■『プロフェッショナル 仕事の流儀』 現実を見つめ、出来ることをやる。経営者 坂本幸雄
■今回は、エルピーダメモリ社長
坂本幸雄さん。
サムスン電子を初めとした新勢力に追い落とされ、NECと日立製作所がDRAM製造部門を切り離し、統合・設立されたのがエルピーダメモリ。
その厳しい状況の下、経営危機に瀕したこの会社を立て直したのが、坂本さんである。
<2007.5.8放送>
■『現実を見つめ、出来ることをやる』。それが、坂本さんのポリシー。そのポリシーにしたがって素早い決断を下し、次々と成功を収めて来た。
■かつて、30代の前半の頃の坂本さんは、『上司の指示に決して出来ないと言わない』という姿勢で、がむしゃらに仕事を進めてきた。そして、結果が出ないことを何よりも恐れていた。その重圧の連続は、胃潰瘍により胃を2/3切除するという結果を招く。
■1ヶ月の入院の後、坂本さんは変わった。『出来ないことを頑張ってやる』のではなく、『出来ることをやる』。
「出来ないこと」というネガティブな部分から「出来ること」というポジティブな部分にフォーカスを切り替えたのだ。
『俺には、出来ることしか出来ない。では、今、自分に出来ることは何か?』と見方を変えることで、自分の周りが見えてくる。
ただ、がむしゃらに自分だけで問題を抱え込んでいては見えてこなかったモノが見えてくるのだ。
そして、目の前の現実を現実として見つめなおすことが出来る。
『現実を見つめ、出来ることをやる』
それが、成果につながるのだ。
■だが、坂本さんの凄いところは、それにとどまらない。
『目の前の現実を見つめ』、その上で、即座に勝負に出るのだ。
結果を考えすぎない。間違ったら、次のこのステップでやり直せばいい。その気楽さ故に、勝負に出ることが出来る。
(実際には、それでもかなりの重圧のはずだが・・・・それが社長の仕事だというのだろうか。)
■『メンバーが共感できる夢』を語ること。それがリーダーの大切な資質なのだと思う。
今回の取材の中でも、坂本さんは、かなりの無理難題を提示している。
だが、そこの場に出てくるのは、「困ったな、誰か早く、『出来ない』って言えよ」という『沈黙の声』ではなく、『ココが問題で、それが何とかなれば出来る』という、現場の実情に即した建設的な声だ。
それは、現場が責任を背負いこみ、経営者がそれを追求するような文化の会社では、決して聞かれない言葉だ。
■現場の担当者達が優秀で責任感が強い時、かえって、かつての坂本さんのような状況に陥りがちになるのだと思う。(実感として・・・。)
坂本さんは、その重圧を上手く取り去ってくれるのだと思う。それは、電車通勤し、社員と同じフロアで仕事をし、挨拶をかわす。そういうことで作り出される「雰囲気」とか「場」によって作り出される’文化’なのだと思う。
そうして、現場の状況がトップに伝わるようになっていくのだ。
(「肩の凝る組織」と「血行の良い組織」なんてフレーズはどうでしょう?)
■理想は『社員が楽しく、安心して働ける会社』と言う坂本さん。
その理想は、ギリシャ語の「希望」を語源にしているという『エルピーダ』という社名に表されている。
■プロフェッショナルとは■
『やっぱり仕事をこうやってて、で、仕事がちゃんとできるだけじゃなくて、プラスアルファのことを考えられること。自分流の何かを乗っけて、その仕事を完成させていくことができる人がプロフェッショナルなんじゃないでしょうか』 坂本幸雄
<2007.05.09 記>
■参考図書■
今回の坂本さんの話を聞いていて、この本を思い出したので、参考として紹介させていただきます。
■『経営者の条件』 ピーター・ドラッカー著
■関連図書■
■『エルピーダは蘇った』
松浦晋也 著
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コメント
初めまして。
TB、ありがとうございます。
良質なブログをお書きですね。
おりおり遊びに参りますね。
投稿: 真 心 | 2007年5月 9日 (水) 21時39分