■感情に正直であること。 宮崎駿
■一部、追記しました。<2007.04.20>
プロフェッショナル 仕事の流儀 ー宮崎駿・創作の秘密ー
<2007.3.27放送>
宮崎駿が、次回作に向けてゼロから構想を産み出す姿をカメラが
追った。
■今回はドキュメンタリー作品として非常に楽しめた。
ディレクター独りなら、という条件で撮ることを許されたハンディカムが、創作活動のピークに向け日々変わっていく宮崎駿の姿を克明に捉えていく。
テレビで見ているコッチまでドキドキしたヨ。
見るものの心を捉える宮崎作品。その秘密は、
『理屈でつくらないこと。』
アタマで考えたアイデアとか、理屈で考えたものは、すぐに「ああ、
こういう話か」とシッポをつかまれてしまう。
あらすじを文字で書くのではなく、イメージスケッチをいくつもいくつも描き、表現をしたいことの本質をついた一枚にたどり着く、気が遠くなるような作業。そこが基点となって、物語のイメージが広がっていく。
自分の感情に正直であること。
「想い」を「コトバ」にしようとすればするほど、伝えたいことから
遠ざかるものなんだよな・・・こころに染みます。
■なかなか解決できない難問に突き当たる。いくら必死に考えても解決策が浮かばない。ところが、リラックスして風呂にゆっくり入っている時に、ふっ とい解決のイメージが浮かんだりして、慌てて上がって、メモに残す。。。。なんてことが時々ある。
「創造」とか「アイデア」っていうものは、脳みその表面でウンウンうなっただけで捻り出されるものではなく、その「力み」が抜けた時に浮かんでくる、驚き、悲しみ、匂い、手触り、暖かさとか、そいうった身体感覚を伴った、未だ整理されてない思い出とか経験とかが互いに結びついて生まれてくる。そういうものかもしれない。そういう身体感覚を伴ったイメージであるからこそ、相手の感情にダイレクトに伝わり、共感を呼ぶ。
宮崎駿のアニメーションが面白いのは、アタマじゃなくて、ココロとかカラダに訴えてくるものだからなのだろうなぁと、改めて感じ入りました。
■ ちなみに次回作は『崖の上のポニョ』。人間になりたい金魚姫ポニョと5才の少年の物語。全て手描きだそうです。(CGを使わないことがニュースになる時代なのですね。)・・・もしや、ジブリの原点「やぶにらみの暴君/王と鳥」に立ち返るのか?だとすれば、えらい事になります。色鉛筆で描いたような独特の色調の素朴さからも、並々ならぬものを感じます。期待大!!
<2007/04/03(火) 記>
■お気に入りの宮崎作品■
●未来少年コナン ★★★★★
1978年 日本アニメーション作品
原作 アレクサンダー=ケイ「残された人びと」
演出 宮崎駿 作画 大塚康正
脚本 吉川惣治ほか
絵コンテ 高畑勲、富野喜幸ほか
声 小原乃梨子、信沢三恵子ほか
♪海は青く眠り~大地に命芽生え~ と歌うだけで幸せになれる。
●紅の豚 ★★★★☆
1992年 スタジオジブリ作品
原作、脚本、監督 宮崎駿
作画 賀川愛
声 森山周一郎(!)、加藤登紀子ほか
●「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」それを言いたいが為の映画。カッコイイ。
●千と千尋の神隠し ★★★★☆
2001年 スタジオジブリ作品
原作、脚本、監督 宮崎駿
作画 安藤雅司ほか
声 柊 瑠美、入野自由、神木隆之介ほか
●今回放映された宮崎さんの仕事の流儀にピタリと嵌る作品。
このイメージの氾濫はすごい!
■参考■ 「やぶにらみの暴君/王と鳥」 ★★★★★
「王と鳥」1979年 フランス
監督 ポール・グリモー
元の映画「やぶにらみの暴君」は1947年に製作開始、1952年、監督の意に沿わないまま上映された。1979年、グリモーとスタッフが作品を本来の姿にすべく執念で完成させた作品。
●宮崎駿/高畑勲 「ジブリ作品」の原点。私は「やぶにらみの暴君」しか見ていないけれど、ダイナミックなキャラクターの動きが素晴らしく、独特の画風と相まって、空想の世界へグイグイと引きずりこまれる。また、フランス語独特の響きが異世界感を増幅している。
■★究極映像研究所★さんにトラックバックさせていただきます。
http://bp.cocolog-nifty.com/bp/2007/04/nhk_miyazaki_b5e8.html
■茂木健一郎さんのクオリア日記
『プロフェッショナル 「仕事の流儀」 宮崎 駿』にトラックバックさせていただきます。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2007/03/post_e5d8.html
■NHK プロフェッショナル「仕事の流儀」#45 宮崎駿 特番
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070327/index.html
■今回の「ドキュメンタリ」を撮ったディレクターさんのコメント
http://www.nhk.or.jp/professional/note/index.html
<2007/04/20(金) □2 記>「王と鳥」記事追加
<2007/04/08(日) □1 記>
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