■『ハゲタカ』 再放送。組織で働くということ。
■『ハゲタカ』、地上波再放送が終了した。
何度見ても引き込まれてしまうドラマである。
心理状態を描写する見事な構図、照明のあて方
心を揺さぶる音楽、
細部にまでこだわった美術。
(持ち主の読み込み方が一目でわかる文庫版『大木流経営論』の
「汚し」の見せ方!)
そして、もちろん説明を極力廃し、
「語らずして、語る」 脚本と
それを可能にした演出、役者の素晴らしさ・・・。
ああ、語ればキリがない。
■今回、再放送で見ていて、改めてしみじみしたのが
第3話 「終わりなき入札」だ。
100円を入れても入れても戻ってきてしまう
コーヒーの自動販売機。
その虚しい繰り返し。
「アナタは何をやっているんですか!?」
三島由香の厳しく問いかける声が蘇ってくる。
そして、芝野はサンデートイズの入札合戦に
自ら終止符を打つ。
それは同時に、銀行マンとしてのキャリアに
終止符を打つことも意味していた。
■三葉銀行の役員会議室(?)で
芝野が辞表を出すシーンでの
飯島専務(中尾 彬)のセリフがいい。
かっこええな、お前はいつもかっこええ。
(ふっ) だからダメなんだ。
最終回では、うまく大団円を迎えることになるわけだが、
その裏で飯島専務が技術流出反対の
ロビー活動をやっていたことを忘れてはいけない。
芝野のような、かっこ良さの影には
いつも汚れ役が必要なのだ。
飯島専務が会議室を出た後に
芝野の同期、広報部長の沼田(佐戸井けん太)が
別れ際に言うセリフが、また心に沁みる。
お前は何も見えていない。いや、見ようとしていない。
這いつくばって、罵られて、
それでも与えられた仕事をひとつひとつこなしていく。
そうやって生き続けたとき、次が見えてくる。
俺は最後まで三葉に残る。
やめないのも、勇気だよ。芝野。
この沼田や大空電機の塚本社長(大杉 蓮)といった
脇を固める人物について、
組織人としての愚直さを否定せず、
悩みながらも誠実に生きていく姿として描ききったところに
このドラマのしみじみとした奥深さがあるように思う。
我々ひとりひとりが芝野のように
かっこ良くなれるわけではないのだから。
<2007.08.25 記>
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■何度見ても引き込まれます。
■関連記事■
■人間の再生。 NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」
●「ハゲタカ」原作●
真山仁 著
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