2012年1月29日 (日)

■【映画評】『ブラック・スワン』。美しき、ナタリー・ポートマンの完成。

ラストの「ブラック・スワン」の舞い。ナタリー・ポートマンの怒涛の演技に吸い込まれてしまうのであった。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.46  『ブラック・スワン
           原題: Black Swan
          監督: ダーレン・アロノフスキー 公開:2010年12月
       出演: ナタリー・ポートマン ヴァンサン・カッセル ウィノナ・ライダー

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■ストーリー■
『白鳥の湖』の主役に抜擢されたニナ(ナタリー・ポートマン)は優等生的なバレリーナであり「白鳥」を演じることは出来るのだが、それと同時に、相反する性格である邪悪で魅惑的な「黒鳥」をも演じ切ることを要求される。

「ブラック・スワン」へのプレッシャーのなかで次第に精神に異常をきたし、壊れていくニナ。

そして公演初日の幕があがる。

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■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■何かを表現しようとする芸術家にとって、目指すべき「完璧」というものがあって、それをつかめるのであれば、この身がどうなろうとも・・・、というのがこの映画のテーマなのであろう。

それは永遠のテーマのひとつなのだが、それをサイコサスペンスという形で料理しているのが面白い。

事前の知識なしに見たのであるが、話が進んで行っても一体何を語ろうとする映画なのかが分からない。どこに連れていかれようとしているのか。その点が、まさにサスペンスなのである。

■前半での鏡の多用が効果的で、現実と非現実との小さなずれがそれとなく暗示されていく。

ニナはもともと不安定で、プレッシャーがかかると自らの背中を強くひっかいて傷をつける癖がある。これを見せるのもまた鏡である。

他人を見るのも鏡や、地下鉄の窓に映る姿であったりして、これもニナのシャイな性格を表していて、ニナという人間が住む世界像を見るものに強く印象付けることに成功している。

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■それに加えて、ニナをとりまく人間たちの存在も暗示的だ。

彼女から無理にでも性的魅惑を引き出そうプレッシャーをかけるバレエ団の監督トマス(ヴァンサン・カッセル)。彼の存在は「白鳥」であるニナを「黒鳥」へと誘う、悪魔の位置づけ。

長年に渡って確保していたプリマドンナの座を奪われてしまうべス(ウィノナ・ライダー)は、頂点に立ったものが転落におびえる将来のニナの姿。

自分の果たせなかった夢を娘に託す過干渉な母親(バーバラ・ハーシー)は、繊細で傷つきやすく引きこもりがちなニナ自身。

ライバルで奔放な性格のリリー(ミラ・キュニス)は、ニナが求める「黒鳥」そのもの。

これらの存在が合わせ鏡のようにニナ自身を追い込んでいく。

公演初日にむけて現実と幻覚が交じり合い、加速し、ニナの混乱は頂点に達する。

■そして当日。

母親の制止を振り切り、劇場に急ぐニナであったが、本番を迎えてもニナは精神の不安定さを隠せない。

不安はリリーのカタチとなってニナの前に立ちはだかる。

ここにおいて、ニナは自分自身と対峙することになるのだ。

「リリー」を殺すことで、自らが「リリー」=「黒鳥」へと昇華するニナ。

その演技は神がかり的に妖艶で美しい。

■楽屋に戻ったニナは、リリーの死体をバスルームに隠すのだが、殺したはずのリリーが目の前に現れる。

混乱するニナ。

そして、鏡の欠片で刺したのは「白鳥」である自分自身であることを悟る。

このシーン。

自らを刺し、多分死んでしまうのだろうというという恐怖からくる涙が、演技を完成させようという決意に変わっていく、その表情。

このナタリー・ポートマンが素晴らしい!!

このシーンが成功することで初めて、ラストシーンが成立するのだ。

「完璧」を演じ切ることができたという至福の微笑。

その美しさは、ナタリー・ポートマン自身の「完成」でもあるのかもしれない。

                            <2012.01.29 記>

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■[Blu-ray]ブラック・スワン

■STAFF■
監督 : ダーレン・アロノフスキー
脚本 : マーク・ヘイマン
     アンドレス・ハインツ
      ジョン・J・マクローリン
原案 : アンドレス・ハインツ
音楽 : クリント・マンセル
撮影 : マシュー・リバティーク
編集 : アンドリュー・ワイスブラム



■CAST■
ニナ・セイヤーズ : ナタリー・ポートマン
トマス・ルロイ   : ヴァンサン・カッセル
リリー        : ミラ・キュニス
エリカ・セイヤーズ  : バーバラ・ハーシー
ベス・マッキンタイア : ウィノナ・ライダー

 

●●● もくじ 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●

 

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■夕陽。

一日の終わり、

海に映える夕陽が美しかった。

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                            <2012.01.29記>

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2012年1月22日 (日)

■【映画評】告白。教師であること、人間であること。

後味は悪いが、ずしりとくる作品。R15+指定もうなずける生々しさなのである。

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●
    
No.45  『告白
          監督: 中島哲也 公開:2010年6月
      原作:湊かなえ 『告白』 双葉社刊
      出演: 松たか子  岡田将生 他

Dvd_2 ■【DVD】告白

■ストーリー■
終業式のホームルーム。中学生の生徒たちを前に、担任の森口悠子が退職することになったと告げる。そこに至る経緯を淡々と語る森口。それはある復讐に関する告白なのであった。

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■一幕劇と思わせる序盤。告白が進むにつれ、緊張感が張り詰め、森口の無表情な語りがその緊張を増幅する。衝撃的な映像が差し挟まれるのは聞き手である生徒たちの想像か、観るものは、生徒たちと共に一気に事件の核心へといざなわれる。

この第一幕だけで独立した短編映画として十分成立するのであるが、語り手を転々と変えながら、この事件を多面的により深くえぐり出していく。

■教師とは何か。

若き熱血教師ウェルテルをあざ笑う、中学生たちの裏の顔。

ずる賢く、きわめて残酷で、それでいて未成熟な浅はかさ。

事件と並走してあぶりだされていく中学生たちの姿は、少しステレオタイプなものであるかもしれないが、それを補ってあまりある迫力がある。

 

   
■■■ 以下、ネタバレ注意 ■■■

■松たか子の演技がいい。

旦那がエイズで、犯行を行った生徒の牛乳にその血液を仕込んでおいた、

なんて荒唐無稽な設定を納得させる静かな迫力。

教師であり、母親であり、被害者であり、冷徹な復讐を計画し、実行する者である。その複雑で発散してしまいそうな人間像をひとりの人物としてしっかりと統合させている。

■そもそも、この映画が語りたかったこととは何か。

通り一遍の見方でいえば、不安定な中学生たちの恐るべき狂気、それを裁くすべのない、少年法という不条理ということになるのだろうが、それはあくまでも表層であり、真意はそこには無いのではないかと思われてならない。

■自己顕示欲のかたまりのような少年B、劣等感に押しつぶされそうな少年A、そのふたりの少年の捻じ曲がった存在証明のために担任の幼い娘を殺してしまうという残酷。

そして平然と授業を受け続ける少年AとBの異常。

その犯罪が裁かれないという不条理と、それを自らの手で裁こうという森口の決意は実に分かりやすい。

だがしかし、この映画の重要な点は、その森口悠子の報復行動をどう評価するかという点にあるのではないか。

■少年Aは劣等感の源であった母親を殺す。

少年Bは唯一の理解者になりかけていた美月を殺す。

そして自己顕示欲を満たすための最期のイベントで、一番に認めて欲しかった、その愛を確かめたかった母親を爆死させてしまう(或いは、そう思い込まされてしまう)。

これらは、殺しまでは考えていなかったとしても、森口の策略によるものである。

少年たちに、自分が味わったのと同じだけの悲しみ、絶望を味あわせる。それらすべてを達成した森口はカタルシスを得たのだろうか。

■告白にあたって、森口は黒板に大きく「命」と書いた。

ラストシーンで、森口は「更生」という言葉を使う。

そこには単なる復讐者ではない何かがある。

本人の意識にのぼってはいないのかもしれないが、その行動の底に、人間を諦めきれない何かがある。

そう、信じたい。

でなければ、あまりにも救いが無さすぎる。

 

いずれにしても、重い映画でありました。

                            <2012.01.22 記>

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■STAFF■
監督・脚本:中島哲也
原作:湊かなえ「告白」(双葉社刊)
撮影:阿藤正一、尾澤篤史
主題歌:「Last Flowers」レディオヘッド



■CAST■
森口悠子 - 松たか子
寺田良輝(ウェルテル) - 岡田将生
下村優子(少年Bの母) - 木村佳乃
森口愛美 - 芦田愛菜
桜宮正義 - 山口馬木也
戸倉 - 高橋努
少年Aの母 - 黒田育世
下村直樹(少年B) - 藤原薫
渡辺修哉(少年A) - 西井幸人
北原美月(少女A) - 橋本愛

 

■【原作】告白 (双葉文庫)

 

●●● 名画座 『キネマ電気羊』 ●●●

 

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2012年1月21日 (土)

■冬の富士山。

正月明けに御殿場の東山湖に行ってきました。

言ってしまえば釣堀りなんだけど、富士山をめがけてキャストする風情が好きで時々行っております。

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濁りが強かったせいか、入れ食いとはならず、ぽつり、ぽつり、と釣れる程度。

釣れ過ぎるとせわしなくて仕方ないので、それもまた良し。

キャストに専念できるしね。

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ふと、フライロッドをとめて見上げる空もいい感じでありました。

                           <2012.01.21 記>

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■【詠う練習】希望。

かきくけこの「き」で

「希望」をお題に。

 

■「希望」とは最期の病と言いしひと

 その生き様が希望をぞ残す

 

■暗闇が闇であるのは光ある

 からこそ我はとにじむ夕陽に

 

■もうダメと思う毎日続くけど

 グウと腹鳴りブリと屁もでる

 

                      <2012.01.21 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

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■【詠う練習】帰る。

かきくけこの「か」で

「帰る」をお題に。

 

■夢破れ未来の見えぬ身になれど

 帰らぬからこそ ふるさとはあり

 

■抜ける青 沸き立つ緑 撫でる風

 歌無き故郷よ シーベルト

 

■君といる幸せ今を噛み締めよ 

 死ぬときはひとり 闇へと帰る

 

                       <2012.01.21 記>

■過去記事■
■【短歌】詠う練習
 

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