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2007年7月

2007年7月30日 (月)

■【ひつじの本棚】『人生なんて夢だけど』 やなせたかし。

この本は、今年で88歳になる、やなせたかしさんの自伝である。

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■ 人生なんて夢だけど
やなせたかし フローベル館 (2005年2月)

漫画家といいつつも、三越の包装紙のレタリングやら、「手のひらを太陽に」の作詞やら、宮城まり子のステージの構成やらドラマの脚本やら、とにかく仕事が手広い。「困ったときのやなせさん」と自嘲ぎみに語るとおり、頼まれると断れない性格なのである。

 そうだ うれしいんだ
 生きるよろこび
 たとえ胸の傷がいたんでも

 なんのために生まれて
 なにをして生きるのか
 こたえられないなんて
 そんなのは いやだ! 

このアンパンマンのテーマは、そのまま やなせさんのテーマソングでもある。

「多くの人を喜ばせたい。うれしそうな笑い声を聞くのが大好きです。本当に気持ちがいい。」(第八章 時の流れはかえられない より抜粋)

と語るとおり、まわりの人たちの笑顔が やなせさんの心のエネルギー源である。そして文字通り、自らをすり減らしてでも、みんなの笑顔を得ようとする。

その使命感の突き抜け方は尋常ではなく、腸閉塞で緊急入院したその翌日にベッドを抜け出してミュージカルの舞台に立つほど。その時、実に83歳。

しかし、そこには飄々とした明るい空気が漂い、悲壮感を感じさせない。それは、戦後の人生を共に歩んだ漫画集団の仲間を次々と失っていき、ついには最愛の奥さんを亡くしてしまったことと無縁ではないだろう。

悪夢よりは楽しい夢がいい。
この世の「悲しみ」や「怒り」をひととき脇に置いといて、今は優しさにあふれた楽しい夢で笑おうよ。

というメッセージが、深いの悲しみの果てにあるものだと考えると胸を突くものがある。

                        <2007.07.30 記>

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■ 人生なんて夢だけど
やなせたかし フローベル館 2005年2月
<Amazon評価 ★★★★ (レヴュー数 1件)>

Photo_3
■ アンパンマンの遺書
やなせたかし 岩波書店 1995年2月(絶版)
<Amazon評価 ★★★★★(レヴュー数 2件)>
■1994年に書かれた初めての自叙伝。やなせたかしさんが駆け抜けた敗戦後の青春時代については、コチラの方が詳しく、いきいきと描かれている。最愛の奥さんを失った直後に書かれたため、人生の総決算的けじめをつけたいという空気が全編に漂う。が、本質的に人を喜ばせることが大好きな 
やなせさんの人柄がにじみ出ていて決して重苦しくは無く、ところどころに散りばめられたイラストも含めて楽しい本である。
ところがこの本、何故か絶版となっている。古書でも、なかなか手に入りづらい状況。ぜひとも再販して欲しい良書である。

Photo_2
■ あれはだれの歌―やなせたかし詩とメルヘンの世界
やなせたかし 瑞雲舎 2005年12月
<Amazon評価 ★★★★★(レヴュー数 1件)>
■やなせたかしの代表作のひとつ「MR.BO」、だれもが耳にしたことのある「てのひらを太陽に」、もう一度読みたいというたくさんのリクエストのあった「チリンの鈴」。4コマ漫画と詩と絵とおはなしが、この本の中にぎっしりつまっています。<やなせたかしさんHPより>
    

■関連記事■

■ひつじの本棚■
『あんぱんまん』 やなせたかしと「正義の味方」
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_0ef1.html

■やなせたかしのアンパンマンショップ
http://www.anpanmanshop.co.jp/02-00.htm

 
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2007年7月28日 (土)

■映画 『時をかける少女』。失われた記憶の微かな香り。

♪ももーくりさーんねん。かき、はーちねん。
  あっ、あの歌ね!
♪ゆずは九年でなりさがるー
♪なしーのーばかめがー、じゅうはーちねん。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
古今東西なんでもあり、気楽でささやかな名画座をめざします。
ゆっくりUPしていくつもりなので、ひとつ長~い目で見てやってください。

No.03  『時をかける少女』
          監督:大林宣彦  公開:1983年7月

先週のアニメ版「時をかける少女」地上波初放映の前座として、深夜に大林版が放送された。昭和40年代前半生まれの、オヤジのハートを直撃である。

01

■ストーリー■

土曜日の実験室。高校生の芳山和子は、そこでラベンダーの香りをかいで気を失ってしまう。それ以来、どうやら自分が同じ時間を何度も体験しているらしいことに気が付く。和子は思い切って、そのことを幼なじみの深町くんに打ち明けてみるのだが・・・。

■この作品の詳細を見る■
    
■DVD 『時をかける少女』

 
■以下、ネタバレあり、注意方。■

■この映画でデビューした原田知世の初々しさに目が惹かれるが、五朗ちゃん役の尾美としのりの演技も絶品である。老舗醤油屋の跡取りとして働く横顔のひたむきさ。幼なじみの芳山和子を慕う気持ちを表に出せない不器用さ。脇役のはずなのだが、どうしても彼に感情移入してしまう。

それに比べて、深町くん役の高柳良一の棒読み演技が強烈に浮き上がっている。今回、久しぶりに見直してみて、これは『未来人』の違和感を上手く醸し出す為に敢えて彼を選んだキャスティングの妙なのだと気が付いた。

なかなか演技で、あの不自然さは出せるものではない。こういうやり方もあるのかと妙に感心してしまった。

■映像としては、彩色だとか、コマ飛ばしとか、かなりアクの強いものである。だが、不思議と違和感は無い。過ぎ去ってしまった「記憶」を閉じ込めたような尾道の風景と組み合わされることで、現実と薄皮一枚ずれた絶妙なところでバランスを保っている。

深町くんが「土曜日の実験室!」と叫びながら芳山和子を崖から突き落とすシーンは苦笑いするところだが、それから芳山和子が過去の時代をさまようシーンは、なかなか秀逸なものである。

松任谷正隆の作るリフレインにのって、くるくると時間の渦に翻弄される原田知世。そこで「同じ時間に同一人物は共存できない」という設定が生きてくる。

自分の幼い頃の世界に足を止めた途端に、その時代の幼い自分は隠れてしまう。両親が幼い自分を探す姿に、はっ、と気が付き、時間の渦へ戻ると同時に幼い自分が現れる。その、まるで追いかけっこのような緩急と松任谷正隆の旋律とのシンクロが心地いい。

■この映画のテーマは「記憶」ではないだろうか。

幼い頃のかすかな記憶。割れた鏡で指を切った傷跡。深町くんの親指にあるはずのその傷跡を五朗ちゃんの指に見つけたときの気が遠くなるような感覚。

自分の記憶と異なる事実。それは少年時代のアンバランスな感覚を突き崩す斧である。

時が過ぎて、薬学者となった芳山和子が廊下で深町とすれ違うシーン。ドリーインとズームアウトを組み合わせる技法で、その瞬間、芳山和子の胸に込み上げる「理由のわからない」切なさが表現される。

記憶が常に正しいとは限らない。意識の底で、ふっ、と何かを感じる時、そこに失われてしまった大切な思い出があるのかもしれないのだ。

                       <2007.07.29 記>

■スタッフ
監督 大林宣彦
製作 角川春樹  
原作 筒井康隆
脚本 剣持亘
音楽 松任谷正隆
主題歌 「時をかける少女」
作詞・作曲 松任谷由美

■キャスト
芳山和子 原田知世 
深町一夫 高柳良一
堀川五朗 尾美としのり 
    * * * * * * *
福島先生 岸部一徳
神谷先生 津田ゆかり
    * * * * * * *
深町の祖父 上原謙
深町の祖母 入江たか子
    

■原田知世が歌いながら、映画のシーンを振り返る
ミュージカル仕立てのエンディングタイトルも
ほのぼのとした、あの時代を感じさせて、
何だか、やわらかい気持ちになった。

■原作 筒井康隆 『時をかける少女』

角川文庫 新装版 (2006年5月)
   

■大林宣彦 尾道三部作■

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■DVD 『転校生』
監督:大林宣彦  公開:1982年
小林聡美/尾美としのり

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■DVD 『時をかける少女』
監督:大林宣彦  公開:1983年7月
原田知世/高柳良一/尾美としのり

Photo_2
■DVD 『さびしんぼう』
監督:大林宣彦  公開:1985年
富田靖子/尾美としのり

****************************

Dvd_2
■DVD 『時をかける少女』 アニメ版
監督 細田守 2006年7月公開
脚本 奥寺佐渡子
美術 山本二三
テーマ曲 「ガーネット」 作詞・作曲・歌 奥華子
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■美術とカットがいい。特に光と影の作り方が美しい。
ただ美しいだけではなく、
それによって画面に奥行きが出てくるのだ。
この監督、いい仕事師である。
  
テーマ曲「ガーネット」もイイ。
奥華子の歌声と、この映像の組み合わせだけで
胸がきゅんとなる。(おっさんの胸キュンというのもどうかと思うが)

「作品」としての深みを捉えることは出来なかったが、
これだけ評価されるところをみると、単に
私の「ツボ」にはまらなかった。ということなのだろう。
ちなみに女房は大絶賛である。
   

Timenote
■奥華子 TIME NOTE(初回限定盤)(DVD付)
「ガーネット」は沁みますね。
初回特典のDVDの映像は
胸にこみ上げるものがあります。

 
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■タメの会話は面白い。『爆笑問題のニッポンの教養』比較解剖学 遠藤秀紀。

同い年(タメ)の会話は何故か盛り上がる。
久しぶりに面白いやりとりを味わえた。

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FILE008:「この形 ありえない・・・人間は失敗作だ」
京都大学霊長類研究所教授 遠藤秀紀(比較解剖学)
2007.07.27放送

■専門は「死体」。と、いきなり切り出す面白いキャラクター。しかも爆笑問題の二人と同い年ということで一気に場が和む。「タメ」というのは不思議である。

「すべての形に意味がある」
死体を解剖して、その機構の意味を見つけるのが、「比較解剖学」という学問らしい。

パンダの手の骨格(フェイフェイの)を持ってきたので、あー、六本目の指の話か、グールドの本で読んだぜ。と思っていたら7本目の指の解説が始まった。なかなかやるな、と思う間も無くアリクイのあごの構造の話で、すっかり参ってしまった。小学校低学年の頃、近所のお兄ちゃんがプラモデルを見せてくれた時のようなキラキラ感を覚えた。

遠藤さんの言うとおり、「機構の中身が知りたい」というのは「男の子」の属性である。

■解剖学の話も面白かったのだが、「動物園」論争も見ごたえがあった。

遠藤さんは、動物園はエンターテイメント施設ではなく、「教育機関」であると熱弁をふるう。それに対して太田は「娯楽」だ、と反論する。

太田は、研究した中身を「伝える」ためには面白くなくっちゃいけない。だから娯楽であるべく努力をすべきだ。という。

遠藤さんは、動物園はお金では割り切れない世界だ、という。「アリクイのあご」の構造を考えることが出来たのも、数十年前に「アリクイのアタマが面白い」と思って残してくれた『変わり者』の研究者がいたおかげである。経済性を追求すれば、そういう価値の分かりにくい仕事が生き残れなくなる。そういう危機感からの言葉である。

どっちも正しく思える。かつ、他の領域にも当てはまるような、こういう議論は面白い。こういう会話が弾んだのも「タメ」同士ゆえの安心感からくるものなのだろうか。

                          <2007.07.27 記>

 
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■関連記事■
■遺伝子から見た死生観。
『爆笑問題のニッポンの教養』 ヒトはなぜ死ぬのか?

http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_5eba.html

■京都大学霊長類研究所教授 遠藤秀紀さんのHP
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitai/members/endo/index.htm

■爆笑問題のニッポンの教養 HP
http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/

    

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2007年7月27日 (金)

■『FX 次期主力戦闘機』 その5。航空少年は夢を見れるのか?

■「第5世代」ステルス実験機開発へ…防衛省方針
 防衛省は23日、ステルス性能などを持つ「第5世代」の戦闘機技術を検証する有人実験機の開発に向け、来年度予算の概算要求に費用を計上する方針を固めた。
 日米が共同で開発したF2支援戦闘機の生産が2011年度で終わるのをにらみ、技術開発の基盤を維持するのが目的だ。(中略)
レーダーや武器などは搭載しないため、実際の戦闘機よりは小型になる予定だ。開発期間は約10年、開発費は総額で数百億円程度を見込んでいる。(以下略)
(2007年7月24日  読売新聞)

Atdx
■技本の先進技術実証機(ATD-X)『心神』模型

■『心神(しんしん)』といっても、お漬物ではない。防衛省技術研究本部で開発が進められている「第5世代」の実証機だ。

「第5世代」戦闘機として、相反しがちなステルス性能と高運動性能について、高い次元での両立を目指す。
試作1号機の初飛行は2014年頃2011年頃といわれる。

キーとなる主な新技術は、以下の3点。
①スマートスキン(機体形状に沿って配置するレーダー)
②軽量・高強度な新複合材の胴体構造への適用
③パドル式推力偏向機構

「スマートスキン」の詳細についてはわからない。ノーズの形状自由度が大幅に改善することでステルス性能への貢献が見込めるということなのだろうか。いずれにせよ最新の技術であり、ハイテク日本の面目躍如というところ。

だが、どうも地味に感じてしまうのは私だけだろうか。

日本お得意の複合素材も、推力偏向機構も、既に世にある技術の延長線上のもの。

飛行機少年の胸をワクワクさせるような、「派手さ」がないのだ。

T_2ccv_01_2 

■思えば、前回FSXが盛り上がった1980年代は非常に「ワクワク」する時代であった。

83年に初飛行したT-2CCVは、FSXの国産化を見据えて、攻撃機に求められる運動性能を画期的に向上させる意欲作であった。

主翼の前に水平カナード翼、胸の下には垂直カナード翼を持ち、前進+3軸まわりの4自由度に加えて横、上下、2方向の運動自由度が加わる。対地上攻撃時には相手に対して正対し、対面する面積を小さくしながら平行に移動する攻撃ヘリのような機動が可能になるという航空雑誌の解説をむさぼるように読んだ記憶がある。高校生の頃だとおもう。

あの時代は、飛行機に夢があった。

主翼の上にエンジンを搭載しその後流で揚力を増加させるSTOL実験機「飛鳥」があった。無人往還機「HOPE」なんて計画もあった。

だが結局のところ、F-2からカナード翼はもぎ取られ、C-1の主翼の上にエンジンが搭載された機体が増殖することはなかったし、日本製スペースシャトルも実現しなかった。

夢は、夢でしかなかったのだろうか。
   

■航空機の開発は、ますます大規模になり、日本が貢献できるのは要素技術に集約されていくのだろう。バブル崩壊後、効率重視となった今の日本で、先進的な航空機をトータルとして語るのは困難だ。

今の航空少年は、一体どんな夢を思い描いてのだろうか?

                        <2007.07.26 記>

■文庫 『飛行の神髄』
加藤 寛一郎 著 講談社 (1997/06)
<Amazon評価  ★★★★ レヴュー数 1件)> 

 
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■関連記事■
■『FX 次期主力戦闘機』 その4。空自ファントム耐用年数延長?
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_212a.html
■『FX 次期主力戦闘機』について考える。その2
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_2ba8.html

■大石英司さんの「代替空港」にT/Bします。
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2007/07/post_393c.html

■追記■<2007.12.17 記>
■国産ステルス実証機「心神」、2011年に初飛行■(読売新聞より)
ステルス性能など最先端の戦闘機技術の検証を目的とした、防衛省の「先進技術実証機」の開発計画が8日、明らかになった。
  来年度から計画に着手し、早ければ2011年度中に実証機の初飛行を行う。計画が順調に進めば、国産戦闘機開発につなげたい考えだ。
 実証機は全長14メートル、全幅9メートル。「心神(しんしん)」と名付けられ、敵のレーダーに映りにくいステルス性とともに、高運動性を備え、国産エンジンを使用する。機体の形状に沿って配置するレーダー「スマート・スキン」など先進技術も取り入れる。実証機であるため武器は搭載しない。
 心神の開発は来年度から6年間で行う計画だ。来年度予算では157億円を要求、総額466億円を見込んでいる。エンジンや電子機器などの試作は09年度までにほぼ終えて、10年度から実証機製造に着手。早ければ11年度中に初飛行を行う。機体やエンジンは既に個別開発を進めており、ステルス性に関しては、05年のフランスでの模型実験で「高い性能を確認済み」(防衛省幹部)という。
 実証機開発には、日米で共同開発したF2支援戦闘機の生産があと数年で終了することから、国内技術維持の意味合いがある。また、航空自衛隊が次期主力戦闘機(FX)の有力候補としながら、米国が輸出に応じようとしていない「F22ラプター」をめぐる交渉を有利に運べるとの期待感もある。
 米国が輸出に慎重なのは、「機密保全だけでなく、日本がステルス技術を独自開発できないとの前提で、将来、高く売ろうという思惑があるため」(政府筋)との見方からだ。
 防衛省内には「17、18年ごろには国産戦闘機が実用化できる」(幹部)との見通しもあり、F15戦闘機の後継機となる可能性もある。ただ、日本の国産戦闘機開発には、有力な輸出先を失うことになる米国内で懸念が出ている。 (2007年12月9日 読売新聞)
   

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2007年7月26日 (木)

■試行錯誤が仕事の楽しみ。『プロフェッショナル・仕事の流儀』アイガモ農法・古野隆雄

今回のプロフェッショナルは、
アイガモ農法を実践する、農家・古野隆雄さん。

_

   
日照りの時期、イネは懸命に地面に根を張り

次の雨で大きく育つための準備をするのだそうだ。

   
「失敗は、当たり前。」

失敗に対して試行錯誤を繰り返す行為そのものが

偶然によるチャンスをつかむ為の条件であり、

「根を張る」ということなのだ。

  
その上で

「大きな力に逆らうのではなく

身を任せる」

という言葉が生きてくる。
  

「人間にとって、一番辛いのは孤独です。」

あえて失敗に飛び込む

開拓者の言葉と考えると、重いセリフである。

   
「大変だ、大変だ」と ぼやきながら

行動を起さず 日常に流されている者としては

とても 耳が痛い。

     

■追記
Photo

アイガモ農法の映像を見るに付け

愛らしいと思うのだけれど

このかわいらしい 子ガモちゃんたちは、

田を守る仕事を終えたら どうなるのか。

前から気になっていたのだけれど、

やはり つぶされてしまう、

ということのようだ。

  
残酷な話だと思う反面、

寒い季節にいただく、脂ののった

カモ南蛮が大好きな自分がいる。

  
人間は、矛盾をかかえた存在である。

その矛盾を ことさら明らかにせず

ぼやかして あいまいにしてしまうことも

実は大切なことなのではないか、と思う。

                    <2007.07.26 記>

 
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■茂木健一郎さんの「クオリア日記」
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/

■プロフェッショナル・仕事の流儀 公式HP
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/index.html
      

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2007年7月25日 (水)

■そーと、そーと。

昼、散歩をしていたらヤマトシジミとベニシジミに出会った。

P7250258
■ヤマトシジミ
チョウ目 シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科
Pseudozizeeria maha
大きさ (前翅長)9-16mm
分 布 本州・四国・九州・沖縄
時 期 3-11月
幼虫の食草 カタバミ 

P7250272
■ベニシジミ
チョウ目 シジミチョウ科 ベニシジミ亜科
Lycaena phlaeas
大きさ (前翅長)13-19mm
分 布 北海道・本州・四国・九州
時 期 3-11月
幼虫の食草 スイバ、ギシギシ
   

見上げると ひつじ雲が一面に広がっていた。
このまま夏になるのだろうな。
Photo

                       <2007.07.25 記>

 
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2007年7月24日 (火)

■『スカルマン』 最終回。それ、何ていうスターウォーズ?

■金曜深夜CXで放映していたスカルマンが終了した。(関東地区)

仮面ライダーの原型といわれる石森章太郎の原作を大胆にアレンジした意欲作として登場。実際に、期待を上回る質の高さでスタートした。オープニングのカッコ良さに毎回しびれ、そのスピーディーなストーリー展開には、手に汗を握ったものである。

Photo_173

■巨大企業が牛耳る大伴市で発生する謎の連続殺人事件。その真相を暴くべくトップ屋が故郷の街に舞い戻る。

改造された人間の悲しみと、死をもってその魂を天国へと導く「髑髏の男」、スカルマン。

「ルサンチマン」だの「超人思想」だの、意味深なコトバで奥深さを匂わせながら、謎は次第に大きく膨れ上がっていく・・・。

Photo_174

■だが、如何せん風呂敷が大きすぎた。

主人公のトップ屋、御子神隼人の視点でハードボイルドタッチに進んでいた物語は、そのスケールを大きくするに従って御子神隼人の視点から離れるシーンが増えてくる。それに伴い途切れがちになる緊迫感。視点がポンポン切り替わることで、気持ちが追いつかなくなってしまうのだ。

いわゆる消化不良。

途切れ途切れに鑑賞するのではなく、DVDで13話をまとめて視れば、ずいぶん印象が変わってくるのかもしれない。怒涛の最終回へ向けた集中力の持続が問題なのだから。

しっかり録画を残していなかったことが悔やまれる。
 

■以下ネタバレ、危険!■

■怒涛の最終回。
ラストシーンでの予想外の展開に、ひっくり返った。

確かに、伏線はあった。兵器メーカーBG(ブレインギア)社のヴォーグトという何処かで見たような男、ガモ博士、彼が連れてきたゼロナンバーを名乗るサイボーグたち・・・。

親友の遺志を継ぎ、髑髏の仮面をかぶった御子神隼人は、最後の戦いで力尽きる。妹を救うことができなかった悔やみ、その手で葬らざるを得なかった苦しみ。漆黒の絶望が御子神隼人を覆っていく。

BG社に回収された御子神隼人はサイボーグとして生まれ変わった。スカルマン、死の商人を裏で操る悪の組織BG(ブラックゴースト)のボスとして!(ダースベイダーかっ!(笑))

そして、間宮霧子の腕の中には、御子神隼人との一夜で授かった赤ん坊が抱かれている。その赤ん坊の髪型は、どこから見ても「島村ジョー」なのだ!(ホンマかいな!!!)

この物語の語り部となるべき自称・私立探偵 立木恭一郎は御子神隼人の手で殺される。たぶん事情を知っている関係者も次々と消されていくのだろう。そして「島村ジョー」は孤児となる。

というわけで物語は「サイボーグ009」へと引き継がれ、第6巻での「スカルマンと009との親子対決」へとつながっていくのだった・・・。

あー、ビックリした。
まさか、エピソードⅥ「00ナンバーの復讐」で、「息子よ・・・」
なんて言い出さないよね! 

                      <2007.07.23 記>

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Dvd_3 ■DVD スカルマン The Skull Man vol.1

Cyborg00906 ■サイボーグ009 (第6巻)
私の中では、これが「サイボーグ009」の最終巻。
こちらの「スカルマン」は父親というワケではない。(当たり前か!)
ともかく、ラストシーンは泣ける。
たとえブラッドベリのパクリ(オマージュ?)であっても・・・

「ジョー!きみはどこにおちたい?」

■キャスト■
スカルマン  土田 大
御子神 隼人 保村 真
間宮 霧子     川澄 綾子

■スタッフ■
原作 石ノ森章太郎
監督 もりたけし
構成 出渕裕
脚本 大野木寛 水上清資
作画監督 柴田淳
音楽 鷺巣詩郎
 *********
OPテーマ      TOKIO「ひかりのまち」
OP作詞作曲 甲斐よしひろ
OP絵コンテ   樋口真嗣
 *********
製作 ボンズ

■『スカルマン』オープニング YouTube *音声に注意してください*
http://www.youtube.com/watch?v=S9LmODeAdCc

■『スカルマン』公式HP 
http://blog.geneon-ent.jp/skullmannewsreport/index_story.html

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■人間であること。茂木健一郎先生への手紙。

茂木先生へ

いつも興味深く「クオリア日記」を
拝見させていただいております。

本日の記事、「太く大きく」が、とても気になったので
大変失礼とは思いますが、
考えたことを以下に書き連ねてみたいと思います。

■茂木健一郎さん「クオリア日記」、7/24記事「太く大きく」
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2007/07/post_32c0.html

   
「アハ」回路が、つながったのでしょうか?
認識におけるマッハの原理、
チューリングマシン、
そして哲学的ゾンビは存在しうるのか?

先生がおっしゃっているのは、
「自律」システムの自己認識に関する
お話なのでしょうか。
非常に興味をそそります。

ロボトミー、フィアネス・ゲージ。
脳機能の一部が取りさらわれれば
「自己」というものは容易に変容してしまう。
私の今の認識は、
肉体的ゾンビの「状態、身体感覚」をモニターする
マップの総体としての「意識」、という
ダマシオの考え方に深く共鳴しています。

それは、相手の状態を類推し、
自己のマップ・ストレージの中から
それらしきものを引っ張り出してきて
自らの身体感覚で再体験する。というカタチで、
「共感」という現象をうまく説明するものだからです。

「共感能力」は進化の中で人間が
獲得した最大の特性であり、
人間が人間である必須要件と考えます。

その機能が失われた状態は、
「ゾンビ」である、
と言っても過言ではないでしょう。

それはフィリップ・K・ディックが
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
で提示した答えであり、
「あなたは一人では無いんだよ」と、
人の心をやさしく包み込む考え方なのです。

もしかしたら先生の「アハ」とは
方向違いの話をしてしまったかもしれません。
もし、そうであったらゴメンナサイ。

先生の思索が進展されたら、
また「クオリア日記」でご教授いただけるとうれしいです。
勉強させてください。

                  <2007.07.24  電気羊 記>

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『無意識の脳、自己意識の脳』 「私」とは何か?

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■アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック 早川SF文庫 (1977/03)

 
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2007年7月23日 (月)

■靉光(あいみつ) 『眼のある風景』に触発される。

■NHK教育 新日曜美術館で靉光(あいみつ)の作品を見る。

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■『眼のある風景』 靉光(あいみつ) 昭和13年(1938年)

■画像では分かりにくい。だが、真ん中で緑の光を放つ『眼』は、しっかりとコチラを凝視している。

自分の絵画表現に苦悩した靉光(あいみつ)。そして彼はシュールレアリスムを手がかりに、ひたすら対象を「凝視」することで、自分としての表現方法にたどり着いたのだという。

中央の『眼』は、対象の本質を凝視する靉光(あいみつ)の眼差し、そのものだ。

■「怪獣のあけぼの」という高山良策の生涯を追ったドキュメンタリーで、故・実相寺昭雄監督が戦前の芸術家について、こう語っていたのを思い出した。(言い回しの記憶はあいまいですが・・・。)

「明日、召集令状が来て、自分の芸術活動を止められることになるかもしれない。いや、それどころか死んでしまうかもしれない。そういう時間的にギリギリの追い詰められた危機感の中で、必死に自分の想いを作品へと刻み込んでいった。その切迫感が作品に迫力を与えている。

そういう意味では、今の若い芸術家は大変だと思う。現代に於いてそういう切迫感があるとすれば、不治の病にかかることくらいなのだから。」

■この作品が書かれたのは昭和13年。盧溝橋事件の翌年であり、国家総動員法が公布された年である。靉光は、一体どういう思いでこの作品と対峙したのだろうか。

彼の作品は東京国立近代美術館で見ることができるらしい。そのうちに尋ねてみようと思う。

                           <2007.07.22 記>
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■DVD 怪獣のあけぼの 
特撮怪獣の造形を手掛けた高山良策の生涯に迫るドキュメンタリー。
監修 実相寺昭雄 出演 寺田農ほか
★高山良策が画家として生きた戦前という時代。若い画家のエネルギーが集まった「池袋モンパルナス」についても詳しく解説されている。

■新日曜美術館 HP
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2007/0722/index.html
  

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■『パパとムスメの7日間』 舘ひろしのプクーに悶絶。

今シーズンの連ドラはお休みかな、と思っていたのだが、何となく見た「パパとムスメの7日間」にハマってしまいそうである。

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事故で娘と父親の「中身」が入れ替わるという、「転校生」の親子版なのだけれど、なにしろ「中身がムスメ」の演技をする舘ひろしが面白い。

女子高生向け化粧品プロジェクトの御前会議で、黙っていればいいものの、つい女子高生としての本音をしゃべってしまい、しゃんしゃん会議をひっくり返してしまう。という女子高生の演技をする舘ひろし。

舘ひろしの女子高生しゃべりも笑えるのだけれど、「イイタイコトがあるのだけれど、ガマンガマン。ここはなんとか無難に切り抜けなくては。」という演技が可笑しい。特にふくれっ面の舘ひろしの可愛らしさは絶品であった。

今回は大人の社会にムスメが風穴を開ける話であったが、そのうち女子高生の姿をしたパパが、ムスメの難題を解決するドラマがありそうな気がして目が離せない。次回が楽しみになってしまった。

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パパとムスメの7日間 
五十嵐貴久 朝日新聞社 (2006/10)

■パパとムスメの7日間 HP
http://www.tbs.co.jp/papa-musume7/story/story_04.html

                          <2007.07.22 記>

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2007年7月20日 (金)

■【ひつじの本棚】 『伊藤 真の 図解 憲法のしくみがよくわかる本』 。

憲法改正論議が現実味を帯びてきている。この参議院選挙では自民党も民主党も憲法論議は避けているようだが、選挙が終われば、また議論が復活してくるだろう。

そういうワケで、なんだか知っているようで、よくわかっていない日本国憲法について勉強してみようと思い立ってこの本を選んでみた。中立的な解説が得られると思ったからだ。

けれど、良い意味で予想を裏切られた。

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■ 図解 憲法のしくみがよくわかる本
―知っておきたい日本国憲法の原理と姿―
伊藤 真 中経出版 (2001年5月)  

「はじめに憲法ありき」という強い主張。

憲法は、民主主義を制限することもある、というのだ。

これは私にとっては、今まで考えていなかった新しい視点だ。なるほど、民主主義のもとドイツではナチスの専制を許した。従って、逆説的だが、憲法によって定義された「個人の尊重(人権)」を守るためには、「法の支配」が上位になければならないということだ。

この本では、「権力」から「人権」を守るために生まれてきた立憲的憲法の背景とその大切さが語られる。その背景を踏まえたうえで、人権の意味や国家機構の意味を再定義する。

そして憲法改正については、

「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」

という日本国憲法の根幹に係わる部分は、改正できないとしている。

大きな論点である「9条」についても、あらゆる戦争は「個人の尊重」を踏みにじるものであり「正しい戦争などない」という理想を掲げてるものとして、「現実」にあわせて変える性質のものではないという主張だ。

「日本国憲法」についての中立的な勉強をしようという思いは、淡くも崩れ去ったが、これはこれでなかなか面白い本である。高校で習った「政治・経済」では「ことば」としてしか語られなかったものが、「考え方」として語られている。

「一般に憲法学者は改憲に反対の人が主流である」と新聞の記事で読んだことがあるが、その意味が少し理解できたような気がする。

皮肉ではなく、非常に良い勉強になった。

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■図解 憲法のしくみがよくわかる本
―知っておきたい日本国憲法の原理と姿―
伊藤 真 中経出版 (2001年5月)      

                        <2007.07.20 記>

 
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■【ひつじの本棚】 『相手に「伝わる」話し方』 池上 彰。実践に裏打ちされたプロの金言。

話を相手に理解してもらうことは難しい。伝わっているようで、実は全く理解してもらえていないときがある。そんな問題意識から、この本を手にとって見た。

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■ 相手に「伝わる」話し方
―ぼくはこんなことを考えながら話してきた
池上 彰 講談社現代新書 (2002年8月)

とても為になる本であった。何しろ、「伝える」ことのプロフェッショナルが、真剣に「伝えよう」として書かれた本である。「伝えること」の奥深さが、心に染込むように「伝わって」きた。

本書は、NHKの報道記者として出発した池上さんが、ニュースキャスター、そして「週間こどもニュース」の語り手と立場を変えていく歴史を追いながら、語られている。

その臨場感がとても大切だと感じた。だから、「いいな」と思った文章を、本文から直接切り取ってみたいと思う。   

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■池上 彰さん 

文章は短く
 ひとつの文章は、ひとつの要素だけを伝える。これを原則にしました。すると、読んでいて、独特のリズムが発生し、聞き手の頭に入りやすくなることを発見したのです。
第一章 はじめはカメラの前で気が遠くなった(P25)

 短い文章を積み重ねる。畳みかける。そこにリズムが生まれ、記者の説得力も生まれるのです。
第三章 現場に出て考えた (P95)

聞く人の知りたい順に話す思いやり
 どんなときも、まず「相手は何を一番知りたいかな。次は何かな」と話す内容に優先順位をつけながら、話す内容を組み立てていくのです。「相手は何を知りたいのだろう」ということを、常に考えます。そして、そのためにはどんなことを話せばいいのか考えます。これが相手の立場に立ったしゃべり方です。
 これが、思いやりなのです。
第三章 現場に出て考えた (P87)

「ありきたりの表現」に逃げ込まない
 たとえば、「主催者は複雑な表情でした」と書くと、それが何かを描写した気になってしまいますが、実際には、何も語っていないのです。(略)
 ありきたりの表現に逃げ込むことで、対象をしっかり見られなくなる恐れがあるのです。(略)
 ありきたりの表現を避けて、どういう表現を使えば、相手に新鮮な驚きを与えることができるのだろうか、と考えることが大事なのです。
第三章 現場に出て考えた (P96-98)

相手に信用してもらうためには
 自分が信頼されるようになるためには、まずこちらが信頼しなければなりません。こちらが好意を持てば、やがて相手も好意を持ってくれるケースが多いものです。
 相手を信頼し、尊敬して教えを請う。自分を知ってもらう努力をする。この基本原則をきちんと守っていれば、もっと特ダネが取れたのではないか。(略)
第二章 サツ回りで途方に暮れた(P64)

理解していないことは伝わらない
 あるとき、知り合いのアナウンサーが読む原稿を何気なく聞いていたら、ある一ヶ所で、突然、その内容が頭に入らなくなったことがありました。
 その人の放送が終わった後で、私は、「今の原稿で一ヶ所、意味がわからないまま読んだんじゃないの?」と、問題の個所を示して尋ねました。
 その通りでした。原稿を読んでいて、突然ふっと集中力が途切れ、その個所の文章の意味がとれなくなったというのです。
 意味がわからないまま読むと聞いている人もわからない、ということを、私はこのことで知ったのです。
第四章 テレビスタジオでも考えた (P119)

「わかる」ということ
 ある出来事についてひとつひとつの言葉や数字を説明するだけでは、本当にわかったとは言えないこともあるのです。自分の持っている断片的な知識をつなげ合わせ、ジグソーパズルのようにはめ込みながら、全体像が作り上げられたとき、「わかる」ということになるのです。
第五章 「わかりやすい説明」を考えた (P174)

「言葉にする」ことで考えを整理する
 相手の心に届く言葉とは、どんなものか。実は、言葉にしてみなければわからないのです。(略)
 まずは、「言葉にする」ことから始めるのです。「言葉にする」ことで、何を話すか、自分の考えをまとめることができるのです。(略)
 こうして「ひとりブレーンストーミング」をしたら、次は、身近な人を相手にして、「こういうことを言いたいのだが」、「こんなことを言ってみたいよね」などと声に出して語りかけてみるのです。(略)
 最初は話す内容がまとまっていなくても、声に出して話し出すと、次第に話す内容が姿を現してくるはずです。(略)
 自分の頭の中、さらには他人との会話を通じた「ブレーンストーミング」で、自分が実は、何を言いたかったのかが、見えてくるのです。
第七章 「言葉にすること」から始めよう(P200-202)

言いたいことは具体的に 
 どうしても伝えたいことがある。しかし、わかりやすく表現できない。そんなときは、伝えたい内容を示す具体例がないかな、と考えてみるのです。(略)
 会話は相手が参加してくれてこそ成立します。だったら、相手を話題に引き込む材料が必要です。それが、具体例なのです。あるいは、お互いが良く知っている固有名詞なのです。(略)
 抽象論は眠くなる。具体論は相手が身を乗り出す。この原則を忘れないことです。
第七章 「言葉にすること」から始めよう(P204)

「伝えたい」という熱い思いと相手への思いやり
 話すべき内容があって、「伝えたい」という熱い思いがあれば、それは相手に伝わるものなのです。「これだけは伝えたい」という、内心からほとばしり出る情熱があれば、たとえ説明は拙くても、それは相手に伝わるのだと思います。
 ただそのとき、相手への想像力、相手への思いやりを忘れさえしなければ。
最後にもう一言 (P212)

以上、9項目。
実践に裏打ちされた深い言葉が並んでいる。

「伝える」ことについてのバイブルとして、今後も大切に読みかえしたい。そういう本である。  

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■相手に「伝わる」話し方
―ぼくはこんなことを考えながら話してきた
池上 彰 講談社現代新書 (2002年8月)

【追記】今回、池上さんの文章を書き写しながら、文章をこねくりまわす自分のクセに気が付いた。やはり「読む」ことと「書く」ことはかなり違う。あらたな発見である。

  
■関連書籍■

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■「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!
『伝える力』

池上彰 著 PHPビジネス新書 (2007年5月)

「中学生にも分かる原稿を書け!」

池上 彰さんはNHKの報道記者として駆け出しの頃、こう指導されてきたという。難しいことを簡単に書く、話す難しさ。

これからコミュニケーション能力に磨きをかけていく若手のビジネスパーソンに向けて、「伝える」極意を説いた本。

『相手に「伝わる」話し方』のような深さは無いが、指導がとても具体的で、ノウハウ本として良い本だと思う。
 

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■これが「週刊こどもニュース」だ
池上彰 著 集英社文庫 (2000年9月)

この番組の語り手を担当したとき、池上 彰さんは「伝える」ことの難しさを改めて実感したという。それが「伝える」ことへのこだわりの原点なのだろう。その生の状況を感じようと思って購入した。内容? これから読みます・・・。

                       <2007.07.20 記>

 
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2007年7月19日 (木)

■結局、立ち戻るところは自分自身。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 帝国ホテル総料理長・田中健一郎

今回のプロフェッショナルは帝国ホテル総料理長の田中健一郎さん。

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プロフェッショナル・仕事の流儀
帝国ホテル総料理長・田中健一郎 <2007.07.17放映>

朝、出社した田中さんは他の従業員と同じロッカールームで着替えをし、その足で調理場や仕入れ部、パン焼き工房などを巡って一人一人に声をかける。

「皆が元気じゃないとおいしい料理はできませんからね。」という田中さん。それは「現場を気遣う良きリーダー」という単なるポーズではない。その証拠は、挨拶を返してくる現場の皆さんの素直な笑顔だ。
いい空気だ、と思う。
   

26年間、「ムッシュ」として帝国ホテルの厨房に君臨した村上信夫さん。その跡を継いで総料理長となったのが田中さんである。バブル崩壊後、厨房の改革を期待されての大抜擢だった。

だが、改革になかなか手がつけられない。現場の気持ちが分かりすぎて口に出せないのだ。そうするうちに、自信は失われ、気持ちは内に沈み込んでいく。
   

「人生にはサナギの時期がある。」と茂木健一郎さん。

「動かないその時期に溜め込んだ力によって、あらたな自分が生まれてくる。そういうことってありませんか?」

なかなか上手いたとえである。
    

家族の励ましを切っ掛けに、愚直で、口下手で、でも、思いやりにあふれた自分自身の背中を見せることで厨房を引っ張っていく、今のスタイルにたどり着く。

村上信夫さんのカリスマを身につけようとしたって、「ムッシュ」自身でない限りは「ムッシュ」にはなりえない。

「料理に真心を込めよう。」なんて、口に出すような柄じゃない。

結局は「自分らしさ」に立ち戻る。
「自分らしさ」以外に寄って立つところは無いのだ。
  

「自信」というコトバの意味を改めて考えさせられた。

                        <2007.07.19 記>    

 
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■茂木健一郎さんの「クオリア日記」
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/

■プロフェッショナル・仕事の流儀 公式HP
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/index.html

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2007年7月18日 (水)

■第6回『語座bis』公演。「語る」という作業は、語り手だけでは完結しない。

『語座(かたりざ)』という、主として声を生業にする人たちの勉強会がある。そこの座員から公演のお誘いがあって、「読み語り」なるものを体験しに代々木上原まで行ってみた。

2007_07_05__
2007年7月5日(木)@古賀政夫音楽博物館・けやきホール

舞台があって、中央に本を立てかける台がある。
そこに語り手が立って20分程の短い物語を「読み語る」。

当日の語り手は5人。
よって五つの短い物語を拝聴することとなった。
  

初めは、どう聴いていいやら勝手がつかめず、
目を閉じてみたり、語り手をしっかり見たりしてみたが、そのうちに、自然とコトバが心地よく心に入ってくるようになった。

実際に本を読むときのペースと、語りかけられるペースは明らかに異なる。従って上手くペースが合わないと、さっぱりアタマに入ってこない。

ところが呼吸というかペースが合うと、すんなりと物語の世界に没入できる。アタマに入ってこないどころか、アタマはすっかり飛び越えてココロに直接入ってくる感じなのだ。

      
「声が伝わる前にコチラに届く心地よさ。」とでもいうのだろうか。

「物語」は既に自分の中で動き出しているから、語り手が次のコトバを声に出すその前に、こちらの準備は出来ている。「ほら来た」ってなもんで、この時のタイミングの良さがとても気持ち良いのだ。
      

「語る。」という作業は語り手だけでは完結しない。
そこには、受け手との見えないキャッチボールが存在する。

何だか期待以上の収穫を得たようである。それは、「生」で体験することで初めて得られるものだと思う。

「プロの技」の切れ味を存分に堪能した贅沢な一夜であった。
    

■出演■
■松田真一さん 「出来心」 星 新一 (「おせっかいな神々」より)
 ・・・元気がいいことは良いことである。

■広瀬未来さん 「包丁」 石川結貴 (「小さな花が咲いた日」より)
 ・・・活きがいい。声のちからがびんびんと伝わってきた。それでいてラストは、しみじみとした幸福感につつまれる。女性が持つ「ギラリと光る刃物の恐ろしさ」と「それを包み込む手ぬぐいの柔らかさ」。そのコントラストが上手く出ていた。

■目黒光裕さん 「女も虎も」 東野圭吾
               (「
輝きの一瞬―短くて心に残る30編」収録)
 ・・・語りを聴いていて「安心」という言葉を思い出した。オチが読めてしまっても面白いと思えるところは語り手の技であろうか。どことなく落語の風情。

■栗田 圭さん 「声にしてごらん」 高橋克彦
               (「
短篇ベストコレクション(2003)」収録)
 ・・・決してアクションが派手なワケではないのだけれど、その語り口は臨場感に溢れ、映像や効果音が聞こえてくるようだった。ほら、白い手がスーと。

■福 絵美子さん 「花言葉」 連城三紀彦 (「年上の女」より)
 ・・・すんなりと物語の世界に引き込まれている自分に気が付いた。行間に込められた空気が伝わってくる。「緑色のコートを着た女」の主観から、「コートを追った男」の主観への見事な切り替え。その小気味良さ。素直に物語を楽しめた。

   
■語座(かたりざ)HP
http://www.katari-za.jp/

                        <2007.07.17 記>

 
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■MiG-29OVT、かっこ良し!

MiG-29 OVTを調べていてカッコイイ動画を見つけた。
 
◆MiG-29OVT/MiG-35
Mig29ovt_02
Mig29ovtengine
<写真は動画とは関係ありません>

機体外周チェックよし!操縦系統異常なし!出発準備よし!
ってな感じで始まる冒頭のシーンが、かっこいい。
 
特に、スティックとラダーのチェックに連動して
排気偏向ノズル(3次元スラストベクター)がうにょうにょ動くさまは
何か別の生き物のようだ。
 
サメの獰猛さと連動させた演出もいいし、
ミグ29 OVTお約束のダブルクルビット(*1) も入っている。
長さも手ごろで飽きさせない。良いクリップだ。
 
え?第4世代!?いいじゃん、かっこ良ければ。強くなくても!

■MiG-29 OVT プロモーション 動画
http://www.metacafe.com/watch/253062/mig_29_ovt/

●『戦闘機』関連  書籍を探す。
●『戦闘機』関連  DVDを探す。

*1 ダブルクルビット : Su-27フランカーで有名になったプガチョフ・コブラ(迎角90°以上で直進)の状態から高度を変えずにバク宙×2をやる曲芸機動。こんなことやってもエンジンがストールしないというところに凄さがある。

                         <2007.07.18 記>

 
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2007年7月17日 (火)

■『FX 次期主力戦闘機』 その4。空自ファントム耐用年数延長? 

政府が次期主力戦闘機(FX)選定で本命視している米国の最新鋭ステルス機「F22Aラプター」の導入をめぐり、日米間の交渉が難航している問題を受けて、防衛省・自衛隊は数年後に切り替えを迎える予定のF4について、耐用年数を延長する方向で検討に入った。<2007.07.15 産経新聞抜粋>

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防衛省は、どうしてもラプターが欲しいようである。

4月の合同演習でその実力を目の当たりにし、「すでにのどから手が出ている」(田母神俊雄航空幕僚長)状態だそうだ。

なんだか「現実的な解を探ろう」という気はサラサラ無いようである。

それはそれで分かりやすいのだけれど、ちょっと、のん気過ぎる気もする。

そりゃ、F-22がいいに決まってるさ。
けれど所詮は、高嶺の花。

それとも、「政治的にも経済的にも現実的じゃない」と割り切って諦めてしまう考え方は、決して勝利を手にすることの無い「敗北者の思想」なのだろうか・・・。
 

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                         <2007.07.17 記>

■追記
ファントムには、もうそろそろご苦労さん、ではいいのではないだろうか。もう十分働いたよ。F-1の時のように7年も寿命が延ばせるとは到底思えない。非常に中途半端な結果になりそうである。

F_4ej

F-4耐用年数延長などというくらいであれば、前言撤回、マルチロールファイターとしてのF-2生産継続で、F-4の代替とする。というのがまともな考え方だと思うのだが・・・。開発費の塊である戦闘機で生産数が増えても単価が下がらないというのが、どうも信じられない。どういうマジックなのだろうか?

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■前回の記事■
■『FX 次期主力戦闘機』 その3。 タイフーン一気の末脚!?

http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_3b99.html

 

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■新潟県中越沖地震 柏崎原発は大丈夫か!?

16日午前10時13分ごろ、新潟県上中越沖を震源とする地震があり、新潟県長岡市と柏崎市、刈羽(かりわ)村で震度6強を記録するなど、東北から関東、東海の広い範囲で強い揺れを観測した。<2007年7月16日(月)読売新聞より抜粋>

大型の台風が来たかと思えば、大地震。
悪いことは重なるものである。

___1
柏崎刈羽原子力発電所_近傍に地滑りの跡が見られる

■柏崎市が被災したと聞いて、まず気になったのが柏崎原子力発電所の安否であった。案の定、火災発生のニュース。ドキリとしたが、変圧器の火災とのことで消火に手間取ったものの、大事には至らなかったようである。

Photo_162
非常停止した3号機のタービン建屋に隣接した変圧器の火災

さらに、使用済み燃料プールの水があふれ、微量の放射能が海水に漏れ出すという事故も発生。ただし海水中の放射能の測定値に異常は無く、人体や環境への影響については問題無いとのことだ。

■とはいえ、多少の不安もあったので、原子炉耐震強度の考え方を調べてみた。簡単にまとめると以下の3点である。

①強固な構造を岩盤に直接固定し、地震による揺れを小さく抑える。

②絶対に守らなければならない原子炉本体と制御系は、周辺の地震を発生させるメカニズムや活断層などから想定される最大地震、及び直下型M6.5に耐えるように設計する。

③運転中には、震度5弱の地震を検知し自動停止する。

今回は、設計基準である②を上回ったが、③の自動停止はちゃんと機能した。つまり、地震発生の読みが甘かったのだけれども、フェイルセーフが上手く機能した、という理解で良さそうだ。(今のところ、本体や制御系に関する破損や事故の報告はない。)

暴走に直結しない、変電器の火災や使用済み燃料プールの水の溢れ出しは、もともと緩い基準で設計されていた部分の話で、そこを厳しく追求するのもどうかと思う。

そういう意味では、大事に至らずよかったね。という話である。

●原子力発電所に係わる耐震設計の概要
(経済産業省 原子力安全・保安院 )

http://www.nisa.meti.go.jp/7_nuclear/01_sekkei/img/taishin.pdf

■ただ、気になる話もある。

国土地理院の速報によると、今回の地震では、柏崎市の沿岸部で北西方向に最大約16センチ地面が移動したというのだ。(全地球測位システム(GPS)による観測による暫定値。)    

原子炉の近傍、数Kmの圏内で地面がずれる。これは、どうだろう。

いくら強固な構造であったとしても、それを支える岩盤がずれてしまっては元も子もない話である。強固なものは、なかなか壊れないが、壊れるときには一気に壊れるものだ。

数Kmという距離は地質学的に、「十分離れた」距離といえるのだろうか。背筋が寒くなる話だ。

■実は昨年、原子炉の耐震基準が改定されている。

1995年の兵庫南部地震(阪神淡路大震災)による危機感から、最新の地震学や耐震工学により、信頼性を向上させた新基準である。

●新耐震設計への対応
(経済産業省 原子力安全・保安院 2006)

http://www.jnes.go.jp/event/symposium06fin/report/pdf/keynote3_kawahara.pdf

もちろん、現在稼働中の原子炉は旧基準に基づいて設計されているが、それについても新基準に照らし合わせて安全性のチェックを行うことになっている。

さらに今回の事態を踏まえて、甘利経済産業相から新耐震基準に基づく全55基の再検証作業を速やかに終えたいという発言も出ているようだ。

明解で純技術的な調査と事実の公開を期待したいところである。

   

◇ 『原発』 関連書籍を調べる。

                                                         <2007. 7.17 記>

 
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2007年7月13日 (金)

■ひつじの本棚■ 『失踪日記』 吾妻ひでお 表紙の裏にオマケあり。

■中学・高校の頃はSFばかり読んでいた。その切っ掛けになったのが、吾妻ひでおの『不条理日記』との出会いであった。どうやって出会ったのかは覚えていない。巡り会わせというのは、いつもそうしたものである。

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■『失踪日記』 吾妻ひでお 著 
2005年 イースト・プレス

■それからしばらくして、当時のゴクミなんぞの美少女ブームに乗ってか、吾妻ひでおは『ななこSOS』等の美少女ナンセンス漫画でブレイクする。そしてロリコン界の帝王として、その名を恣にしたのであった(?)。当時は「オタク」などという排除的な括りはあまり無くて、「ネクラ」とか「ネアカ」とかいって明るく楽しんでいたものである。

けれどそういう、ある種、牧歌的な時代も過ぎ去り、小渕官房長官が『平成』の文字を掲げる頃には、いつの間にやら吾妻ひでおの名も聞かなくなっていった。

■そして、『その時』、じゃなかった。十数年の年月が過ぎ去った或る日、アマゾンで本を漁っていて、『失踪日記』に出くわしたのである。しかも、驚くべきことにベストセラーだというのである。

おー懐かしや。元気でしたか?(元気じゃない。)

というワケで、早速手に入れた『失踪日記』。なのだが、読み進むうちに切なくなってきた。随分と苦労したんですね。吾妻さん。

『芸術家』が堕ちていく、その様が自虐的に語られていく。

■興味のある人は是非読んでみて頂きたい。ホームレスとかアルコール中毒とか、自分の人生には関わりが無いと思っている(思い込んでいる?)世界を覗くことができる。

実は、その紙一重のところに自分自身がいると気が付くかもしれない。

Photo_154
■『失踪日記』 吾妻ひでお 著
2005年 イースト・プレス
手塚治虫文化賞を初め、2005年の漫画賞を総なめ。
漫画業界のあたたかさを感じる。
    

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『うつうつひでお日記』 吾妻ひでお 著
2006年 角川書店
失踪後のうつうつとした日々の日記。
本人も書いている通り、単調で面白くないのでお奨めしない。
けれど、その怒涛の読書量には圧倒される。
   

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『逃亡日記』 吾妻ひでお 著
2007年 日本文芸社
『失踪日記』で語られなかった実際を掘り起こすインタビュー録。
生い立ち・漫画家デビューから失踪、アル中の日々。
そして、『失踪日記』大ブレイクの後日譚。
これは、面白かった!

 
                           <2007.07.12 記>

 
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2007年7月12日 (木)

■『必殺仕事人 2007』 中村主水 健在!

テレビ欄で懐かしいタイトルを発見、
久しぶりの「必殺」をたっぷり堪能させて頂きました。

2007_
■スペシャルドラマ 「必殺仕事人 2007」 7月7日放送 

■実に15年ぶりの復活、ということで若干心配したのだけれど、全くの杞憂であった。何しろ中村主水の健在ぶりがうれしい。

南町奉行所同心 中村主水(藤田まこと)は書庫番という閑職に追いやられ、代わりに着任したのが、同心 渡辺小五郎こと東山紀之。
彼が今回の主役である。

仕事の仲介人に、「花御殿のお菊」こと和久井映見。

他の仕事人には、「経師屋の涼次」ことTOKIOの松岡昌宏、「からくり屋の源太」こと関ジャニ∞(知らん!)の大倉忠義、と何だかジャニーズで固めた感じ。

■東(ひがし)のちょっと抜けた感じは、あざとさが無く、中村主水の後継としていい味を出していた。 渡辺小五郎(しょうごろう)もまた婿養子なのだけれど、主水とは違って、義母「こう」(野際陽子)と妻「ふく」(中越典子)に持ち上げられて居づらい感じ。美食ばかり食べさせられるのは「喰いタン」のパロディーか。

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■松岡昌宏の芝居をまともに見たのは、宮藤官九郎 脚本 「マンハッタンラブストーリー」(2003年)の寡黙な割りにおせっかいな喫茶店の店長以来である。どうしても、あのヒゲの店長のイメージが強くて、初めは違和感があったけれども、アクションといい、眼力といい、なかなかどうして、良い俳優さんである。

「経師屋の涼次」は、実は伊賀の抜け忍で、追っ手のくノ一(くのいち)に付きまとわれるのだが、異常に喰い意地が張っていて隙をつくってしまう。松岡には、こういうどこか変な役廻りが良く似合う。

■その、くノ一を演じたのは水川あさみ。「のだめカンタービレ」のバイオリニスト 三木清良(きよら)役の人だったとは、全然気付かなかった。女優は髪型で全然違う人になってしまうから、さっぱり分からない。

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■「必殺」は、悪役が如何に「許せねぇ」ヤツかどうかで盛り上がり方が決まる。共感の余地を全く与えず、非道を繰り替えす人非人であることが重要だ。

その意味で、今回の悪役である土地仲買商(デベロッパー)の加賀屋親子の芝居は絶妙。石橋蓮司と佐野史郎、さぞや気持ち良く演じたことだろう。親子で額の同じところにホクロがあるのが笑える。

加賀屋番頭の団 時朗も、帰ってきたウルトラマンの「郷さん」と同じ人物とはとても思えない悪人ヅラに次郎君もビックリだ。

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■もう一人の悪役は、奉行所の中にいる。
筆頭与力(局長クラス?)の烏山景意こと伊武雅刀。

ところが、この悪人。「そちも悪じゃのう」くらいのことはするのだけれど、圧倒的な「悪」を感じることが出来なかった。もっとコテコテの悪事をして欲しかった。

そうでないと伊武雅刀、どうしてもカッコ良く見えてしまうのだ。

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■ドラマとしては、「『仕事人』という裏家業の底の知れない恐ろしさ」が、スパイスとしてあまり効いていなかったところが、少し残念ではあった。けれど、それは高望みというものだろう。

旦那の仇を討とうと、加賀屋に乗り込んだ小料理屋の女将が返り討ちに合って自刃する。残された幼い息子が、母さんが残してくれたものですと差し出す六文銭。

ここで流れる定番の物悲しいBGM。

そして、恨みを晴らす「仕事」のシーン。

お約束通り、絞り込まれた光と影。
ギターとトランペットが「必殺」のテーマを奏でる。

往年の必殺節は健在だ。

ここまで来ると、気になるところなんてどうでも良くなっていて、素直に「仕事」のシーンの盛り上がりを楽しめた。

いやー、やっぱり「必殺」はいいですねぇ。

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菅井きん さんも白木万理さんもお変わりなく、何よりです。

■うーむ、何だか昔の作品が見たくなってしまった・・・。
 どこかで再放送しないもんですかね。
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■DVD BOX 「新 必殺仕置人」 (子之巻)
必殺シリーズ第10弾 1977年放映(全41話中, 1話~13話を収録)
中村主水と念仏の鉄。シリーズ中、評価の高い作品。
藤田まこと、山崎努、中村嘉葎雄、火野正平、中尾ミエ、藤村富美男 他

■DVD BOX 「必殺仕事人」 一掛之巻
必殺シリーズ第15弾 1979年-81年放映(全84話中, 1話~24話を収録)
原点回帰をテーマにして、シリーズの人気を不動にした作品。
藤田まこと、伊吹吾郎、三田村邦彦、中村雁治郎、山田五十鈴 他

        
                        <2007.07.12 記>

 
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■番組公式HP 
http://asahi.co.jp/hissatsu2007/

■キャスト
中村主水             藤田まこと
渡辺小五郎          東山紀之
          *  *  *  *  *  *
花御殿のお菊       和久井映見
経師屋の涼次       松岡昌宏
からくり屋の源太   大倉忠義
玉櫛(伊賀忍者)  水川あさみ
          *  *  *  *  *  *
加賀屋 彦左衛門  石橋蓮司
加賀屋 玄衛門     佐野史郎
加賀屋 番頭     団 時朗
安徳組頭 喜助   長江英和
          *  *  *  *  *  *
筆頭与力 烏山景意  伊武雅刀
筆頭同心 坂本勘助 宇梶剛士
定町廻り同心 伝七  福士誠治
          *  *  *  *  *  *
上総屋の娘 佐知 星野真理
小料理屋女将 薫 原沙知絵
薫の息子 作太郎 前田航基
          *  *  *  *  *  *
渡辺 こう      野際陽子
渡辺 ふく      中越典子
          *  *  *  *  *  *
中村 せん     菅井きん
中村 りつ     白木万理

■スタッフ
監 督     石原 興
  * * * * * *
脚 本     寺田敏雄
音 楽     平尾昌晃
  * * * * * *
美術監修 西岡善信
撮 影     安田雅彦
照 明     林 利夫
美 術     原田哲男
録 音     中路豊隆
  * * * * * *
企 画 ・ プロデュース 
ABC/テレビ朝日/松竹

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■この仔の未来を信じ抜くこと。『プロフェショナル・仕事の流儀』 競馬調教師・藤澤和雄

今回のプロフェッショナルは競馬調教師の藤澤和雄さん。
放映から2ヶ月も経ってしまったが、
寝かせていた記事を急に文章に起こしたくなった。

そういうこともある。
<第51回 2007年5月15日 放送>

Photo_142

1993年3月28日 天候 雨

中山7R 芝2000 4歳500万下

5枠 5番 ヤマトダマシイ 

競争中止

ルドルフの仔 ヤマトダマシイは、

1月末のデビュー戦で圧勝した後

2ヶ月を空けて2戦目に臨んだ。

4月の皐月賞は手遅れにしても

なんとかダービーには間に合わせたい。

スケジュール的に厳しい中、

負けられない一戦であった。
  

結果、競争中止 予後不良・・・。
  

藤澤さんは スタジオで

ヤマトダマシイについて語りながら、

目に涙を浮かべていた。

        

予定通りに行かないのが普通。

ただ、勝つことに未来は無い。

未来に続く 負けもある。
  

藤澤さんの調教師としての原点は

ここにある。
  

はじめから 能力で勝ってしまうG1ホースよりも、

6歳まで負け続けた馬でG1ホースを負かす

それが調教師としての腕の見せ所だという。
   

その為には、その仔の能力を信じて

見捨てないこと。

能力が無いのではなく、発揮できないだけなのだ

と信じ抜くこと。

急かせれば ダメになる。

いつも そばにいてあげて

その仔の才能に気付いてあげること。
           

もともと教師になりたかった、という 藤澤さん。

その優しくあたたかな視線は

最高の教師のまなざしだ。
    

愛情こそが、教育の原点なのだと思う。

   
■馬敗れて草原あり 寺山修司 著 (角川文庫)
「裏町詩人」寺山修司による、人生を競馬に重ねる試み。

                 <2007.07.12 記>  

■番組HP・過去の放送記録より
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070515/index.html

 
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2007年7月11日 (水)

■梅雨の空に。

P7110157

黒い雲が 強い風に流されて 伸びてゆく。

     

その遥か彼方には、 

微かに 夏の気配が漂っていた。

                         <2007.07.11 記>

  
■■■ 空の写真 ■■■  
↑カテゴリー・【空の写真】へのリンクです。

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2007年7月10日 (火)

■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。

パワードスーツが登場する日産デュアリスのCMが、どうも腑に落ちない。

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■<新車イベント>押切もえとパワードスーツ・・・。

「デュアリスがパワードスーツに変形して渋滞の街を駆け抜ける」という、あのCMだ。

「ドライバーが意のままにクルマを操ることが出来る楽しさを」主張したいのだろうけれども、何だかどこかでズレている。全然こころを揺さぶらない。

CM自体が感情移入を拒絶していて「入り込めない」のだ。見る者が客観的になってしまっては「良く出来たCGだなぁ」という「アタマの理解」までで終ってしまう。それでは「意のままにクルマを操るドキドキ感が見ている者の胸に込み上げる」なんて、逆立ちしてもあり得ない。

たぶん「物語」の欠如に問題があるのだろう。見ている者が共感する対象となる「主人公」の存在感が希薄なのだ。

それはセレナを除く、最近の日産の「オシャレ」なCM全般に言えることかもしれない。

「センス」はいいのだけれど、それが心を揺さぶって「欲しい!」に、なかなかつながらないのだ。そういうところは、人気の役者をどんどん起用して、それなりのドラマ仕立てで見るものを引き込むトヨタのCMの方が数段上手である。

          
パワードスーツのデザインは「マクロス」で名を馳せたスタジオぬえの河森正治。そこまでこだわるのであればCM自体にもトコトンこだわり、監督を押井守に頼むなりして『味わい深い大人の物語』を創り上げるくらいの気合いが欲しかった。CMについては次回作に期待!
Photo_161 Photo_159
<参考>攻殻機動隊 Production I・G×NISSAN SPORTS CONCEPT 2006
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2006/_STORY/060804-01-j.html

                        <2007.07.08 記>

■日産デュアリスのすべて

 
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■日産 『デュアリス』 欧州発、「足のいいヤツ」。

日産 デュアリス/DUALIS (欧州名 キャシュカイ)が好調な売れ行きのようだ。日産の公式発表によると、5月中旬の発売開始から1カ月半で1万台の発注を受けているらしい。

__fr
__rr

■デュアリス ( 欧州名 キャシュカイ < QASHQAI >) は、英国日産製の輸入車である。かつて同じように英国生産で輸入されていたP10プリメーラ 5ドアハッチバックという知る人ぞ知るマニアックな車があったが、今回は、ちゃんと宣伝してもらってメジャーな道を歩めそうである。
P10_5dr_1

■今さらプリメーラを持ち出してきたのには理由がある。このデュアリスというクルマはSUVのエクストレイルと比較されがちだし、実際プラットフォームを共用する兄弟のようなものなのだが、クルマとしてのその性格はどちらかというと5ドアハッチバックに近いと思われるのだ。

約4.3mと切り詰められた全長と、
約1.6mに抑えられた全高。

車両寸法的なポジショニングも、大雑把にいえば、エクストレイルとVWゴルフの中間に位置する。(記事末尾の諸元比較参照。)

■どうやら、試乗記事などを見ると運動性能もかなりよろしいようである。コーナリング時のロールが少なく、それでいて足を固めたクルマにありがちなゴツゴツ感が無いらしい。

「エンジン以上に驚いたのが乗り心地である。ヨーロッパ域内の高い走行速度に対応すべく、減衰力をキッチリ確保してあるハズなのだけれど(実際コーナーでのロールなどSUVとしては少ない)、全く「硬さ」を感じないのだ。このあたり、ベンツやBMWと共通する乗り味。」 
'All About クルマ・バイク’試乗記事(国沢光宏 氏)より抜粋
http://allabout.co.jp/auto/japanesecar/closeup/CU20070228A/index2.htm

キモはザックス社(ドイツの名門企業・・・らしい)と共同開発したダンパーにあるようだ。リバウンドスプリングを内蔵することでコーナリング時に内側のタイヤが伸びるのを制してロールを抑える。またダンパー自体も「ハイスピード・ダンピングコントロール・ショックアブソーバー」という名のとおり、ガタガタ道も上手にいなす高性能のもののようである。

Photo_151
■リア・サスペンションはマルチリンクと、これまた結構奢っている。

■サイドから見たシルエットも、前後のオーバーハングを詰めたわりにアプローチアングルはさほど大きく取らず、5ドアハッチバックに下駄を履かせたような印象だ。サイドウインドウ後端の切れ上がりはムラーノ譲り。
Side

■4WDシステムは、8月デビューの新型エクストレイルに設定される進化型ではなく、現行エクストレイルと同じタイプ。オンロード重視のこのクルマではこれで十分過ぎるくらいだろう。

むしろ、お金をかけるなら4WDの走破性よりも見た目を重視して、ガラスルーフと17インチタイヤが付く上位グレードの20G 2WDを選ぶ方が自然かもしれない。
Photo_155
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■日産にしては珍しく好調なデュアリスではあるが、「新車効果」が半年もたなかったりするこのご時勢、さてはていつまで好調を持続できるかが問題だ。

それはエクストレイルのような強い個性を定着させることが出来るかどうかにかかっている。
                      
                        <2007.07.08 記>

■日産デュアリスのすべて
   

■関連記事■
■インパクトのあるCMと、しみじみ伝わるCMと。
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_58ec.html

 
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■デュアリス公式サイト
http://www2.nissan.co.jp/DUALIS/J10/0705/index.html

■<参考>新型エクストレイル X-TRAIL の事前公開サイト
特に、「オールモード4×4-i 」の解説が分かりやすい。

http://www2.nissan.co.jp/X-TRAIL/NEW/top.html

 
■車両諸元比較 (2WD)

          DUALIS 20G   X-TRAIL X  RAV4 G Golf GLi
                       新型8月発売  
全長       4315mm     4455mm     4335mm  4205mm
                               (4630mm)
全幅      1780mm     1765mm     1815mm  1760mm
                               (1785mm)
全高     1615mm     1675mm  1685mm  1520mm
                               (1685mm)
W/B    2630mm     2625mm    2560mm   2575mm
                               (2630mm) 
車両重量  1420kg       1350kg      1460kg    1380kg
最小回転半径 5.3m     5.3m          5.1m       5.0m
タイヤ 215/60R17 215/65R16 225/65R17 195/65R15   
        <S: 215/65R16>
   
エンジン   直4 2.0L   直4 2.0L   直4 2.4L 直4 2.0L
最高出力   137ps      150ps       170ps      150ps
最大トルク  20.4kgm  20.4kgm      22.8kgm   20.4kgm
トランスミッション  CVT        CVT         CVT          6AT
燃費(10・15) 14.2km/l  13.2km/l  13.4km/l  12.0km/l
燃料タンク容量  65L       60L           60L        55L
                  レギュラー レギュラー   レギュラー  ハイオク
   
サスペンション
フロント     ストラット      ストラット      ストラット     ストラット
リア     マルチリンク  パラレル     ダブル   4リンク
                     ウィシュボーン
車両価格 222.0万円 222.6万円  216.3万円  282万円
     <S:195.3万円> <S: 201.6万円> <X: 198.5万円>

■蛇足■デュアリス(欧州名 QASHQAI : キャシュカイ)は英国日産で生産される輸入車だから、今のポンド/ユーロ高で儲けが飛んでしまってるのでは?というのは、余計なお世話か。現地価格そのままだと最低グレードでも334万円(1ポンド=247.6円)になってしまうのだから『お買い得』という言い方もありカモ。
  

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2007年7月 7日 (土)

■『次期哨戒機 P-X/次期輸送機 C-X』 試作1号機 ロールアウト。

7月4日、海上自衛隊の固定翼哨戒機 P-3Cの後継である「P-X」、試作1号機が公開された。
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P-X 次期哨戒機 試作1号機(岐阜県各務原 川崎重工業岐阜工場)
初飛行は9月頃といわれている。生産数は70機程度の予定。

2010年から徐々に退役していくP-3Cに代り、潜水艦の動向を調べるなどの日本の海を守る任務に就くことになる機体だ。今回、公開されたのはその開発に向けた試作1号機であり、特有の赤いラインが描かれている。

主契約者は川崎重工で、そこに三菱重工、富士重工、日本飛行機が開発に加わっている。主翼の下に4基ぶら下がるターボファンエンジンXF7-10は、IHI(石川島播磨)が開発する。

今、日本の海の守りについているP-3Cは、「黒いピーナッツ」で大いに盛り上がったロッキードの機体だが、今回のP-Xは、エンジンを含めて純国産。何ともうれしい限りである。

P3c_3
海上自衛隊P-3C哨戒機

P-3Cとの大きな違いは、まずエンジン。P-3Cはガスタービンでプロペラを回すターボプロップ。プロペラの場合どうしても、プロペラ端部速度の関係で亜音速での飛行は難しくなってしまう。対してP-Xは、ジャンボジェット旅客機でおなじみのターボファンエンジン。巡航速度は、745km/h から830km/hに向上する見込みである。

主翼の後退角もかなり強くなっており、一般的な旅客機の姿をしているといっても過言ではない。

操縦系統は光ファイバーで情報伝達を行う、フライ・バイ・ライト方式(実用機としては世界初かな?)。従来の飛行機は操縦桿、ラダーペダルと昇降舵や方向舵の間をケーブルで直接つないでいるが、近年の航空機はフライ・バイ・ワイヤ方式といって、ケーブルの代りに電線で信号を伝え、昇降舵や方向舵をモーターで動かすという方式に切り替わりつつある。そうすることで自動操縦の制御範囲が格段に向上するからだ。

だが、繊細な電子機器の塊である哨戒機にとって操縦系統を流れる電流による電波雑音は、ばかにならない。そこでフライ・バイ・ライト方式を導入した、と思われる。

来年の夏頃には、厚木基地周辺でもその姿を拝めるかもしれない。ジェット化による騒音が気になるところだが、今、厚木で飛んでいるスズメバチ(F/A-18E/F スーパーホーネット)に比べれば問題ないレベルだろう、きっと。たぶん・・・。

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C-X 次期輸送機 試作1号機(岐阜県各務原 川崎重工業岐阜工場)
初飛行は同じく9月頃といわれている。
生産数は30~40機程度の予定。

一方こちらは、P-Xと同時に開発されている次期輸送機 C-X。

現役の川崎C-1の後継にあたる戦術輸送機である。
大きさは約1.5倍、積載量4.7倍、最大速度1.2倍、航続距離(空荷時)7.7倍。見た目はあまり代わり映えしないのだけれども、大きく育って随分と高性能になったものである。

P-Xと異なりエンジンはGE製。また操縦系統はフライ・バイ・ワイヤ方式。

C1 川崎C-1
C-1といえば、私の通っていた小学校は習志野にあって、校舎の窓から空挺団の落下傘降下訓練を眺めていたものである。C-1の後部からポロポロと白い粒が落ちてきて、なんだか虫の産卵みたいだな、と思ったおぼろげな記憶がある。

2011年頃には、C-Xの産卵シーンが拝めるはずである。

 
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                            <2007.07.07 記>

   

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2007年7月 6日 (金)

■映画 『ブラック・レイン』 歴史は巡り、繰り返される魂の喪失。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
古今東西なんでもあり、気楽でささやかな名画座をめざします。
ゆっくりUPしていくつもりなので、ひとつ長~い目で見てやってください。

No.02  『ブラック・レイン』
     (BLACK RAIN)
          監督: リドリー・スコット 公開:1989年10月

松田優作に久しぶりに会いたくなってブラックレインを見た。学生時代に見たときには、松田優作の演技の素晴らしさに感動し、直後の訃報と相まって名作として深く心に刻まれた作品だ。しかし、今見返してみて、どうにもやりきれない気分になってしまったのだ。

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■ストーリー■

ニューヨーク市警の刑事ニック(マイケル・ダグラス)と相棒のチャーリー(アンディ・ガルシア)はレストランで偶然にヤクザによる殺しの現場に出くわした。格闘の末、逮捕された男の名は佐藤(松田優作)、大阪のヤクザ組織に絡む人物であった。日本大使館からの強い要望により佐藤は大阪まで送られることなり、ニックとチャーリーは渋々護送任務につく。だが、大阪空港で組織の罠にまんまと嵌り、佐藤に逃げられてしまう。

大阪府警の朴訥な警部補、松本(高倉健)の監視のもと、拳銃を取り上げられ、警官としての権限のないまま捜査を見守るニックとチャーリーだったが、佐藤の隠れ家に残された100ドル紙幣をくすね、それが偽札であることを見抜く。事件の背景に偽造がからんでいることに気付いた彼らは独自に捜査を始めるのだが、その背後には佐藤の黒い影が忍び寄っていた。

実直で不器用な松本警部補。自由奔放で熱血漢のニックと陽気で気さくなチャーリー。果たして彼らは大阪の夜の闇にうごめく佐藤の野望を打ち砕くことが出来るのか。

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■この作品の詳細を見る■
■DVD ブラック・レイン

■DVD ブラック・レイン【デジタルリマスター版コレクターズ・エディション】

  
■以下、ネタバレあり、注意方。■

■夜、沸き立つ水蒸気、ネオンの禍々しさ・・・リドリー・スコットの職人芸により、大阪の街は禍々しいものが巣食う暗黒街へと変貌する。『エイリアン』、『ブレードランナー』の世界。どうしても期待は膨らんでしまう・・・のだが。

■この映画が公開されたのは1989年、奇しくも三菱地所がニューヨークの象徴的な建物であるロックフェラーセンターを2000億円で買収した年である。当時、バブル景気で膨れ上がったジャパンマネーが『アメリカ』を席巻し、『顔の見えない日本』がはびこる。そういう時代背景が思い起こされる。

戦後40年間、『アメリカ』の豊かさを必死に追いかけてきた日本。だが、アメリカにとっての日本に対する認識はパールハーバーで止まっていて、このとき初めて、『日本』を意識したのではないだろうか。そういう意味で、この「ブラックレイン」という映画は、アメリカ人にとってのその『空白』を埋める試みなのである。

■B29の爆撃後に降る『黒い雨』。やくざの大親分、菅井(若山富三郎)の口を借りて、この映画のテーマが語られる。敗戦の雨に打たれてすっかり迷ってしまった日本人はその本来の魂を失い、すっかりアメリカの拝金主義に染まってしまった。

その象徴が、冷酷で凶暴で、それでいてアウトローになりきれず世俗の欲に執心する男、佐藤(松田優作)である。その一方、集団の中に隠れて素顔を見せようとしないもう一つの日本人像の象徴として松本警部補(高倉健)が描かれる。

■チャーリーの無残な死。そして彼を救えなかったニックのやるせなさは、穴に閉じこもった松本警部補の心を突き動かす。2人は独断行動により、製鉄所で密会中の佐藤を追い詰めるが、ギリギリのところで逃げられる。

その場を大阪府警に押さえられ強制送還されそうになったニックだったが、飛行機から脱出し、松本のもとに協力を頼む。だが、今回の騒動で謹慎降格となった松本は、すでにもとの穴倉に戻ってしまっていた。

■ここまではいい。佐藤、ニック、松本の3つの軸が互いに影響し合い、ドラマが重層的に展開していく。そしてニックは最後の手段として、単身、菅井のところへ乗り込み、自分を佐藤への刺客として売り込む。

このシーンの若山富三郎と安岡力也の圧倒的な存在感が素晴らしい。『ブレードランナー』でリック・デッカードを追い詰めるロイ・バッティ、或いは『エイリアン』のラストでリプリーに襲い掛かるビックチャップ。リドリー・スコット節がここに炸裂する。この一連のシーンが醸し出す緊張感は、この映画最高の見せ場だ。・・・ああ、時間よ止まれ。

■郊外にある一軒の農家。親分衆と佐藤との手打ちの土壇場で佐藤が裏切り、菅井の手にをドスを突き立てる。そこにニックが乗り込み逃げる佐藤を追いかける。ニックさん、助けに来たよと松本が現れ、腰だめにしたサブマシンガンを乱れ撃ち。ニックの行く手を阻むやくざ共を薙ぎ払う。

最後の勝負で見事に佐藤を取り押さえたニックは、松本と共に大阪府警に出頭。こいつは偉いと表彰式。・・・スターウォーズじゃあるまいし。

■最後にはしごを外されるとは、まさにこのことか。

大切なものを守り抜くために、耐えて耐えて耐え抜いて、その瀬戸際に、決死の覚悟で立ち上がる。それが日本人のメンタリティーであり、そこで初めてカタルシスを得られるのだ。

『野生の証明』で、薬師丸ひろこを背負って自衛隊に単身立ち向かっていった高倉健。この映画では一体何を背負って戦ったのか。マシンガン片手に「ああ、快感っ」では冗談にもならない。

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悪いやつらはやっつける。

この深みの無さ。
これがハリウッド映画というものなのだろうか・・・。

■満足げな笑顔でマイケルダグラスに表彰状を手渡す俳優、神山繁の心中はいかなるものであったか。

それは進駐軍に媚を売らねば生きていけなかった敗戦国の悲しみであり、その心の奥に隠されたやりきれない怒りではなかったか。

マイケル・ダグラスに対して
若山富三郎が搾り出すようにつぶやくシーンが蘇る。

 わりゃ、ホンマに殺したろかい。

■だが、この映画の公開から18年。バブルは崩壊し、再び自信は失われた。そして「グローバルスタンダード」という黒い雨に洗われて、日本人本来の魂が揺らいでいる「今」がある。

歴史は繰り返す。

皮肉にも、
この映画のテーマと今の日本とが、ダブって見える。
  

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■松田優作にとって、この映画は一体何だったのだろうか。

撮影時の年齢は39歳。このハリウッド・デビューを足がかりに、彼はさらなる俳優道を極めようとしたに違いない。あの『佐藤』の神懸かった演技は、決して最期の輝きなどではなく、さらなる頂きへ向かうためのデモンストレーションだったのだと思う。

その無念を想うと胸が痛む。
                       <2007.07.06 記>

■蘇える松田優作
大下英治 著 (1991/10)
 
 

■スタッフ
監督 リドリー・スコット  
脚本 クレイグ・ボロティン
    ウォーレン・ルイス
撮影 ヤン・デ・ボン
音楽 ハンス・ジマー

■キャスト
松本警部補・・・高倉 健  
ニック   ・・・マイケル・ダグラス
チャーリー・・・アンディ・ガルシア 
    * * * * * * *
佐藤    ・・・松田優作 
佐藤の部下・・・内田裕也
       ・・・ガッツ石松
       ・・・國村 隼
    * * * * * * *
大親分、菅井・・・若山富三郎
菅井の用心棒・・・安岡力也
菅井の子分 ・・・島木譲二
    * * * * * * *
大橋刑事部長・・・神山 繁 
米人ホステス、ジョイス・・・ケイト・キャプショー
   

■関連作品

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●高倉健  『野生の証明』(1978年 佐藤純彌 監督)
 大切なものを守り抜く本当の高倉健がそこにいる。

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●松田優作 『野獣死すべし』(1980年 村川 透 監督)
 松田優作の「狂気」が、終盤のリップ・バン・ウインクルのシーンに凝縮されている。恐怖に慄く室田日出男の演技は必見。

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●リドリー・スコット 『ブラックホーク・ダウン』(2001年作品)
 1993年ソマリア内戦。米軍とゲリラの市街戦が余分な感情表現を廃して淡々と描かれる「乾いた」映画。ラストのリドリー・スコットらしい朝もやのシーンに救われる。

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2007年7月 5日 (木)

■国立新美術館 さざなみに包まれる心地よさ。

すっかり遅くなってしまったが、先月「大回顧展 モネ」を見に行った六本木の国立新美術館について、記しておこうと思う。

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■国立新美術館HPより

■概要■
<コンセプト> 「森の中の美術館」として親しみのある美術館を目指す
<目的> 展覧会の開催・情報収集および、その公開・教育普及
<特徴> 特定の美術品は所蔵しない。
       国内最大級の展示場(14,000㎡)を有する。
<歴史> 2007年1月21日開館
<所在> 東京都港区六本木
       (東京大学生産技術研究所跡地)
<設計> 黒川紀章・日本設計共同体

■入り口からの外観
当日は雨が降ったり止んだりで、画像が暗い。晴天の日ならばもっとキレイに映えるだろうに、残念だ。
手前がチケット売り場・案内所。その裏手に喫煙コーナーがあるのだが、敷地内で吸えるのはココと地下鉄乃木坂駅への連絡通路のみ。喫煙者には厳しい世の中になってきた。
モネ展の案内係のお姉さん達もここで一息ついていた。何だかそういうのを見ると、こころが和む。
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■ガラスの外壁
内部構造が透けて見えるガラスの外壁に、
映りこんだ雲が流れていく。
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■エントランス1
入り口には大きな円盤状のひさしが突き出している。
円盤の下は傘置き場。
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■エントランス2
建物の入り口は円錐状になっており、入場するものをスポットライトで照らし出す。なかなか凝った演出だ。
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■内部レイアウト
ガラスの壁面側は吹き抜けになっており、巨大な円錐が2つ、力強く大地に突き刺さっている。奥の方は4階建て構造。今回の「モネ展」は1階のギャラリーに展示された。スペースは、かなり広い。
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■国立新美術館HPより
   

■巨大な円錐構造
この円錐の上にはレストランがあり、3Fからつながっている。下部(1F)は、お手洗い。
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■巨大な円錐構造にたわむガラスの壁面
外壁のガラスの面は巨大な円錐の「カタマリ」によって外側へ柔らかくたわんでいる。だが、縦の梁は緩やかな曲線を描いており、ムリが無い。ドカンと鎮座する円錐の「力」をしなやかに受け止めている。
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■ガラスの壁面構造
「ガラスカーテンウォール」と呼ばれる壁面は、小さな梁で細やかに支持されている。うねるような大きな波と小さな細工によるさざなみ。この壁面をじっと見つめていると平衡感覚が失われてくる気がする。
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■空中庭園1
3Fの中庭。建物の中に地面があり、空がある。不思議な空間だ。
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■空中庭園2
美術関係資料のあるライブラリーから中庭を眺める。真っ直ぐ伸びる竹林と青空が清々しい。
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■カフェテリア
1Fにはカフェテリアがあり、そこで一休み。
入館時の雨はすっかり止んで、青空がのぞいていた。
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■都市革命―公有から共有へ■黒川紀章 著
中央公論社(2006/3)
21世紀の都市が直面している新たな課題、渾身の提言。
   

                   <2007.07.05 記>

 
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2007年7月 4日 (水)

■祈り。『プロフェッショナル・仕事の流儀』 外科医・幕内雅敏

365日 24時間 医者であること。

自分が最後の砦であると思うこと。

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プロフェッショナル・仕事の流儀 外科医・幕内雅敏 2007.07.03 放映

年間200例の手術をこなす。

なかには10時間にも及ぶ手術もある。

少し気を緩めれば、目の前の命が消えてしまう。

その緊迫感。
 

実践、実践、実践。

毎日続けることで集中力は持続するようになるというが、

その水準は、想像を遥かに超えている。
 

一体、何が彼を突き動かすのだろうか。
  

宿命であり、しょうがない。と幕内さんはいう。

やらなければならない。だから頑張る。

「使命感」というコトバで括りきれない何かがそこにある。
  

長時間、極度の集中を要求される難手術。

集中力の限界との戦いの中で、

幕内さんは、持ってくれよと

「祈る気持ち」になるのだという。
   

その領域は、私にはまだ見えない。

                   <2007.07.04 記>

 
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■『東京大気汚染訴訟』 義を見てせざるは。

「患者が人間らしい平凡な生活を送れる社会にしたい。私たちが11年かけて訴えたのは、実はそれだけ。」

■東京大気汚染訴訟は原告団と被告である自動車メーカー7社の和解受諾により、7月2日、11年間にわたる法廷闘争に終止符が打たれた。

1967年に提訴された四日市ぜんそく訴訟を契機に、1974年に全国41地域のぜんそく患者らに医療費などを補償する公害健康被害補償法(公健法)が施行されるも、1988年に「大気汚染は改善された」として、国は公健法を改訂、公害患者の新規認定を打ち切った。

だが、74年の公健法指定地域から外れたところに住んでいた人や、88年以降に健康被害が発症した人は、この補償を受けられない。それがいわゆる「未認定患者」である。

■いつ来るとも知れないぜんそく発作の苦しみ。月に6万円にも上る医療費。働くことも出来ず、身の回りのことすら家族に頼らざるを得ないことからくる自責の念。

それは、健康な我々には想像のできない苦しみだと思う。ただただ、居たたまれぬ思いに身を焦がすだけだ。数は少ないといえども、我々の便利な生活と引き換えに生まれた犠牲者であることは間違い無いのだから。

■行政は過去の法改正を正当化するために非を認めず、メーカーは法令を遵守していることから株主に対する説明が出来ないと態度を頑なにする。

そこに突破口を空けたのは東京都であった。昨年秋に医療費助成制度を提案したのだ。それでも態度を硬くする国に対し、原告側は首相に直訴、安倍首相は60億円を拠出する政治的判断を下した。

また、東京高裁からの和解勧告で、「自動車の利益を得てきた国民全体が、社会的責任を引き受けるべきだ」との言葉を受けた自動車メーカーは、法的責任ではなく、社会的責任を果たすという大義名分を得て、解決金支払いに応じることが出来た。

■冒頭は、自らも未認定患者として苦しむ石川原告団事務局長の言葉だ。

こういう言葉に対して心を動かさない人はいない、と思いたい。ただ、組織の利益や面子が、それの邪魔をするのだ。

義を見てせざるは勇無きなり

石原都知事も安倍首相も、人間として考え、政治家として行動した。
久々に政治家の立派な側面を見ることが出来てうれしく思う。また、硬直した法的責任論議を極力排し、実のある和解策を推し進めた東京高裁の姿勢も情にあふれ、非常に共感を覚えるものであった。

日本もまだ捨てたものではないのだ。

                       <2007.07.04 記>

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2007年7月 2日 (月)

■新型 『ノア・NOAH/ヴォクシー・VOXY』 一部、こっそり3ナンバー。

新型 ノア/ヴォクシーが5年半振りにフルモデルチェンジをおこなった。

ノア・NOAH
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ヴォクシー・VOXY
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■5ナンバーサイズ背高ミニバンとして、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンとの熾烈な販売競争を戦うモデルであり、モデル末期にも関わらず2年前に新型に切り替えたライバルに対して一歩も引かない販売台数を稼ぎ出してきた。そういう意味でトヨタにとって「失敗できない」モデルなのである。
<2007年5月販売台数>
ノア 4,012台、ヴォクシー 5,252台、
セレナ 4,502台、ステップワゴン 3,180台

ノア/ヴォクシーはいわゆる兄弟車。「家族のクルマ」ノアと、「父親のクルマ」ヴォクシー。ボンネットと前後のバンパー・ランプを作り変えることで上手くキャラクターの違いを演出している。

特にヴォクシーは、ザガード ステルビオを彷彿とさせるボンネットの盛り上がりが挑戦的だ。(上下2段分割ヘッドランプ風の「まゆ毛」は、どうかと思うが・・・)
Photo_137 オーテック ザガード ステルビオ

■さて、問題は車両全幅である。
このカテゴリーでは、頑なに5ナンバー枠が守られてきたのだが、ついにノア/ヴォクシーは新型で3ナンバー幅となっているのだ。しかも、205タイヤを履くトップグレードが1720mm、195タイヤのグレードは1695mmと作り分けているのだ。(密かにバンパー違いで全長も違うのだが・・・)

兄弟車というのはパーツを極力共用することで投資を削減するのが定石なのだが、その中のグレード違いで車体パネルを作り分けるいうのだから、トヨタの羽振りの良さは並大抵のことではない、ということか。

205タイヤを履かせて全幅1695mmを守ろうとすれば、タイヤ幅の分だけハンドルの切れ角が小さくなり、最小回転半径が大きくなってしまう。全幅を合わせるとすれば、3ナンバー幅の1720mm。

自動車税も排気量でしか区切らないのだから、全グレード3ナンバーで良さそうなものだけれども、まだまだ5ナンバーの心理的壁は厚いと判断したのだろう。

そもそも、税金と連動しなくなって分かりづらくなっている5ナンバーの定義自体が疑問なのだけれど。

■その他の特徴

■エンジン
新型エンジン(3ZR-FE)のハイライトは何といっても上級グレード(3ZR-FAE)に設定される(3ZR-FAE)吸気バルブリフト連続可変システム(VALVEMATIC)だろう。

これはBMWのバルブトロニックと類似の機構であり、吸排バルブタイミング制御との組み合わせで、低燃費と高出力の両立を図れる仕組みなのだ。
(低負荷時のポンピングロス低減による燃費の改善とカムハイトアップによる高出力化。:詳しくはMotor Fanイラストレーテッド vol.5 「エンジンの基礎知識と最新技術」を参照方)

2.0Lクラスの大衆車でそこまでやるか。という気もするが、そういうトヨタの環境に対する積極性は評価したい。

■Motor Fan イラストレーテッド vol.5
エンジンの基礎知識と最新技術
・VWゴルフGT TSI &BMWバルブトロニック
・F1エンジンの実像
 

■2列目シート回転モード
07_2nd2
2列目が回転できて、子供をチャイルドシートに乗せる時に母さん楽チン。という装備。

うーん。で、チャイルドシートの固定はどうするの?と思って取扱説明書を確認したら、やっぱりISO-FIX式チャイルドシートでないとダメで、トヨタ純正を買う羽目になりそう。

その点、2列目回転シートを選択する時は注意が必要。

■ワンタッチ式3rdシート跳ね上げ機構
片手でロック解除、自動跳ね上げというところが売りのようだが、シート跳ね上げをバネで助力してくれるセレナとそう大差は無いだろう。

それよりも、前型にはあった3列席のシートスライドが無くなっているところがイタイ。シートスライドか楽チン跳ね上げか、どっちを選べと言われたら、私はスライドを取るけれど・・・。

■多少、粗が気になるところもあるのだけれど、まあトヨタの販売力をもってすれば、バカスカ売れてしまうのだろう。7月の販売台数が楽しみである。

■新型ヴォクシー/ノアのすべて
(モーターファン別冊 ニューモデル速報)

 
■ Amazon.co.jp ■

【 書籍・ベストセラー 】

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                        <2007.07.02 記>

■トヨタ ノア・NOAH 公式HP
http://toyota.jp/noah/index.html

■トヨタ ヴォクシー・VOXY 公式HP
http://toyota.jp/voxy/index.html

   
■競合車 諸元比較

<セレナ>  /  <ステップワゴン>

0702 05

'07 ノア Si <'05 セレナ 20RS > 〔'05 ステップワゴン G
('07 ノア G)

全長     4630mm     <4690mm>       〔4630mm
             (4595mm)
全幅     1720mm     <1695mm>   〔1695mm
      (1695mm
全高     1850mm      <1840mm>   〔1770mm〕 
W/B      2825mm      <2860mm>   〔2855mm
乗員        8人     < 8人 >     〔 8人 〕 
車両重量  1590kg      <1610kg >      〔1510kg
タイヤ    205/60R16  <195/65R15>  〔205/65R15
           (195/65R15)
最小回転半径 5.5m      <5.5 m>        〔 5.3m

エンジン  2.0L 直4     <2.0L 直4>      〔2.0L 直4
最高出力  158ps        <137ps>          〔155ps
       (143ps)
最大トルク
20.0kgm    <20.4kgm>     〔19.2kgm
               (19.8kgm)
トランスミッション  CVT       <CVT>          〔4AT
燃費         14.2km/l    <13.0km/l>  [13.2km/l]
(10.15モード) (13.4km/l)

サスペンション 
フロント    ストラット       ストラット>     〔ストラット〕 
リア   トーションビーム トーションビーム> 〔トーションビーム

     

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