■「銃規制」について考える。米史上最悪の銃乱射事件発生
■米バージニア州立バージニア工科大学で16日午前、銃乱射事件が発生。死者は32人、負傷者は少なくとも30人に上った。動機は不明。学内の寮に住んでいたチョ・スンフィ容疑者は、銃乱射後に自殺した。
犯行には2丁の短銃が使われたが、このうち1丁は約1か月前、近くの町で571ドル(約6万3000円)で合法的に購入されたものだった。
<4/18 YOMIURI ONLINE記事より編集>
■こういう痛ましい事件が起こる度に「銃規制」の声が高まる。だが、アメリカにおいては「銃規制」が定着したためしが無い。
■「銃規制」。我々日本人にとっては米国留学生、服部剛丈君(16)が民間人に射殺された事件が思い起こされるところだが、ご両親の努力が後押しをしたブレイディ法(短銃の販売時に5日間猶予を置き、購入者の犯罪歴等を調べる)は5年の期限を迎えた98年に、共和党の反対で延長されなかった。
また、コロンバイン高校乱射事件後に上程された購入年齢制限引き上げなどの規制法も否決された。
■この背景には、全米400万人ともいわれる「全米ライフル協会」等の圧力団体があるといわれている。
■その「背景」に突撃したドキュメンタリーがある。『ボウリング・フォー・コロンバイン』。マイケル・ムーア監督が、アポなし突撃取材で挑んだドキュメンタリー映画(2002年公開)だ。
■DVD 『ボーリング・フォー・コロンバイン』 ★★★★★ 監督:マイケル・ムーア 2002年作品
2003年アカデミー賞長編ドキュメンタリ部門でオスカー獲得、他、数々の賞を受賞!
予想を裏切る展開、そのテーマの深さ。確かに傑作です。<注意!>ココからネタバレに入ります。未だ見ていない方は、この映画を見るまでの間に内容を忘れるようにお勧めします。(笑)
■M・ムーアは、全米ライフル協会の会長、チャールトン・ヘストンの自宅を訪ねたり、Kマートの本社に突撃したり、時にユーモアを交えながら、「背景」に迫る。もちろん仮説は「売るやつが悪い」、「銃があるから事件が起こる」。
■だが、取材を進めても、「何故、アメリカ人だけが殺しあうのか?」という疑問の答えが見つからない。そして、M・ムーアは、五大湖の対岸のカナダの街へ行く。NYの目と鼻の先のその街で、彼は衝撃を受ける。
■カナダでも容易に銃は手に入る。だが、銃による事件はほとんど無い。しかも、この街の住人は家の鍵を開けっ放しのまま平気で外出するのだ!
■つまり、「銃があること」が悪いのではないのだ。そこで、M・ムーアはアメリカ人自身の生い立ちに本質的な問題があるのでは無いか。と考える。
■ヨーロッパから移住してきたアメリカ人は、常に原住民に襲われることを恐れ、ビクついて、相手かまわず攻撃し、「開拓」という名の侵略を行ってきた。その「血」が、未だに文化として現代のアメリカ人にも根付いている。そして、いつも、何かにビクビクと怯えている。というのだ。常に武器を片手に握り締めながら・・・。
■こういうアメリカ人像を聞くのは初めてだったが、非常に説得力のあるものに感じた。
そうした文化論、文明論的な切り口でアメリカを眺めると、アメリカがコントロールできないものに無闇に介入していく姿、たとえば今回のイラク侵攻も肯けるものがある。圧倒的な兵力で武装し、象がアリを踏み潰すような行動をとる。そして大概、泥沼に嵌って失敗するのだが、ベトナム戦争からこの方、なかなかそのクセが治らない。
■だと、するのであれば、アメリカにおける「銃規制」等というのは夢のまた夢なのだろうか。
■2001.9.11。あの日に起きたことに対する反動は、非常に大きなものであったが、その大きな振り子が反対側に大きく振れる日が近づいているのではないか。
■今回の事件が、その波に乗りアメリカの世論が「銃規制」に進む。また、国家としても『粘り強い対話による相互理解』という戦略に舵を切る。
そんな甘い考えは、メルヘンチックな理想主義者の夢想として、一笑に付されてしまうものなのだろうか。
<2007.04.18 記>
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