■『プロフェショナル・仕事の流儀 スペシャル』 リーダーの資質とは。/ グーグルの秘密。
■今回の プロフェッショナル 仕事の流儀は、トークスペシャル Part3 と題して、いままでに登場した6人のプロフェッショナル方々のインタビューの未放送部分から「リーダーに必要とされる資質」というテーマを浮かび上がらせる、という趣向。またグーグルのCEOであるエリック・シュミットさんのインタビューまであって、非常に豪華な内容であった。
■ 坂本幸雄さん (エルピーダメモリー社長)●社長、部長と肩書きで呼ばせていい気になっていたらもうだめだね。「社長」と呼んだ瞬間に社員は萎縮してしまう。社長も社員も同じ目線で仕事をしないと。
ネガティブな意見が出てくるような環境を作ることが大切。そりゃ、ムカッとはするけどね。
●ビクビクした姿は見せない。何のメリットもないからね。頑張って自信満々に見せる。間違いは認めても、自分が正しいと思ったことに対して軸をぶらさないことが大事だね。
●部下のプラスの部分を評価して、もっとプラスにする。マイナス面を引き上げるようなアベレージを指向するやりかたでは、全体としてプラスが出てこない。
●リーダーは部下のために働く。リーダーに大切な資質とは「自分の部下に夢を与えることが出来ること。この会社にいたら自分の生活がもっと良くなると思わせるようにすること。」『エルピーダは半導体で世界一になる!』、『世の中の人たちにスゴイと褒めてもらおうよ!』
■ 鈴木敏夫さん (スタジオジブリ プロデューサー)●立場の違いのある人たちを一つにまとめる。そのコツは、一度、「自分の仕事」を忘れてもらう」こと。そして、まとまったところで自分の立場で見直してもらえばいいと考えてもらうこと。そうすることで自分の仕事を忘れ、自由に議論してもらうことができる。
●信念は全員が参加してくれること。一人でも落伍者を出したくない。それには夢を語ること、お祭りにしてしまうこと。
●問題児を追い出さない。追い出したところで、、また次の問題児がでてくるものだ。
●大切なのは皆が毎日楽しく働けること。敢えて言えば、それが、私自身がうれしい環境を作るということだ。
■ 佐藤 章さん (キリンビバレッジ元商品企画部長)●「正・反・合」を大切にしている。
あえて反対意見をぶつけてみる。そうすることで、化学反応が起こり、新しい概念が生まれてくる。そのアイデアにまた対立する意見をつくり、さらに高めていく。
■ 南場智子さん (DeNA社長)●トップが一番元気であること!組織のエネルギーの上限はトップの元気度で決まる。だから、迷いとか不安を背中に見せないようにしている。
■ 新浪剛史さん (ローソン社長) ●トップダウンのやり方にポイントがある。方向性はトップが決める。そこで、その方向性の理由を理解してもらった上で、やり方は任せる。
●簡単に平易に語る。同じことを何度も繰り返して語る。アホと思われても同じことを語る。そうすることで初めて、あの人は本当に信じているのだと分かってもらえる。
●同じ事を語り続け、皆が信じてくれるまで、2年でも3年でも待つ。
■ 星野佳路さん (星野リゾート社長)●「正しい」ことより、コンセプトや戦略に「共感してもらう」ことが人を動かす。
●社員に楽しく仕事をしてもらうことが大切。どんなに「正しい」ことでも、嫌なことでは力は出ない。
●「そこに行きたい」と思わせるビジョンを示す。そこに共感を持ってもらう。
●私の喜びは、会社を辞めるときに、「私と仕事が出来てよかった」と思ってもらえる人が一人でも多くいること。
■感じたこと・考えたこと■
今の立場や経歴の違いによるものか、6人6様の個性が面白かった。
坂本さんは、皆と肩を組みながら、一緒に頑張ろうぜ!という爽やかな体育教師のようなリーダーシップ。
鈴木さんは、「まぁまぁ、みんな聞きなさいや。ほれほれ、そこの若い衆も恥ずかしがらずにこっちに来なさい。」という、村の長老のイメージ。
佐藤さんは、非常に知的で、鋭利な刃物のようなキレの良さ。
南場さんは、自分が頑張ってる姿を見せることで、みんなが自立的に後押ししてくれる感じ。(迷いや不安を見せないといっているが周りから見るとスグに分かるに違いない。そんなところも含めて後押してしまいたくなるのだろう。失礼だけれど本当にかわいらしい人である。)
新沼さんは、その不動の安心感が人を惹きつける。
星野さんは、魅入らせることで皆を笑顔にさせることを生きがいにするエンターティナー。といったところだろうか。
断片的なインタビューで、人を判断できる訳は無いのだけれども、こういう印象をもった。
リーダーシップはノウハウで得られるものではない。と改めて感じた。大切なのは、自分自身の個性を大切にして最大限に引き出すこと。そして仲間を信じきること。そうすれば、きっと自分なりのリーダーシップの形が出来てくるのではないだろうか。
自分自身は、まだその型に自信が無いのだけれど、まずは自分が出来ることをやる。ということなのだろう。その為には、逆に肩の力を抜いて、気を楽に持った、じぶんの自然体を良しとする。そういう姿勢を身につけたいと思う。
■エリック・シュミットさん (Google社 CEO) ●社員には勤務時間の20%を自由な研究開発に充ててもらっている。そこからいろいろなアイデアが出てくる。
●愛犬同伴もOK、自由でオープンな雰囲気。
●重要な情報をインターンの学生にも教える。「こういうアイデアがあるんだけど、どう?」という感じで。
「You ! Must be Creative ! 」などとやっても新しいアイデアは出てこない。
●間違いを許容することが大切。2回目は1回目より格段に良くなる。間違えに気が付いたらスグに修正すればよいのだ。
●リーダーにとっては、「話すこと」よりも「聞くこと」のほうが大切。日々ものごとは変化してゆく。リーダーが全てを把握できるわけではない。「どうだい?」と自分から声をかけること。
●会議では、何が起きているかを聞いて、自分の意見を出す。そして、その意見に対する反対意見が出るまで待つ。そこに議論が生まれ、その議論の過程でリーダーは認識を深めていく。
●そこで、皆が自分の意見に反対だということになれば、その反対意見を採用する。集団の方が個人よりも優れた判断が出来ると信じているからだ。
●クリエイティブな会社では、皆が意見を出す。そして気軽に「素晴らしい、やってみたら?」と背中を押してあげる。そして、そのアイデアを覚えておいて、しばらく経ってからあの件はどうなった?とメールで聞く。大切なのは、「聞くこと」と「アイデア」を結びつけること。創造的な人たちが話し合える雰囲気を作ること。
●グーグルはユーザーの1クリックで成り立っている会社であり、ユーザーに信頼されることが何よりも大切だ。
■感じたこと・考えたこと■
Googleは、『世界を整理しつくす』という非常にシンプルで、かつ壮大なビジョンを持っている。今回はあまり強調されていなかったが、そこがまず大前提にあって、今回のインタビューが生きてくる。
「日本人は自分の意見を表明するのが下手クソだ。それは、欧米と異なり、自分の意見をもって議論するという教育を受けていないからだ。」とよく言われる。だが、それは本当だろうか。
本田技研は、ワイガヤ文化で有名だし、それ故に個性的な商品を生み出してくる。
Googleのような組織は、意外と日本人に合っているのかもしれない。要は組織内の環境とか文化なのだと思う。独自の「創造性」が求められている今の日本企業に働くものにとって、非常に意義深いインタビューだったのではないだろうか。
■ 推薦本 ■
■ 関連図書 ■
【プロフェッショナル仕事の流儀 単行本】
放送で紹介されていなかった部分も描かれているそうです。
■ プロフェッショナル 仕事の流儀 1
●リゾート再生請負人 星野佳路
●小児心臓外科医 佐野俊二
●パティシエ 杉野英実
■ プロフェッショナル仕事の流儀 4
●映画プロデューサー 鈴木敏夫
●建築家 中村好文
●飲料メーカー商品企画部長 佐藤章
■ プロフェッショナル仕事の流儀 10
●編集者 石原正康
●コンビニチェーン経営者 新浪剛史
●玩具企画開発 横井昭裕
<2007.05.31 記>
■ 関連記事 ■
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■『明日から使える”仕事術”』というのは、伊達ではなかったのだ。
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■茂木健一郎さんの「クオリア日記」にT/Bします。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2007/05/post_0461.html
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