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2007年8月16日 (木)

■【ひつじの本棚】『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』。おじさんは怒っているのだ!

『事実』とは多面的なものである。

世の中が、ひとつの意見にまとまって動き出すような時には、特に注意が必要だ。

そういうことを考えさせられる本である。

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■『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
武田邦彦 著 洋泉社ペーパーバックス (2007/03)
<Amazon評価> ★★★★ (レヴュー数 78件)

■本の装丁は多少インチキくさいが(笑)、中身は非常にまともである。

タイトルからして勘違いしそうだけれど、決して『環境問題』反対論の本ではない。『環境問題』の周辺に渦巻く利権や不誠実さについて我々が知らない『事実』を怒りをもって訴えかけている本なのである。

■例えば、『資源リサイクル』の代表格であるペットボトル。

その消費量のうち分別回収されるのは約半分。そして実際に資源として再利用されるのは『回収』されたペットボトルの10%に過ぎず、残りの90%は捨てられているという。

さらにプラスチック容器の分別コストは自治体に200億円/年の負担増やし、小売業者がリサイクル協会に支払う費用は500億円/年にのぼる。

我々がごみを分別した結果が、ほとんど再利用されず、さらに毎年700億円もの無駄な負担を増やしているという現実。

リサイクルは新しい利権構造を生み出しただけなのだと、著者の武田教授は断罪する。

■また武田教授は、ニュースのセンセーショナルな側面をことさら切り出して報道するマスコミに対しても怒りの鉄槌を振り下ろす。

かつて世間を震撼させた「ダイオキシン」や「環境ホルモン」。テレビのニュース番組は危険性を煽るだけ煽っておいて、科学的に人体に影響がないと分かったところで大きく訂正することはない。実際に風評被害などで被害にあった人がいても、その傷みに対して省みようとしない、その姿勢。

地球温暖化についても、科学的事実をろくに調べもせずに不安を煽るような報道を繰り返す、そのいいかげんさ。

その『不誠実』に対して怒りを爆発させているのだ。

■武田教授は真面目すぎる人である。

真面目すぎるが故に世の中の『いい加減さ』が許せず正論を吐く。けれど、まわりからは煙たがられる。そういうオジサンがたまに居るけれど、武田教授も、その手の方のようだ。

けれど、そういう正義感をもったオジサンが居なければ世の中は面白くない。その説が「正しい」とか「間違っている」とか、そういう問題ではなく、イロイロな視点からの「異論」が飛び交うこと自体が世の中を面白くし、かつ民主主義として大切なのだと思う。

実際、私自身、この本に書かれていることにそのまま同意するわけではない。けれど新しい別の視点を与えてくれたことを評価するのである。

■「群盲、象を評す」。というけれど、『事実』にはいろいろな側面があり、多面的な情報があってはじめて全体像の理解にいたる。

大本営発表の情報だけでは、決してものごとの『全体像』をつかむことは出来ないのだ。

そういう意味で、武田教授のような「正義の人」が専門的見地から声をあげるというのは民主主義社会として非常に健全なことだ。

その役目は『社会の木鐸』たる報道機関が本来果たすべきなのだが、如何せん世の中のシステムが巨大で複雑になりすぎていて、なかなか追いつかないのが実態なのだろう。

だからこそ、各分野のプロフェッショナルが勇気をもって声を上げることが求められているのだ。

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■『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
武田邦彦 著 洋泉社ペーパーバックス (2007/03)
<Amazon評価> ★★★★ (レヴュー数 78件)

 
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