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2007年8月17日 (金)

■NHK「日本の、これから」 『考えてみませんか?憲法9条』 ここが歴史の分水嶺?

日本国憲法 9条
1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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■憲法9条改憲について、どうも安直に考えていたようだ。

「9条は自衛隊と不整合となっている2項を改訂して、その役割を国土防衛と国連指揮下でのPKOに限るとし、集団的自衛権は、改訂2項の範囲内で定めればいいんじゃないか。」

くらいに捉えていたのだが、この番組の議論を通じて、簡単に「改憲」を語ることの浅はかさに気付かされた。

『今、なぜ憲法9条改正論議が起きているか』について、深く考えていなかったのだ。

■火のないところに煙はたたない。

いつのまにか海外派遣の先遣隊機能を持つ中央即応集団なる部隊が結成され、近い将来キャンプ座間に移る米陸軍第一軍団司令部と合流することになっている。

アメリカが推し進めるグローバリゼーション(世界の画一化)に対する反発としてのイラク、アフガン、イラン、国際テロ活動。

それに対抗する米軍再編と、否応なくそこに組み込まれていく自衛隊。

その文脈から憲法9条改正と集団的自衛権の論議を眺めると、日本国民のあずかり知らぬところで、自衛隊を反米勢力との戦いに引きずりこもうとする米国の思惑に沿って物事が進んでいるように思えてくる。

その流れを踏まえずして現実的な議論はあり得ない。

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■それならばと、小林よしのり氏のように「脱アメリカ、国軍の充実」などと一足飛びに出来るほど世の中は単純ではない。

「グローバライゼーション」を推し進める原動力がアメリカの経済界ならば、そこに便乗して権益確保を狙う日本企業も同じ穴のムジナなのである。

そして、「それは、けしからん!」と冷房の効いた快適な部屋でスイカのタネを撒き散らしながら「正義」を振りかざす時、我々はただの道化師と化してしまう。その生活の豊かさを支えているのは未発達地域への経済拡大、つまり「グローバライゼーション」そのものだからだ。

「天ツバ」とは、まさにこのことをいうのだろう。

■だが今回だけは、「我れ、関せず」と世の流れに身を任せるわけにもいくまい。

改憲、改憲と盛り上げておきながら、実は「改憲」論議はタダの当て馬だったりするかもしれない。その影でこっそり、「集団的自衛権」が合憲という新解釈をされてしまい、いつの間にやら自衛隊が米軍と一緒に中東の前線でドンパチやっているなんてことにもなりかねない。

あとで振り返れば、あの時が日本が平和国家であることを捨てた分水嶺であったと記述されることになるかもしれないのだ。

■けれど、「『集団的自衛権』をどうにか行使できるようにしたい」という思惑をもった政治的動きは、逆に「日本国憲法の理想主義」についてしっかりと見つめなおすチャンスを我々に与えてくれているのかもしれない。

日本国憲法の生まれは確かに「押し付け憲法」なのかも知れないが、そこに埋め込まれた実験的な「理想主義」は、生みの親である占領国(アメリカ)の意図に反して成長し、我々のこころにしっかりと根付いている。

だからこそ、我々は「日本国憲法の理想主義」に対してもっと誇りを持って良いのだと思うし、それは今の日本が取り付かれている「経済至上主義」に取って代わる、有力な『理念』なのだと思う。

今、各紛争地域に展開し、命を張って苦労されている自衛官の方々が「何のために体を張っているか」と疑問を抱くようなことがあってはならない。

日本がどういう国でありたいかを決めるのは、他ならぬ我々自身なのだ。しっかりと考えていきたいと思う。

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日本国憲法 前文<抜粋>
<前略>日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
<中略>
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。(1946年11月3日公布)

■伊藤真の憲法入門―講義再現版
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                        <2007.08.16 記>

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