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2007年9月17日 (月)

■【ひつじの本棚】『蜘蛛の糸は必ず切れる』 諸星大二郎。小説です。

諸星大二郎の最新のマンガだと思って買ったら、小説だった・・・。

けれど、相変わらず「諸星ワールド」炸裂の面白さで一気に読んでしまった。その独特の面白さは小説でも変わらない。

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■ 『蜘蛛の糸は必ず切れる』
諸星大二郎 著 講談社 (2007年9月)

■「船を待つ」、「いないはずの彼女」、「同窓会の夜」、「蜘蛛の糸は必ず切れる」の4編を収録。

特にお気に入りは巻頭の「船を待つ」。

一切の説明を省いて、ただ、いつ来るかも分からない「船を待つ」人たち。この人たちが「何故、船をまっているのか」は明かされず、その淡々とした生活を「僕」の視点で描いていく。

諸星大二郎お得意の現実から少しずれた世界。自分の中に隠れている、漠然とした「不安」。

結局、「僕」は船に乗ることができるのか?

それは読んでのお楽しみ。

■「いないはずの彼女」、「同窓会の夜」の2編も、OLの「あたし」、中学の同窓会に参加する「俺」、という一人称で語られる。

話としては、ありがちな筋なのだけれど、その語り口に諸星大二郎らしい味わいがある。頭の中にすんなりと諸星作品の絵柄が浮かんでくる。

■表題作の「蜘蛛の糸は必ず切れる」は、もちろん芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のパロディー。

諸星の描くカンダタは用心深くかつ執念深い。自分にたらされた蜘蛛の糸の下に地獄の亡者共が鈴なりにぶら下がっても、慌てずに態勢を立て直し、次のチャンスを狙うしたたかさを備えているのだ。

オチもまた格別で、諸星大二郎らしい意地悪さに溢れている。

■帯には『恐怖』の文字が躍っているが、決して『恐怖小説』の部類ではない。『不安の立像』のような「じわじわ心にしみこんでくる不安な感じ」とか、『栞と紙魚子シリーズ』のような「怖いというより滑稽」な世界なのである。

大傑作とは言えないけれど、諸星大二郎の描く漫画の世界が好きな人であれば、お奨めできる本ではある。

                           <2007.09.17  記>

■ 『蜘蛛の糸は必ず切れる』
諸星大二郎 著 講談社 (2007年9月)

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