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2007年5月20日 (日)

■ レクサス LS600h トヨタ、『信念』の結晶。

トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は17日のレクサス『LS600h』シリーズ発表の席上、1997年末から発売したハイブリッド車の世界累計販売が今月初めで100万台に達したことを明らかにした。
<2007/5/17 レスポンス記事>
Ls600h

■私はトヨタが嫌いである。

巨人、大鵬、たまご焼きというコトバは死語だけれども、そういった’主流派’というものが肌に合わないのだ。これは理屈ではないのでショーがない。

だが、ハイブリッドに対するトヨタのスタンスだけは、心から賞賛して已まない。

■1997年にプリウスが発表されてから10年が経つ。
新しい技術は、システムコストが高くつく上に、不具合が発生する確率も大きく、テストモデルとして少数生産から入るのが常道なのだが、プリウスは『次の時代を担う中核的乗用車は、かくあるべきだ。』という崇高な理想主義に基づく信念のもと、通常の量産車種として市場投入された。

そして、それなりにマスコミ、ジャーナリストには評価され、時代の先を行く’エコ’な人達の自己表現の手段として、それなりに売れ続けた。

が、売れば売るほど赤字がかさむハイブリッド。
そこに、どれだけ将来性があるのか?と、二の足を踏んだフランス人経営者もいたし、俺たちゃあ、現実的なミニマムシステムで行こう!と、お得意の独自路線を歩んだメーカーもある。

しかし10年の時を経て、今やプリウスは、しっかりと市場に定着している。
驚くべきことに、ミディアムクラスのセダンで一番売れている車の2倍も販売台数を稼いでいるのだ。
(年度末商戦で競争が厳しい3月度の販売台数で、シルフィー:3600台、プレミオ/アリオン:3550台/3200台、シビック:1650台に対し、プリウスは、6900台。4月度の実績でもトップのプレミオに対して2倍以上の3900台を売り上げている。)

これは、「ハイブリッドもありますよ。」という少し腰の引けたスタンスではなく、「エコを本気で考えるとこんな車になります!」と胸を張って独自ブランドを磨き続けたプリウスの『信念』の勝利である。結果、100万台を売り上げたハイブリッドシステムの部品コストも、かなり下がってきていることだろう。

『コスト高だから商売の見込みが立たない。』のではなく、『コスト高な現状から、どうやれば商売に出来るのか?』という創造的な「問い」を立てることが出来たのは、トヨタに強固な『信念』があるが故のことなのである。

■さて、その『信念』の頂点、レクサスLS600hである。
これはコンベンショナルなLS460(旧セルシオ)のハイブリッドモデルである・・・。
と、簡単に済ますような内容ではなく、トヨタが「高級車の理想を求めた」と言う通り、LS460の上位に位置する、レクサスのフラッグシップモデルと捉えたほうが良いだろう。

新開発のV8 5.0Lエンジンを、プリウスで進化させたTHS Ⅱを高出力縦置き後輪駆動対応させたTHS Ⅱ-FRと組み合わせ、6.0L並みの出力を発生。その溢れるトルクを地面に伝えるためにトルセンLSDを組み込んだセンターデフ式4WDシステムを採用した。

メカニズム的に面白いのは、やはり核心部分のTHS Ⅱ-FRハイブリッドシステムだ。
(GS450hと同様のシステム・・・たぶん。)
 
Ths2_fr_2  Ths2_fr__2
ハイブリッド(交流同期型モータ)の弱点は、最高速にギア比を合わせた場合、モータの出力特性上、低速域でのトルクが低くなってしまう点にある。
THS Ⅱでは昇圧、高電圧化により大電力を供給し、モータの高出力化を図ることで、全体的なトルクUPで問題を改善、初代プリウスのノタノタ感を見事に消し去ることが出来た。
 さらに、今回のTHS Ⅱ-FRでは2速のリダクションギアを設定することで、よりトルクバンドを広げることに成功している。

■では、このレクサスLS600h。クルマとしてはどうだろうか?
それは、もう『横綱』としか言いようの無いクルマに違いない。
特徴はいろいろあるだろうけれど、圧倒的なのは以下の2点であろう。

①どこから踏んでも野太く加速する、余裕の動力性能。
動力性能に振ったハイブリッドといえば、ハリアーハイブリッド(3.3L V6エンジンにTHS Ⅱ+リアモーターを組み合わせたモデル)がある。
ハイブリッド化による重量増の影響で加速も大したコトあるまい、と高を括りつつ試乗してみたら、その走り出しの余裕に驚いた。
看板に偽りなし。本当にV8 4.0Lが搭載されているかのような ’余裕’に、つい笑みがこぼれてしまったのである。
LS600hのTHS Ⅱ-FRでは、2段のリダクションギアによりトルクバンドが広くなっているわけで、いやぁ~、もう恐れ入りましたの’余裕’を堪能させてくれることは確実である。

もちろん、モーターの活躍するバンドが広がったことは燃費にも効くはずで、トヨタのいう「3.0Lのクルマと同等の燃費」は期待できるだろう。

②圧倒的な静粛性能。
残念ながらLS460には、まだ乗ったことが無いのだが、先代のセルシオは圧倒的に静かな車であった。
特に、駐車場からゆっくりと出る瞬間。え?、と息を呑む静かさ。『駐車場から滑り出す』とは、正にこのことか!と驚愕した覚えがある。(普段、うるさい安グルマに乗っているだけに、驚きもひとしおだ。)
それに加えてのハイブリッド化・・・無振動、無音の走り出し。プリウスとも違う、新しい感覚を味わえることは間違いない。

■さて、最低でも1000万円近いお値段のLS600h。庶民には到底手の出せないその価格も横綱級。けれどメルセデス・ベンツSクラスとは”一味違う”、スマートな薫り漂うこのクルマ。
そこに心くすぐられるエグゼクティブ/セレブリティは、結構いるに違いない。

■ともかく、LS600hでハイブリッドの一つの頂点が提示された。
次の興味は、ここ2年くらいで登場するといわれている次期型の3代目プリウスが、どんな『理想』を謳ってくれるか・・・。太陽をも味方につける、という噂もあるが、果たして!
Ds_07__x_2 Ds_07__x2_1 
TOYOTA HYBRID-X @07ジュネーブショー
                         <2007.05.18 記>


 
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■レスポンス記事■

【レクサス LS600h 発表】ハイブリッド、累計100万台達成
http://response.jp/issue/2007/0517/article94823_1.html
【レクサス LS600h 発表】ハイブリッド搭載、フラッグシップセダン
http://response.jp/issue/2007/0517/article94822_1.html

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