■『プロフェッショナル 仕事の流儀』 隈研吾 「負ける建築」に見る身体論
今回は、建築家 隈研吾さんの流儀。隈 研吾(くまけんご、1954年-)
慶應義塾大学理工学部教授。
初期は古典主義建築を引用したポストモダン建築を手がけていたが、その後、竹の家など自然素材を生かした建築を提案している。 近年、格子を多用したデザインが特徴的な作品が多く見られる。
■<ポイント>
①社会に受け入れられる建築。「負ける建築」で創造性を発揮する。
②何度も現場に足を運び、制約に耳を傾ける。
③だが、発想の『根』は譲らない。
■お客様相手の商品開発を行っている立場からすると、「何を当たり前のことを言ってるんだ」となりそうである。マーケットを調べて、コンセプトをはっきりさせる。当然のことじゃないか。
■しかし、我々は、本当に「自分で現場に足を運び」、「制約に自分の耳を傾け」、「コンセプトが貫かれているか自分の問題として本気で考え」ているだろうか?
■市場調査部の調べた結果からカスタマー像を割り出し、企画部がコンセプトをつくり、設計屋が、そのコンセプトを自分なりにアタマで解釈して製品を作り出す。
そこに今日出てきた老舗醤油屋さんの若旦那が見せたような「共感」があるだろうか。
■番組を見ていて、『現場で感じる』ということの大切さをしみじみと感じた。そこにこそ、『リアリティ』が生まれるのだ。
伝える相手が人間である限り、『リアリティ』は脳みそで演繹的に生まれるものではない。現場を自分の肉体で感じ、施工主の目を見て会話する。そして身体で感じ取った制約条件を自らの中で咀嚼し、自分の問題として、ポジティブな、ありたい姿を想像/創造する。
■そこに、隈研吾さんの仕事の極意を感じた次第である。
■これを「ワンオフの建築だから通用する話」と済ますことは容易いが、大量生産の商品を作る立場で、大組織の一部品である、このちっぽけな自分に一体、何が出来るのか。その答えを見つけることが自分の仕事なのだ、と思う。
<2007.04.10 記>
■『負ける建築』
隈 研吾 著
■茂木健一郎さんの『クオリア日記』
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■『プロフェッショナル 仕事の流儀』HP
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070410/index.html
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