和も歴史になりにけり。

■NHK 時代劇スペシャル、『花の誇り』。待てばいつか拓ける時が来る。

■ドラマ 『ブラッディ・マンデイ』、最終回。さらば、セクシー・マヤ!

■金曜ドラマ 『流星の絆』、最終回。二宮和也、いいねぇ。

■NHKドラマ8 『七瀬ふたたび』最終回。その悲しく透明な美しさ。

■■■  11月 ■■■

■『ブラッディ・マンデイ』、第4話。正しい銃の奪い方。

■■■  10月 ■■■

■金曜ドラマ 『流星の絆』 第1話。思い出したくない過去を明るい日常に埋没させようとする努力は、かえって不幸を重く際立たせてしまうのだ。

■ドラマ 『ブラッディ・マンデイ』。完璧な初回スペシャルには気をつけろ!

■NHKドラマ8 『七瀬ふたたび』。予想外のテンポの速さに大満足。

■スペシャルドラマ 『ガリレオΦ』。これが本来のガリレオか!

■ドラマ『夢をかなえるゾウ』。ガネーシャ、自分、インチキっぽいくせに意外といいこと言うやん!

■■■  9月 ■■■

■NHK土曜ドラマ 『上海タイフーン』。木村多江が蓮舫に見えた!

■『ゴンゾウ』最終回、「夏の終わり」。偶然を必然として結びつけるのは「愛」である。

■■■  8月 ■■■

■『ゴンゾウ 伝説の刑事』。次回、第7話。遂にゴンゾウの過去が明らかに!

■■■  7月 ■■■

■『打撃天使ルリ』。だっしゃー!と濃すぎる漫画を日常に組み込む試みは成功するのか?

■『ゴンゾウ 伝説の刑事 』。船頭にまかせて流れに身をゆだねるのも良し。

■■■  6月 ■■■

■『プロポーズ大作戦 スペシャル』。決して裏切ることの無いその一生懸命な優しさにあてられて幸せな気分に浸るのであった。

■ドラマ 『ラスト・フレンズ』 最終回。美知留、あんたホントにそれでいいのか!

■■■  5月 ■■■

■■■  4月 ■■■

■NHK土曜ドラマ 『トップセールス』 寡黙な戦中派の優しい目線。

■ドラマ 『ラスト・フレンズ』 やはり上野樹里は只者ではなかった。

■■■  3月 ■■■

■『鹿男あをによし』 最終回。テレビドラマの悩ましさ。

■金曜ナイトドラマ 『未来講師めぐる』 最終回。「見える」未来より、いま信じる未来。

■■■  2月 ■■■

■深夜ドラマ 『栞と紙魚子の怪奇事件簿』 原作、諸星大二郎。その無謀な試みは果たして。前半戦を振り返る。

■ドラマ『鹿男あをによし』。ゴージャスな馬鹿バカしさが「グーっ!」なのだ。

■■■  1月 ■■■

■『未来講師めぐる』第3話。黒川智花の参戦で一気にブレイク!

■ドラマ『SP(エスピー)』最終回!?テレビドラマを舐めてはいけない。

■深夜アニメ 『墓場鬼太郎』。どうしようもない欲望が退屈な世の中に風穴をあける。

■Nスペ、最強ウイルス・ドラマ『感染爆発~パンデミック・フルー』。新型インフルエンザの前に成す術無く崩れ去る対策シナリオ。

■金曜ナイトドラマ 『未来講師めぐる』。クドカン節、炸裂。

■新春ドラマ 『のだめカンタービレ in ヨーロッパ』、帰ってきた「ぎゃぽー!」。

■「栞と紙魚子」がドラマに!『栞と紙魚子の怪奇事件簿』。映像化不可能とも思える諸星大二郎のあの作品が?!

■■■ 2007年 ■■■
■■■ 12月 ■■■

■ドラマ『歌姫』最終話。グッときたぜよ!

■『電脳コイル』 最終回。ちゃんとサヨナラをすること。

■■■ 11月 ■■■

■ULTRASEVEN X、いよいよ佳境へ。

■ドラマ『SP(エスピー)』。こりゃ本物だぜ!

■■■ 10月 ■■■

■かなり濃い口。金曜ドラマ『歌姫』。

■『電脳コイル』、物語の核心へ。

■『ガンジス河でバタフライ』 異種格闘技対決。 宮藤官九郎、インドにノックアウト!

■■■ 9月 ■■■

■黒澤明ドラマスペシャル 『生きる』。「映画」と、「ホームドラマ」と。

■Nスペ 『鬼太郎が見た玉砕』。戦争の不条理。TVドラマの枠を
逸脱した10年に一度の傑作。

■■■ 8月 ■■■

■『ハゲタカ』 再放送。組織で働くということ。

■■■ 7月 ■■■

■『スカルマン』 最終回。それ、何ていうスターウォーズ?

■『パパとムスメの7日間』 舘ひろしのプクーに悶絶。

■『必殺仕事人 2007』 中村主水 健在!

■■■ 6月 ■■■

■完璧なプロットに脱帽。『プロポーズ大作戦』 その優しさ。

■『帰ってきた時効警察』 最終回 また会う日まで、会える時まで♪

■■■ 5月 ■■■

*   *   *   *   *   *   *

■■■ 4月 ■■■

■人間の再生。 NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」

■■■ 3月 ■■■

■『華麗なる一族』 最終回  生き続けることについて

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