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2007年5月15日 (火)

■『クライスラー売却』 ハゲタカは救世主たりうるのか?

Ptcruiser ■ダイムラー・クライスラー社の北米クライスラー部門について、米投資会社サーベラスが買収することで合意された。サーベラスは、クライスラーの株式、80.1%を55億ユーロ(74億ドル、9000億円)で取得する。
<5月15日 各紙報道より>

 サーベラスは1992年に設立された米国の有力な投資グループ。
アメリカの元副大統領ダン・クエールが顧問を務め、現会長はブッシュ政権下の財務長官だったジョン・スノー。
一時期、買収先としては、カナダの大手自動車部品メーカー、マグナ社が有力視されていた。だが、ロシアのコングロマリット、ベーシック・エレメントがマグナに資本参加することが明らかになった翌日、サーベラスが最有力候補になったと米紙が報じた。

 他社の提示額45~49億ドルに対し大幅に高い74億ドルを提示し、一気にかたを付けたあたりも含めて、国家的な企業防衛というような、非常に政治的な匂いを感じてしまうのだが、気のせいだろうか。

  ともかく、買収先は投資会社サーベラスに決まった。

■さて、興味のポイントは、「投資ファンドが、どのようにクライスラーを復活させるのか」にある。
 サーベラスのジョン・スノー会長(前米財務長官)は、14日の会見で、四半期ベースの利益や証券アナリストの評価ではなく、長期的な成果を生み出すことを何よりも重視する」と、時間をかけてクライスラー再建に取り組む考えを強調した。
 一方、「集中的なリストラを断行したうえで、自動車メーカーなどへの売却を検討する方針」という観測もあり、スノー会長の言葉を額面通りとるのもどうか、と思わせる。

Photo_25 ■キーパーソンは、サーベラスが顧問として招き、クライスラーの取締役に加わると目される、ウォルフガング・ベルンハルト氏(Wolfgang Bernhard、47歳)だ。
彼はクライスラー部門のCOOとして、01~04年の業績回復に手腕を発揮し、ダイムラー首脳と袂を分けた後も、05年、VW社に取締役として参画、品質改善とコスト削減で06年度には過去最大の販売台数を打ち立てることに大きく貢献した。

要するに凄腕再生男なのである。

■今回の状況を見ていて、このベルンハルトさん、「ハゲタカ」の柴野と鷲津にちょっとダブるのだ。
 ベルハルトはクライスラー再建の途上で、身を引かざるを得なかった。そして、今回、その再建の続きを始めるのだ。投資会社サーベラスの思惑は明確ではないが、ベルハルトの想いとズレがあるのは確かだろう。
 この状況で、ベルハルトは何を産み出すのだろうか?

■クライスラーの抱える問題は、以下の3点だと考える。
①年金、医療費の債務負担、合計150億ドル(1兆8000億円)
②SUV等、中大型車中心の車種構成の為、原油高騰で販売低迷。
③ダイムラーの支配力が強すぎることによる経営自由度の制限。
最後の③を除き、アメリカのビック3共通の構造的な悩みであり、解決も小手先では儘ならない困難なタスクである。

■「利益の出ない事業で金をムダにはできない」という言葉は、05年にVWの取締役に就いたときのベルハルトの言葉である。
まずは、徹底的な事業の見直し、要するにリストラはあるだろう。また、お互いにWIN-WINの関係が築ける、緩やかな企業提携もあるだろう。

■しかし、構造的な問題を解決したとしても、企業として元気を取り戻すとは限らない。
 事業再生の主役はクライスラーの社員自身にかかっている。もともとクライスラーは、北米での「ミニバン」の先駆者であり、PTクルーザーのようなクルマを作れる商品提案力の高い企業である。ポテンシャルはあるのだ。
 あとは、クライスラー社員のモチベーションを高め続けるヴィジョンを提示できるかどうか、だと思う。

「危機的な状況にある企業にとってはきわめて重要なのは、問題があると全員が認めること。現実から目を背けてはいけない」

これも、VWの取締役就任時のベルハルトの言葉。力強いリーダーシップを感じさせる言葉である。

■これから、クライスラーはどのように生まれ変わるのか。はたまた、リストラでの短期的企業価値向上策をとり、鵜の目鷹の目の同業他社に売り飛ばされるのか。ひとつ、長い目で見守っていきたい。

■事業を救うのは「マネー」なのか、「人」なのか、それが試されているのだ。
                           <2007.05.12 記>

   
■関連記事■

■人間の再生。 NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_f45b.html

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<追記>
「ハゲタカ」スタッフの皆様、
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■NHK『ハゲタカ』製作チームの日記
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