■続・『小笠原諸島、父島』(後編) 東洋のガラパゴスに住む鳥さんたち。母島、聟島。
小笠原シリーズ後編は、小笠原諸島の鳥さんたちについて語ろうと思う。
■前回の記事■
■『小笠原諸島、父島』(1) 太平洋に浮かぶ静かな楽園。
http://soko-tama.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_6b31.html
■東洋のガラパゴス
小笠原諸島は、東京から南南東へ約1000キロの太平洋上にある。父島・母島・聟島・硫黄の4列島からなる小笠原諸島は、約5000万年前の火山活動で誕生して以来、一度も陸続きになったことがない日本で唯一の海洋島であり、1830年までは無人島だった。
そのため固有の動植物が独自の進化を遂げ、世界的にも貴重な自然的価値を有している。「東洋のガラパゴス」と呼ばれる所以である。
■母島 <1998年3月訪問>
父島から南へ50Km、ははじま丸に揺られること2時間で母島に到着した。目当てはもちろん、母島固有種【メグロ】だ。生息数は多いようで、比較的簡単に見つけることが出来た。
【メグロ】
スズメ目ミツスイ科 体長13.5cm
メジロの親戚かと思ったら、オセアニア系の南国系の鳥の仲間だそうで、確かに色合いはトロピカル。キレイな鳥です。あまり警戒心は強くなく、ちゃんと写真を撮らせてくれました。満足。満足。
【メジロ】
スズメ目メジロ科 体長11.5cm
メジロは本土と変わらず、いつものメジロさんだった。
父島でも見かけた。結構、メジロも個体数は多いようだ。ヘビとかイタチとかの天敵がいないからだろうか。
【オガサワラハシナガウグイス】
スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科
体長14cm程度?
「ホーケキョ、ケキョ」と若いウグイスのような下手な鳴き方をするな、これは方言か?と思ったら違う種類のウグイスでした。
見た目もハラが白く、コロコロして可愛い。
でも、足もとの藪をチチッと渡っていく様子は、本土のウグイスと変わらない。なかなか写真を撮らせてくれないニクイやつなのだ。
因みに、こちらが本土の【ウグイス】。
キレイな歌声に似合わず極めて地味な鳥さんなのです。
なお、時々庭先の梅の花などにやってくるキレイな’ウグイス色’の鳥は、大抵メジロである。ウグイスは、ウグイス色をしていないのだ。
【イソヒヨドリ】スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科 体長25.5cm
本土でもたまに見かけるイソヒヨドリは、父島、母島ともに、良く
見かけた。
♂は光沢のある青とオレンジのキレイな鳥だが、♀は薄茶色の
渋い色。
この季節、街中や浜辺にて仲良く番いで散歩する姿が見られた。
■聟島(ケータ島) <1997年1月訪問>
聟島は、父島の北、約50km、小笠原諸島の北側を成す無人の島々である。この時は、船内一泊のケータ島ツアーに参加した。
目的は、空を優雅に滑空する、憧れのアホウドリをひと目でいいからこの眼に焼き付けること。 アホウドリは、かつて日本近海で広く生息していたが、その名の通り、陸上ではノタノタ歩くことしか出来ず、人の手により次々に撲殺、乱獲されて、一時は絶滅の危機を迎えたが、1950年代に、東京の南600Kmにある鳥島にて生息が確認、また沖縄尖閣諸島でも少数が発見され、保護活動のもと現在に至る。聟島には、アホウドリの近種であるクロアシアホウドリ、コアホウドリが生息している。
<上のアホウドリの写真は資料画像(鳥島)>
【クロアシアホウドリ】
ミズナギドリ目アホウドリ科
体長78.5cm、翼長200cm
全体に黒褐色なのだが、目とクチバシの付け根だけが白く、よちよち歩く姿と相まって非常に愛らしい。ひと目見て好きになってしまった。よちよちと岸壁に向かって歩き、ヒョイとテイクオフする姿もたまらない。
自然の中でこいつらに出会う機会は、たぶん、もう無いだろう。幸せに暮らせよ。と願うばかりだ。
【コアホウドリ】
ミズナギドリ目アホウドリ科
体長81cm、翼長200cm
全体に白く、翼の上面が黒い。濃いアイシャドウとグレーのほお紅という化粧の濃さが、どうもカワイクナイ。差別はイケンぞ。と思うのだが、クロアシのような愛らしさが無いんだよな。
【野良ヤギ】
聟島には1880年頃に入植が始まり、一時期は25名の島民が牛、ヤギの放牧と甘藷、サトウキビ栽培で生計を立てていたが、1944年頃までには全員退去し無人島となった。そして残されたヤギが野生化し増殖。食害により森を荒らし、草原となり、さらに地面がむき出しになる等の影響が出ている。(東京都による駆除が行われているらしい。)
【アホウドリ】
<左の写真は資料画像(鳥島)>
鳥島での火山活動を避けるため、2006年から聟島への移住計画がスタートしているようだ。
うまく繁殖してくれると良いですな。
聟島で、いつか彼らに会うことが出来るだろうか?
現実には、なかなか行けるところじゃないのだけれど・・・。
まぁ、逆にホイホイ行けないところがイイところでもあるのだよな。
<2007.05.08 記>
<追記>
城ヶ島からアホウドリが見られるとは・・・これも温暖化の影響でしょうか?
komachi-memo2 さんにトラックバックさせていただきます。
http://komachi203.exblog.jp/5964949
■参考図書■
■本 『フィールドガイド日本の野鳥』
■小笠原諸島 関連DVD、本■
■写真集 『記憶の島・小笠原』
■本 『好きです!小笠原』
■参考にさせて頂いたHP■
■小笠原自然文化研究所
http://www.ogasawara.or.jp/
■アホウドリ復活への軌跡
東邦大学理学部生物学科 長谷川博先生のHP
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/index.html
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