■歌謡曲の巨星堕つ。阿久悠さん死去。
阿久悠さんが昨日、8月1日に亡くなった。
死因は尿管がん。70歳であった。
思えば1970~80年代は、歌謡曲の時代であった。
NTVでは紅白歌のベストテン、TBSではザ・ベストテン。
ゴールデンタイムには、歌謡曲が流れていた。
過去を振り返ってはいけないというけれど、
あの頃の歌は、歌詞が心にしみついて
無意識に、ふと、口ずさむような歌が多かった。
楽しい気分の時には楽しい歌を
ブルーな気分の時には切ない歌を。
ピンクレディーが歌う、異次元的な恋の駆け引き。
沢田研二が歌う、かっこいい男の美学。
小学生時代の自分に、その歌詞が
どこまで理解できていたかは、わからない。
けれど、その強烈なインパクトは、
しっかりと体の芯まで浸透し、
その時の気分と連動して歌が浮かび上がってくる、
という意味で、今や自己の一部となっている。
「どうにもとまらない」 「恋のダイヤル6700」
「また逢う日まで」 「あの鐘を鳴らすのはあなた」
「津軽海峡冬景色」 「舟歌」
「青春時代」 「熱き心に」
「歌謡曲」と呼ばれるような歌は、一部の演歌を除き
ほぼ絶滅してしまった。
その後も延々と歌は作り続けられ、ヒット曲もある。
音楽的なレベルも上がって素晴らしい曲もある。
けれど、聞き手はどんどん分散していき、
だれもが、その歌に身を任せられる。
そんな歌が極めて少なくなってしまったのだ。
老若男女 聞けば楽しくなって踊りだすような
老若男女 聞けば胸を締め付けられるような
阿久悠さんは、そういう歌を作ってきた。
けれど、ご安心ください。
阿久悠さんの歌は、
まだこの胸に生きているのですから。
こころより ご冥福をお祈り致します。
<2007.08.02 記>
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