2009年7月10日 (金)

■neoteny japan ネオテニー・ジャパン ―高橋コレクション。クール・ジャパンの本質は、ポップな甘さの奥にある生々しい思想とそれを支える超絶技巧にあるのだ。

根津から上野まで歩いた。

目的は、上野の森美術館で7/15まで開催しているネオテニー・ジャパン。

またしても、終了間際の駆け込みなのである。

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■neoteny japan ネオテニー・ジャパン ―高橋コレクション
 @上野の森美術館 2009/05/20(水) ― 07/15(水)
※ネオテニー:幼形成熟、ウーパールーパーみたいなもの。幼さと成熟を併せ持つ現代日本のサブカルチャーを上手く言いあらわしている。
 

■”世界が注目するニッポン現代アートの基礎知識!”

と、銘打たれたこの展示は、高橋龍太郎さんという精神科医の方の個人的なコレクション、33名の作家の作品から選りすぐられた80点。

確かに、さらりと通り過ぎさせてくれる作品はほとんど無く、どこか、うーむと引っかかる曲者ぞろいだ。

■数点に絞って感じたことを記してみたい。

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■鴻池朋子 惑星はしばらく雪に覆われる 2006
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■鴻池朋子 knifer life(部分)  2000-2001

■黒い垂れ幕で仕切られた会場に入るといきなり目に飛び込んできたのがキラキラと輝く6本足のオオカミ。

最初からドーンと来ました。やられました。

続いて長さ5メートルくらいありそうな大作、knifer life。

これもすごい。

■6本足のオオカミと小さなナイフの群れが少女の上半身に群がり、覆い隠す。

すさまじいエネルギーである。

少女の足だけが見えるという演出がとても効果的だ。

二足歩行の足。

それさえ見えれば観る者の想像力は隠された部分と、そこにある魂を補完してくれるのだ。

その時に生まれる感情は、むしろ全身が見えてしまうよりも圧倒的に強いインパクトを与えてくれる。
  

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■名和晃平 PixCell-Gazelle#2 2006

■単なるビー玉細工かと思いきや、透明な玉に覆われたその下に、本物の鹿の剥製が埋まっている。

それに気が付いたときのギョッとする感覚がいい。

■ポップな見かけをまといつつ、その下に激しくリアルなものがある。

そこにはニッポンの現代アートと言われるものの本質が象徴的に現れているのかもしれない。
 

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■池田学 領域 2004

■これである。

本日一番のお気に入り。

この絵に出合えただけでも来た甲斐がある。

■大きく揺れる波間に浮かぶ島、

と思いきや、巨大なカニ。

それが領域(テリトリー)を侵した哀れな船を巨大なハサミで引きずり込もうとしている。

■木を見て森を見ない、

なんていうけれど、この作品は逆で、超細密に描かれたペン先を丹念に追っていくうちに、その巨大な存在に気付く、という寸法だ。

その、うわぁ~、という感覚がたまらない。

そして、ため息。
  

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■会田誠 大山椒魚 2003

■エロである。

しかもロリコンである。

クール・ジャパンだなんだといってもその根底に実は、公衆の面前にさらされることには耐えかねぬ、この二つの禁断が淀んでいたりするのである。

■このタブーをぶち破る挑発的態度はどうだ。

そしてそれを冷静に支える超絶技巧。

コレハ、イケナイ、

と、目を背けたくなる作品なのだけれども、その時点ですでに作家の罠にはまってしまっているようで何か悔しい。
  

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■三宅信太郎 夢工場の逆襲への新たなる挑戦 2002

■この展覧会の締めくくりがこれ。

 
なんだこりゃ、

 
なのである。

ポップもここまでくるとなかなか追いつくのが難しい。

■バスローブの下にキャスター付きの暖房器具らしきものが見え隠れするとってもチープなルーク・スカイウォーカー。

巨大なマスクが崩壊寸前のダース・ベイダー。

快獣ブースカと間違えてしまいそうな可愛らしいC3PO。

模造紙をつないで、うま下手調で埋め尽くされた背景の作品。

■何がすごいって、この文化祭レベルの作品に金を払ってしまう高橋さんが一番すごい。

確かに楽しいんだけどね、どうしても「作品」という枠組みに囚われてしまって、つい、その素直な楽しさに違和感を覚えてしまう。

美術って、ホントは高尚なものなんかじゃなくて、つくることが楽しい、ただそれだけのものなのかもしれない。

けれど、自分のなかで強く固定されてしまった「美術」というものがあって、それを突き破るのも結構難しいものだなあ、としみじみ感じた次第である。
  

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ひさしぶりに西郷さんに会いました。
  

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                          <2009.07.10 記>

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■ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション
日本現代美術総覧といった感じでうまくまとまっている。

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2009年7月 8日 (水)

■月光の雲。

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月夜の空もいいもんだ。

                         <2009.07.08 記>

 
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2009年7月 5日 (日)

■ああ、アメリカよ。『爆笑問題のニッポンの教養』 日米関係史、阿川尚之。

今回のテーマは、日米関係史。

File077_us_ilove_you_2
■ 爆問学問『爆笑問題のニッポンの教養』(番組HPより)
FILE077: 「U.S. I LOVE YOU」 2009.6.30放送
慶應義塾大学教授
日米関係史・米国憲法史 阿川尚之。

■アメリカってなんだろう。

阿川先生の見るアメリカは、多様性に富んだ自由な国。

太田の見るアメリカは、大国の正義を押し付ける尊大な国。

きっとどちらも本当のアメリカなのであろう。

■感覚的には、太田の言うアメリカの方が理解しやすく、すっと入ってくる。

特に、ソ連崩壊後に唯一の超大国となってしまったアメリカは、自由主義の旗頭という役割を喪失し、それ故に各地の紛争に関わる大義が見えにくくなってしまった。

それまでのアメリカの覇権主義が良かったとはいえないが、大義名分を失ったアメリカに世界の批判が集中するのもやむを得ないことなのだ。

■アメリカを擁護する阿川先生は、その問題を正面から答えることを避けているように見える。

と、いうよりも、関心事が別のところにあるといった方がいいかもしれない。

巨大なバケモノと化してしまったアメリカについて語るのではなく、その本来の姿について広く理解を得ることで、それはバケモノなんかじゃない、という伝道をおこなっている、ということなのだろう。

■アメリカを批判するのは簡単なことである。

けれど、その前にアメリカという国の成り立ちを知ること、実際のアメリカ人と友人となって語り合うことが重要だ、という阿川先生の意見は非常に正しいように思える。

たぶん、それでも、アメリカという国に対する批判的精神が変わることはないのだろうが、その批判に幅が出ることは確かであろう。

やはり、知ること、というのは大切なことなのだ。

 

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                                                 <2009.07.05 記>

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■ 憲法で読むアメリカ史(上)
阿川 尚之 著 PHP新書 (2004/9/16)
         

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2009年7月 2日 (木)

■【書評】『PLUTO プルートウ』 浦沢 直樹/長崎尚志 著。大風呂敷はとりあえず置いておこうじゃないか。

プルートウ、完結。

これまで引っ張ってきた謎が明らかにされ、一気に物語がつながっていく。

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■ PLUTO 8 浦沢 直樹 著 ビッグコミックス (2009/6/30)

■原作は手塚治虫の鉄腕アトム。

そのなかでも特に人気の高い「地上最大のロボット」を現代風にアレンジして物語をおおきく膨らませたのがこの作品。

浦沢 直樹と長崎尚志のアトムに対する敬意と愛情がそこここに滲む良作である。

■実際、面白かった。

ゲジヒトの失われた記憶、アトムの再生、ボラーの正体。

単行本1冊分の原作を8冊にまで膨らませたにも関わらず、スピードとサスペンスと謎が連鎖的に拡大し、飽きることが無い。

が、この最終巻で明らかになった謎を組み合わせて全体像を眺めるとき、どうもしっくりこない部分が残ってしまうのだ。

■テーマは、敵に対する憎悪とそこから引き起こされる戦争。

具体的には、9.11テロとそこから引き起こされたイラク戦争、そして現在までつながる憎悪の連鎖を下敷きにしている。

今、という時代をもっとも強く映す、キャッチーなテーマだ。

そこに、少し乗り切れない部分が出てしまったのである。

■そこのところ、手塚治虫版の原作は至ってシンプル。

 
誰が一番強いロボットか。

 
それだけなのである。

そんなことの為に戦うなんて不毛なことはやめようよ、といいつつも人質になったお茶の水博士を救うためにアトムは天馬博士の手を借りて100万馬力を手に入れる。

この矛盾。

それ故のラストシーンの侘びしさ。

その読後感がこの作品の傑作たる所以なのだと思う。

■原作と比べるのはどうかという話もあるが、「プルートウ」は話を膨らませるに当たって、テーマを具体化し過ぎたように感じる。

特に、「ペルシア国」と「トラキア合衆国」の対立の構図は作品の現代化を図る上で必須だという判断なのかもしれないが、いかにも余計である。

9.11とかイラク戦争のニオイが漂うたびに、ダリウス14世にフセインの、トラキア国大統領にブッシュのニオイを嗅ぐたびに、我々は作品世界から引き剥がされ、現実の世界へと放り出されてしまうのだ。

■余計、といえば、トラキア国のマザーコンピューター。

これが何のメタファーかは置いておくにしても、こいつが一番の悪者で、プルートウとアトムの、アラブの王様とお茶の水博士の対立における矛盾を引き受けてしまう、その安直さが許せない。

はっきりと言おう、

長崎尚志は、そこに踏み込むべきではなかった。

■それでも私がこの作品をブックオフに売っ払ってしまおうと思えないのは、ゲジヒト、ゲジヒトの奥さん、ノース2号、エプシロン、サハドといったロボットの面々それぞれの物語が強烈に私を惹きつけるからだ。

特にノース2号の物語は何度読み返してもウルウルきてしまう。

だから、この作品の楽しみ方としては、全体のテーマがどうこう、というところから大きく離れて、オムニバス的に展開するひとつひとつの物語を味わう、というのに尽きると思う。

そこだけが浦沢 直樹/長崎尚志のオリジナルであり、唯一、天才・手塚治虫を超えている部分なのである。

そして、いつだってそれこそが彼らの作品の魅力なのだ。

 

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                          <2009.07.02 記>

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■ PLUTO 8  浦沢 直樹 著 ビッグコミックス (2009/6/30)

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■鉄腕アトム (13) (「地上最大のロボットの巻」収録)
手塚 治虫 著 講談社 手塚治虫漫画全集 (233)

    

■関連記事■
■漫画一本、真剣勝負。
『プロフェショナル・仕事の流儀』漫画編集者・原作者 長崎尚志。

(2007.11.13 記)

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2009年7月 1日 (水)

■【書評】『武装解除 ―紛争屋が見た世界―』 伊勢崎賢治 著。平和は正義を曲げてでも手に入れる価値のあるものなのだ。

日本人にもこんな人がいたのかと驚いた。

まだまだ日本人も捨てたものじゃないのである。

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■ 武装解除 -紛争屋が見た世界
伊勢崎賢治 著 講談社現代新書 (2004/12/18)

 
■著者の伊勢崎さんは東チモール、シエラレオネ、アフガニスタンといった地で活躍した紛争解決の専門家であり、現在、戦地から離れて大学の教壇に立っている人である。

こんな人に世界の現実を教授され、思考と議論の機会を与えられる学生は幸せ者である。

そして、その一部を垣間見ることができそうなところがこの本の魅力なのだ。

■紛争解決に向けた手順に、DDR(Disarmament,Demomilization,Reintegration)という活動がある。

・武装解除(各軍事勢力からの武器を回収)、

・動員解除(指揮者の解任、組織の解体)、

・社会再統合(市民生活に戻るための教育などの復員事業)

の3つの活動からなるもので、国家再建のための首長選挙・議員選挙を成功に導くには、法と秩序の回復と治安の保証が必須であり、DDRは避けて通れない重要な活動なのである。

■伊勢崎さんは東チモールでは国連から委任された県知事として平和維持軍を統制して治安の維持に当たり、シエラレオネでは国連PKOのもとDDRを統括する立場で現場を引っ張って内戦終結へと導き、その後、アフガニスタンのDDRを担当することになった日本政府の特別顧問として2004年3月までの1年間をアフガンで過ごした。

すごい人である。

こういう感心の仕方は落合信彦以来かもしれない。

■と、感心ばかりしているわけにはいかない。

上手い話ばかりではないのだ。

シエラレオネではDDRを成功させるために、自国民を大量に虐殺し、腕を切断するといった残虐な行為を繰り返してきた武装勢力に恩赦を与えざるを得なかった。

そんな身を切られるような思いをしてまでも、内戦状態を停止させ武装解除を進めることは重要なのである。

内戦の原因は貧困だ、などという人がいるが、著者はその欺瞞を批判する。

そういえば、先に読んだジャン・ジグレールの本でも貧困、飢餓の大きな要因のひとつとして内戦を上げていた。

ここでは内戦は結果ではなく原因なのである。

■こういったキレイゴトだけでは前に進んでいかない泥臭い武装解除活動を行ってきた伊勢崎さんが、本書の結びで語っている。  
 

 現在の日本国憲法の前文と第九条は、

 一句一文たりとも変えてはならない。

  
日本人は憲法に守られた受益者として、その意味を深くかみ締める義務がある、と思う。                             

                           <2009.06.30 記>

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■ 武装解除 -紛争屋が見た世界
伊勢崎賢治 著 講談社現代新書 (2004/12/18)

     

日本国憲法 前文(後半部分、抜粋)

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。(1946年11月3日公布)
  
   

    
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2009年6月29日 (月)

■アジサイ。終盤の花盛り。

梅雨なのかどうなのか、よく分からない天気が続きますが

あっという間にもう7月。

アジサイも見ごろはそろそろ終わりなのでしょうが、

まだまだキレイに咲いていました。

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■アジサイ(紫陽花) アジサイ科アジサイ属

藍色を集めたもの:あづさい(あづ・あい)というのが語源らしい。

じつは毒草らしく、

過呼吸、痙攣などを経て死に至ることもあるという。

くれぐれも気をつけましょう。(って食べないか、ふつう。)

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