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2007年5月12日 (土)

■ひつじの本棚■ 『マインド・タイム』 身体は意識より0.5秒先行する!?

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■『マインド・タイムー脳と意識の時間ー』

ベンジャミン・リベット 著 岩波書店 (2005/7/28)
<Amazon評価>
★★★★☆(レヴュー数 8件)

■『我々は、常に0.5秒遅れた世界に生きている』とはどういうことなのか。

我々が当たり前と思っている時間感覚が、脳と身体の仕組みによって修正されているとしたら・・・。

■あなたは市街地でクルマを運転している。

そこへ脇道から子供が飛び出してきた。

「危ない!」

あなたは、とっさに急ブレーキを踏むだろう。

■だが、あなたの目が飛び出してきた子供の姿を捉えてから「ブレーキを踏む」という行為に至るまでの時間は、子供の姿が見えて「危ない!」と認識するまでの時間より短いのだ!

つまり、「危ない!」と思う前に、身体が反応してブレーキを踏んでいるのである。

■そうすると、【「危ない!」と思う前に、身体が反応してブレーキを踏んでいる】と認識することになるのでは?、と考えるあなたは鋭い。

実験で測定されるそのギャップは、実は、脳が修正しているのだ。

客観的な視点で観察すると、そのギャップはあるのだけれど、当事者である『本人』の意識の中ではその「遅れ」が修正され、あたかもそのギャップなどは無く、『ブレーキを踏む寸前に「危ない!」と思って瞬時にブレーキを踏んだ』、と思い込まされているのだ。

逆に言えば、脳内のネットワークで情報が処理されることで発生する【遅れ】を感じないようにうまく修正している、ということだ。

■このことは同時に、もう一つ重要な示唆を与えている。

【「意識」の指令無しでも、「身体」は自動的に反応し、適切な動作をおこなうことができる】、ということだ。

「自分の意識」ってなに?と考えたとき、

これは、かなり衝撃的なことである。

(この点に関しては、神経学者・ラマチャンドラン博士の『脳の中の幽霊』に詳しい。下記参照方。)

■そのような内容が、推測に頼った議論ではなく、実証的発見をもとに書かれた本であるが故に、非常にスリリングな知的興奮を味わえる一冊なのである。

                          <2007.5.12 記>
                      <2008.01.16 加筆修正>

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■書籍 『無意識の脳、自己意識の脳』
アントニオ・R・ダマシオ 著  講談社 (2003/6/20)
<Amazon評価>
★★★☆ (レヴュー数 7件)
 

【書評】 『無意識の脳、自己意識の脳』 「私」とは何か?
  

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■書籍 『脳のなかの幽霊』
V.S. ラマチャンドラン 著 角川21世紀叢書(1999/08)
<Amazon評価>
★★★★★(レヴュー数 20件)
■切断された手足がまだあると感じる・・・。著者は「幻肢」の臨床例に数多く接し治療を行ってきた神経学者ラマチャンドラン博士。「あなたの体そのものが幻であり、脳がまったくの便宜上、一時的に構築したものだ」という驚くべき内容が語られるが、いわゆる「とんでも本」ではない。「自分の身体」だと意識している「モノ」はあくまでも「身体のイメージ」であり「身体そのもの」ではない、ということが、数多くの臨床例を通して語られる。自分の鼻があたかも伸びたように感じる実験など、自分で検証できる方法も載っていて面白い。
    

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